わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい (ちくま文庫 か 29-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 284
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480422972

作品紹介・あらすじ

思い切って買った、ひとひらの花弁に似たピンクのガーター・ベルト。「買った翌日から洋服の下につけた。私の中身はピンク色に輝き、おなかは絶えずひとり笑いをした。とくにトイレへ行くときがたのしみである。ぱっとスカートをめくると、たちまちピンクの世界が開ける。おしっこまでピンク色に染まっているようであった」。たった一枚の下着による感動が、鴨居羊子の人生を変えた。

感想・レビュー・書評

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  • 古書店で見つけ購入。新聞記者から下着デザイナーになった鴨居羊子。黎明期の興奮とその頃の大阪の熱い雰囲気が伝わると共に成功後の寂しさも感じた。人生が「目的意識」に囚われすぎる事を嫌い、仕事に対する正しさを常に意識してたのが素敵。

  • 私のバイブルその1。

    初めて読んだのは15歳のときで
    旺文社から82年に出版されたものでした。

    服飾の高校に入り
    ひとりだけ枠から外れたものを作ろうとする
    変わり者の私に、担任の先生が薦めてくれて
    古本屋で購入しました。

    読みすぎてぼろぼろになったので
    こちらを購入しなおしたわけですが。


    「女の子だって、好きなことをしていいんだし
     何かを守るために闘ったっていいんだ」

    そう教えてもらいました。

    死ぬまでずっと
    私のバイブルです。

    • edward0812さん
      ボクはフォロワーさんの本棚で見つけて読みました
      彼女のような女性が増えると世の中が明るくなりそうですね
      ボクはフォロワーさんの本棚で見つけて読みました
      彼女のような女性が増えると世の中が明るくなりそうですね
      2012/07/17
  • 私は女性だけどとくにフェミニズム的な考えの持ち主ではないので、男性に勝ちたい的な気持ちは無いに等しい人間なのだけど、それはきっと過去の女性たちが女性の権利について闘って時には歯向かって勝ち取ってきた「今現在の女性の地位」というものを享受しているからなのだろう、と思う。
    鴨居羊子さんのことは気になっていた。堅い家に生まれ本人も一度は新聞記者になるものの、30歳あたりで退職して女性の下着会社を立ち上げた。生まれたのは戦前なので、先頭に立って働く女性の先駆けみたいな存在だ。
    下着のデザインも手掛け、映画と絡めた下着ショウなども行なった。今で言う前衛的なアイディアをもってのし上がっていく。
    この本は「スキャンティ」という言葉の生みの親でもある、鴨居羊子さんのエッセイ。
    新聞記者時代から始まり、違和感から退職し、下着会社を立ち上げ、協力者を得て、紆余曲折ありながらも成功していく過程が飾らず淡々と書かれている。地頭がよく、その地頭のよさを最大限使って生きていく女性の姿はとても格好いい。

    今はオシャレだったり可愛かったりちょっとエロティックだったりする女性用下着は当たり前にあって誰でも手に入れられる時代だけど、戦後まもなくの日本でそういった下着を作ろうと考えた鴨居さんはやはりどう考えてもすごい女性だ。
    女性は貞淑であり、家を守り、よき母親であり…みたいな思想が当たり前だったであろう世の中で、色んな反発もあっただろう。だけどそんな中で女性からの支持を得ていったのは、女性だって自分らしく生きる権利があると考えていた人が多くいたからなのだと思う。

    まだまだ男女同権とは言えない日本なのだろうけど、過去に闘って自分らしく生きやすい世の中を築いていった女性たちがいて、今がある。私たちはそれを、知らず享受している。
    頭とアイディアとセンスを使って自分らしさを築いた鴨居羊子、やはりとても格好いい。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“コンクラーベ”で登場。
    http://harajukubookcafe.com/archives/539

    SPBS 鈴木美波さんが押切もえさんにプレゼンした1冊。
    『一冊読むと鴨居さんの自伝的要素も詰まっていて、なんかちょっと道を切り開いてきた方だからこそ元気をもらえる本だなと思い、選びました。』(SPBS 鈴木美波さん)

    残念ながら、結果は惜敗!押切もえさんの今読みたい本には選ばれませんでした。。


    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • 面白かったけど、途中から下着の話が少なくなってきて読みたいエピソードは前半に集中していた。

  • 男らしく、なんだか頼もしいヨーコさんに惚れました。
    ピンクのガーターベルトをはじめてつけるときの文章は、何度読み返してもキラキラしててすてき。

  • どんな人だったんだろうと思って軽く検索してみてもあまり引っかからない。
    チュニックという会社は、まだ存続していて下着を売っている。
    でも今の時代の新しいデザインでなくておそらく鴨居羊子さんのデザインの延長と思われるデザインを新作として発表していた。
    スキャンティとかペペッティとかいろいろデザインされたようなんだけど今調べてもよく分からない。ちゃんと残したほうが良いのでは?
    鴨居羊子記念館みたいなのあるんだろうか?あったら行ってみたい。
    この本も桜庭一樹さんの「小説という毒を浴びる」で紹介されて読んだ。良かった。

  • 母親との対立のシーンではうるっときた。金銭的な問題から家庭のために父からもらった大切な指輪を売る姿や、娘が世話になっている友人にご挨拶をする姿。心から感謝して尊敬しているのに、なぜか心から感謝の気持ちが表せない矛盾のシーンにはとても共感した。
    初の個展ではどうなることかと思ったが、ヌード喫茶という意外なところから大口注文が入ったりと、商売は本当にわからないものだなと思った。

    自分のやりたいことをやり通せる、エネルギーに溢れた人という印象。
    本書も彼女の中で印象に残った内容を書いているため、私のように彼女の仕事にするエピソードを期待して読み始めた人には後半の内容は唐突に感じてしまうかも。

    終始彼女の日記を読んでいるような語り口なので、それによって人となりが想像しやすくなるものの、私は読みづらく感じてしまった。

  • 特に鼻吉について、
    こんなに素直に大事に思っている気持ちを言葉にできて、それで伝えられたら素敵だろうなぁと思う。

  • まだ下着というものが単なる機能性だけで語られていた戦後まもない時代に、下着にセンシュアスな審美性を持ち込み、世間の下着のイメージを大きく変えることに成功した実業家、鴨井洋子によるエッセイ集。

    彼女が下着と並んで情熱を注いだ食に関して語ったエッセイ集『カモイ・クッキング』は、私の精神安定剤として機能していた時期がある。そんな彼女が、自らが女性用下着メーカーのチュニックを立ち上げ、カラフルかつ装飾に彩られたスキャンティ、ココッティなどの数々の新たな女性用下着で、いかに日本の女性の解放に寄与したかが、本書を読むとよく理解できる。そして鴨井洋子という類まれな企業家の成功への道のりが決して平坦ではなかったということを本書は教えてくれる。

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著者プロフィール

下着デザイナー、画家、コラムニスト

「2020年 『鴨居羊子の生き方百科』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鴨居羊子の作品

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