戦闘美少女の精神分析 (ちくま文庫 さ 29-1)

著者 :
  • 筑摩書房
3.28
  • (15)
  • (42)
  • (98)
  • (14)
  • (5)
本棚登録 : 749
感想 : 59
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480422163

作品紹介・あらすじ

ナウシカ、セーラームーン、綾波レイ…日本の漫画・アニメには「戦う少女」のイメージが溢れている。筋肉質なアマゾネス系女戦士とは全く異なり、「トラウマ」を持たない可憐で無垢な戦闘美少女。この特殊な存在は、果たして日本文化のみに見られる現象なのか。彼女たち「ファリック・ガールズ」の特性と、それを愛好する「おたく」の心理的特性を、セクシュアリティの視角から徹底的に分析する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本人は、「萌え」もわからない、おたくとしてのメンタリティを持っていない人だそうです。

    ………。

    嘘つけ(爆)

    きっかけは、ヘンリー・ダーガーとかいっていますが、多分、セーラームーンあたりが気になっていたのではないかと。それで、ダーガーを知って「おー、芸術!」てな感じで、やっと、安心して語り出せたのではないかと。
    この人って、今の地位や信頼をうしないたくない、そういう隠れおたくな感じがします。

    ダーガーの話は、それなりに熱がはいっていておもしろいです。だから、ダーガーが好きなのは、多分、本当のことなのだと思います。が、それ以外の作品分析は、けっこう、いい加減だぞ。

    まず、いろいろな人の説や考えをもってくるのですが、自分の感性に近くないものは、バッサリ感情で切り捨てています(笑)そのときのセリフが、

    「わたしの専門的な経験からいえば……」

    「わたしの感じた印象からいえば……」

    みたいな感じの切り方です。
    オイオイ、きみの感性は、そこまでシャープなのか(笑)

    あと、解説でもつっこまれていますが、戦闘美少女を「日本的なもの」と位置づけながら、その存在を精神分析的に定義するというのは、あきらかに矛盾しています。

    でも、「謎本」とか、「空想科学」たいな見方よりは、好きな見方ではあります。
    戦闘美少女を語ることが、「自分語り」になっていくようなスタンスになってくれば、楽しいかも。

    なにかを語りたいと思うとき、「好き」でも、「嫌い」でも、その対象になんらかの思いをこめているはずで、自分で選択して語りはじめた時点で、対象に対して冷静でなんかいられません。

    だから、熱く語った、熱い文章が読みたいですね。

  • 20年以上前に書かれた「オタク解読本」。
    しかし、内容自体は今読んでも面白い。特にヘンリー・ダーガーと絡めた話は納得できる内容だ。
    また、オタクの美少女キャラへの距離感を端的に表した『おたくたるもの、キャラクターへの偶像視は芸風の範囲内でスマートにこなるべきものなのだ。』という文はオタクなら一発で理解できるが、これが理解できないがために非オタクに性的搾取とか言われるんだろーなと思った。
    現在だと出せないタイプの本かなとも思う。理由はオタク人口が増えすぎて大まかな精神分析が成り立たないこと。そういう意味でも一読の価値はまだあるのではないかと思う。

  • 第6回アワヒニビブリオバトル「マンガ」で紹介された本です。
    2015.11.10

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764226

  • 単行本が2000年刊行、文庫化が2006年ということで、テーマとしても論考としても、まだまだ「ぬかるみ」の領域を出ていない感がある(そのことを解説で東浩紀も指摘している)。アーカイブ的に「こんな意見があった」という読み方にとどめておくのが良いか。

  • 通読しましたが、私にとっては、非常に難解でした。文体も不慣れであり、思った以上に時間を要した。

  • ST4a

  • 精神科医 斎藤環氏によるオタク分析論です。数あるオタク論に関する書籍の中でも初期に発表されたものです。タイトルには「戦闘美少女」とありますが、あくまで二次元の美少女を愛する事のできるオタクについて精神分析しています。さすがに2000年に書かれたものなので、オタクや二次元作品への認識なども含め状況が変わった部分が多いので、オタク分析の古典として読むのが良いと思います。単行本の時の表紙の方が攻めててかっこよかったのにな。

  • 正直精神分析がよく分からなくて、後半はさっぱりだった
    前半はネタとしては面白いけど後半とのつながりがいまいち分からなかった
    何となく萌えは一種禅の境地か胡蝶の夢の様に思えた

    ただ途中の戦闘美少女が巫女的な存在で、異界を宿すがゆえにどこか空虚で、かつ特殊な力があるというのは成る程と思った

  • すごく納得できるところもあったし、それはどうかなあという部分もあった。納得できたのは、ファリック・ガールズの生成理由(虚構に性を持ちこむことで生じるリアリティの演出と、その性を当事者として、また俯瞰した姿勢の両方で楽しむオタクの嗜好性)と、オタクの「熱狂」がどこか冷めている理由。
    あと、マニアとオタクの違い。(マニアは物質を愛し、オタクは虚構を愛す)

    ファリック・ガールズたちは何故戦うか? という疑問には、ちょっと濁した答えになってるなーと思った。あとがきの人も言ってるけど。
    じゃあ戦闘美少女がなぜ戦うか? というと、個人的には、彼女たちという虚構が、敵という現実に虐げられるために戦うのかなあと思う。で、オタクはその客観性でもって、そのさまを楽しんでいるのかなと。

全59件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

斎藤環(さいとう・たまき) 精神科医。筑波大学医学医療系社会精神保健学・教授。オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)共同代表。著書に『社会的ひきこもり』『生き延びるためのラカン』『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』『コロナ・アンビバレンスの憂鬱』ほか多数。

「2023年 『みんなの宗教2世問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤環の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
谷崎潤一郎
吾妻 ひでお
三島由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×