シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫 う 27-1)
- 筑摩書房 (2006年8月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480422538
作品紹介・あらすじ
「シリコンバレーで今何が起ころうとしているのか、この目で見きわめたい。産業の大変革を身体で実感したい」。1994年10月、同地に移住した著者は、ネット革命とバブル崩壊の一部始終を目撃し、マイクロソフト帝国の変質と、リナックス、グーグルの誕生に注視する。技術と経営と投資家の幸福な結びつきと、その背後の「変化を面白がる楽天主義」を余すところなく伝える名著の、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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シリコンバレーで暮らす著者が、1996年の秋から2001年の夏までの間に、IT革命を牽引する技術者・経営者・資本家たちの活躍をレポートした本です。
シリコンバレーには、アイディアをもった若い企業家たちと、彼らの資金を提供するベンチャー・キャピタルが集っています。また、起業に際して起こるかもしれない問題にアドヴァイスしてくれるコンサルティング会社などがあって、組織と個人、大企業とベンチャーの関係をとりもっています。こうした支援体制とそれを支える人びとの社会通念が、「シリコンバレーをシリコンバレーたらしめるインフラ」になっていると著者はいいます。
また著者は、この時期にもっとも変わったのは大企業だったと主張しています。マイクロソフトなどの大企業は、まだ市場で成功していないベンチャーを次々に買収しており、著者はこうした変化にややとまどいつつも、起こっている変化の本質を見抜こうと鋭い観察眼を注いでいます。「文庫のための長いあとがき」では、こうした変化にはバブル発生やモラル・ハザードといった問題がつきまとうことを確認しつつ、そうした「負の側面」まですべて含めて、シリコンバレーの強靭な経済メカニズムが回転していることを見ようとしています。
本書の後半では、万難を排して独占を維持し、産業全体のイノベーションの活性化を図ろうとするビル・ゲイツの戦いと、マイクロソフトの帝国に風穴を開けようとする無料OSのLinuxの登場が中心テーマになっています。また「文庫のための長いあとがき」では、より明瞭になったIT革命の本質と、それをいち早くつかんだグーグルの台頭とアップルの復活について触れられています。
ウェブ産業について技術面からアプローチした本はいくつか読んだことがあったのですが、経営面からアプローチした本ははじめてだったので、おもしろく読むことができました。ただ、自分にもう少しこの方面の知識があれば、もっと楽しめただろうにと感じました。 -
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IT音痴ではなかった筈だ。それなのに韓国に来て生きるのに忙しく、スマフォ、タブレット時代に完全に乗り遅れてしまった。ところが先日Nexus7を購入したことがきっかけとなり、またITに興味を持つ。活字派の私としては“失われた6年の空白”を埋めるべく、何冊か読んでみることにした。副題にグーグルが出てくるが、本の内容はシリコンバレーからの現地報告である。96~01年までを扱っているので、今は亡き懐かしいベンチャーやソフトの名前に涙ぐむ。内容は古い。しかしシリコンバレーを理解する為にはここから始めるべきだと思う。
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『シリコンバレー精神とは、
未来を創造するために執拗になにかをし続ける「狂気にも近い営み」を
おもしろがり楽しむ心の有様のことである。
そして「時の常識に挑戦し世界企業を創造する」ことをめざす。』
→私も、狂気がなければ・・・
新しいものが生まれないと思う。
私の中には、『狂気』がうすくなってきていることに気がついた。
もっと、鋭さがいる・・・
私は、いま『農民』になろうとしている・・・
そうではない、『農業ビジネス』をするのだ。
『限られた情報と限られた能力で、
限られた時間内に 拙いながらも何かを判断しつづけ、
その判断にもとづいてリスクをとって行動する。
行動することで新しい情報が生まれる。
行動する者同士でそれらの情報が連鎖し、未来が創造される。
行動するものがいなければ生まれなかったはずの未来がである。』
→行動するしか、新しいものは生まれない。
その前に、『判断』をキチンとする・・・
『マドルスルー』をやりぬく強い意志と
『絶対にギブアップしない執拗さ;tenaciousness』の二つがいるという
マドルスルーとは
『泥の中を通り抜ける。
先行きが見えない中、手探りで困難に立ち向かう』こと。
→多分、いまの私は、泥の中に浸かっていて・・
なかなか前に進まない状況に、いらだっているのだと思う。
だから、その状況を切り開くのは、
私であるとおもう。
私しかないという現実。 -
ウェブ進化論の前哨戦とも言える一冊です。
そういえばブラウザ戦争なんてものもあったな、と思い出になってしまっているわけだが、有料ソフトウェアの終わりはこの時点で見えていたし、Googleの萌芽も感じられていたわけですね。
内容もさることながら、著者自身、迷いながら日々成長しようと悪戦苦闘している姿勢が非常に勉強になりました。 -
項目が細分化されており、読みやすい。厳しい一面も書かれており、より具体的でした。
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012009.
90年代後半、シリコンバレーの地でネットバブルを同時進行の形で体験した著者の報告。ベンチャー精神やコンピューター技術者の心情の一端に触れられる。 -
シリコンバレー。