- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480422583
作品紹介・あらすじ
反応は遅いが落ち着いていて、息がながく、飽きることが無い-これがイギリス人といえる。文学作品にも良く現れている。夏目漱石がいち早く注目したオースティンの小説は、何事も起こらない、何ページ読んでも、書かれるのは日常生活のことばかり、だが、人生の本質を見事に描く。理解しづらいイギリス、この国の小説を読み続けてきた著者が国民性の側面からロレンス、オーウェル、フォースター、ドラブルをはじめ、20世紀イギリス小説の世界を案内する。鋭い視点に貫かれた随筆集。
感想・レビュー・書評
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現代日本を代表する英文学者にして翻訳者である著者の、英国と英国文学にまつわるエッセイと評論。軽めの紀行文や文学随筆もあるが、中心は9名の近現代作家をとり上げた作品論。
自分が英国文学の中のごく限定的な英国イメージを楽しんでいただけなのだなと思い知らされたいへん苦しかった。わたしの思っていたよりずっと切実に生と対峙し、泥臭く切り結んでいる。その一方で十年一日の如く同じことを繰り返し、人生を斜めから眺めるのも英国文学。
とにもかくにも勉強になった。お気に入りのE・ウォーとE・M・フォースターはもちろん、D・H・ロレンス論などとても美しく、読まねばという気にさせられた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
19-20世紀イギリス文学をやっている人なら、おっ!と思う一冊。
しかし、わたしは半分ぐらい読んで挫折。マーガレット・ドラブル論は読めたが、本来の購入目的であったフォースター論が、どうも読み進められない。
おそらく、わたしが未熟なためでだろう。もう少ししたら、再挑戦したい。 -
長年、イギリス小説の翻訳にたずさわり、文学に造詣の深い著者による作家論とイギリス人の気質や文化を語った名随筆集。私が持っているのは当初の晶文社の単行本ですが、こちらは新しく文庫化されたもの。一文、一語、丁寧に味わうように訳されていた小野寺先生の講読を思い出します。