- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480421234
感想・レビュー・書評
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ロマン主義の真髄がここにある、という作品です。作者が夭逝したため未完の長編ですが、後に続くエピソードによるロマン的ポエジーの成就という展開もそれはすばらしかったのだろうけれど……やっぱり夢に見た青い花の美しさは言いようがない。それこそがロマン的なもの、追い求めずにはいられない山頂の花だと思う。その美しさと可憐さは、ポエジーによってしか手に入れられないものなのだと思う。原題は主人公の名前である『ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン』なのですが、「青い花」という邦題が定着しているのは、やはりこの花こそがロマン的ポエジーの昇華された姿だからなのだと思います。このタイトルをつけた語ってどなたなんだろう。見ると一番古い訳は小牧健夫大先生みたいですが。さすがだなあ。原題が「青い花」じゃないなんてだれも思わない……。長いこと「言葉」というものに不信感を抱いてきたのだけれど、改めて精読したら言葉というよりも詩人の言葉の崇高さを思い知った。文句なしに美しいと思う。
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ノヴァーリスは29歳で夭折したドイツのロマン派の天才的作家とされる。自身の書簡に、「全体は詩[ポエジー]の礼讃となるはずです。[p344]」とあるように、全体は著者自身の詩作をめぐるもの。ロマン派ときいて納得の、隅から隅まで大袈裟な表現。夢の体験、父や教師?との対話、マティルデとの愛、また途中で挿入される物語(登場人物が話し出す)で構成される。
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ちくま文庫だけあって絶版までの時間はみじかすぎる!!
同社のWEBで3巻セット(4095円)なら在庫あり。
もちろん買わないで後悔するよりは... -
ちくま文庫版のための新訳、代表作『青い花』。注も解説も詳しく、ノヴァーリス略伝もうれしい(略伝といっても40頁ほどの詳しいもの、それに、彼もまた夭折の哲学詩人、29年たらずの生涯ですものね)。『青い花』は、濃密な生涯に相応しい濃密な、未完の長編小説、というべきでしょう。「めくるめくファンタジーと絢爛たるアレゴリーが渦巻く、百科全書的知の饗宴としての長編小説」(カヴァ?より)です。こちらも心しなければ。(でもね、アレゴリーに関しては、私、かなり詳しくなったんですよ。それに、とても美しい言葉が連なっています。「この歳」になってようやく、しっかり味わえるような気もしています)。