スペイン旅行記 (ちくま文庫 ち 8-3 カレル・チャペック旅行記コレクション)

  • 筑摩書房
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480422965

感想・レビュー・書評

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  • チャペックが1929年の秋にスペイン(行ってみたい!)を訪れた時の紀行です。島国の者としては、「国際急行列車」で行くというのが羨ましい! 気候風土も文化風俗も、違いを大いに楽しんでいますね。私の憧れの古都トレド、大好きなゴヤが熱く語られていて感動です。最後の章で、「相違のそれぞれは、愛する価値がある」「人生を何倍もゆたかにする」という主張に大賛成です。

  • 『北欧の旅』に比べるとずっと浮き浮きした、光と喜びに溢れた旅行記。自筆の挿し絵もノリノリで、この本を通じてスペインを体験できる。スペイン旅行に持ってきて、チャペックの描写の正確さにびっくりした。もちろんそこには現在では見られないスペインも含まれているのだけれど、先に読んでしまうと自分の感じることがチャペックの文章のとおりになってしまう危険があるほど。

    最後の章がとても良い。何で旅行に行くの?と聞かれたら、この章を回答にしたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「チャペックの文章のとおりになって」
      それも良いかも、、、チャペックの旅行記とサセックの絵本を持って旅に出たくなる。。。
      「チャペックの文章のとおりになって」
      それも良いかも、、、チャペックの旅行記とサセックの絵本を持って旅に出たくなる。。。
      2013/05/23
  • 「チャペックによる、君よ知るや南の国。 」

    国際列車に揺られてやってきたスペインは、ヨーロッパらしからぬ風物にあふれた国。街角から庭、人、自然にいたるまで、見るもの聞くもの驚きに満ちたカレル・チャペック魅惑のスペイン紀行。

    おもしろかったな。これ。
    何がってカレルチャペックの視点からみたスペインが。
    なんかもうね、南国なんだよね。
    いや南国どころか、チャペックにいわせれば
    「ピレネー山脈を越えたらもうアフリカ!」なんだって。

    日本から見たらスペインはそりゃ西の果てにあって、
    もちろんヨーロッパで、フラメンコと闘牛が有名な情熱の国で…って
    お決まりのイメージなわけですが、
    ここにはチャペツクの目を通して見た「あなたの知らないスペイン」がある。

    飛行機に乗って西へ向かってひとっ飛びではなく、
    チェコを後にドイツ、ベルギー、フランスと3つの国を南下しながら横断し、
    目の前にそびえるピレネーを越えた先にある南の国、
    その先の海の向こうにはアフリカの大地がひらけている、
    というのがチャペックのスペインなわけです。

    そこでは街にも人にも自然にも
    ヨーロッパにアフリカ、ついでにイスラムが混沌としていて
    ほかの何処とも違う空間が出来上がっている。

    チャペックの目を通して、スペインという国の認識を「ヨーロッパの一国」から
    「ヨーロッパとアフリカをまたぐ国」というように変えただけで
    そこで語られるフラメンコや闘牛、
    ベラスケスやエル・グレコといった名だたる画家たちさえも、
    全く違うものに感じられてくる。

    本書を読まれたなら、その後にぜひ世界地図を眺めてみて。
    その証拠にイベリア半島そのものが、
    もはやヨーロッパとアフリカの間に横たわる島のように見えてくるから。

  • スペインに興味が湧いていたので読んでみたが面白かった。カレル・チャペック。『ロボット』という言葉の考案者であることは何となく知っていたが、著書を読んだ事なかったので自分としては思いがけない発見だった。80年程前の旅行記だけど特に気にならず(現在のスペインもリーガ・エスパニョーラぐらいしか知りませんが…)街並み・人々の生活が詩的に表現されていてとてもいい。旅行でこれ程感動的になり美しく表現できるのはとても羨ましい。『アルハンブラ物語』もそうでしたがオリエント風の建築物に魅かれますね~。

  • カレル・チャペックさんはチェコの文筆家で、『ロボット』という名を作った人、ノーベル賞を辞退した人。
    この作品は彼が昭和4年10月にスペイン旅行をした見聞をまとめたもの。
    このころのチェコは大変な時代だったでしょう、彼もナチスに対抗したひとりだったそう。
    でもそんな様子みじんも見せず、とても楽しそうな旅行記です。

    闘牛のところでは、かなり興奮気味。
    知らなかった。こんなに残酷なものだとは。
    プロレスとか相撲みたいなイメージでした。
    今でもそうなんでしょうか?
    見たくないな…。

  • 新書文庫

  • 出口治明著『ビジネスに効く最強の「読書」』で紹介

    ナチスに対抗した著者が、スペインの風俗や民族を生き生きと描いた旅行記。

  • 陽気。

  • 1929年に著者が旅したスペインの旅行記。主にマドリード・セビーリャ・トレドをあたりが書かれている。軽い文体で気楽に読めた。挿絵も楽しい。著者もピレネーを越えるとアフリカと言っている。ピレネー以北のヨーロッパ人のどれくらいがそう思うのだろうか。
    旅についての良い文章があった。以下抜粋。

    「聞いてくれ旅人よ、きみは、異国を認識するためには、食べたり飲んだりしなければならない。<中略>世界のあらゆる民族は、さまざまなスパイスや調理法で、地上の楽園を実現させる道を求めている。どの民族も、彼ら独自の舌を、美味を求める舌を持っている。だから、その民族の舌を感得したまえ。」(P57)

    「きみ、これまで知らなかったなにかを見たり、それに触れたりするのは、喜びだ。物事や人びとの相違の一つひとつは、人生を何倍にも増やしてくれる。感謝と喜びにみちて、きみは自分の習慣以外のものを受け入れた。」(P248)

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著者プロフィール

一八九〇年、東ボヘミア(現在のチェコ)の小さな町マレー・スヴァトニョヴィツェで生まれる。十五歳頃から散文や詩の創作を発表し、プラハのカレル大学で哲学を学ぶ。一九二一年、「人民新聞」に入社。チェコ「第一共和国」時代の文壇・言論界で活躍した。著書に『ロボット』『山椒魚戦争』『ダーシェンカ』など多数。三八年、プラハで死去。兄ヨゼフは特異な画家・詩人として知られ、カレルの生涯の協力者であった。

「2020年 『ロボット RUR』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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