- Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480423597
感想・レビュー・書評
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柳田國男さんの怪談に纏わる作品集ですね。
編集者のいわく、「本書は、実作と研究の両面において、近現代日本の怪談文芸に多大な影響を及ぼしてきた柳田國男の分業の中から、当該分野での真価と全容を窺うに足る代表作二十五編を精選収録したアンソロジーである。」とあるように多岐にわたる怪談に関する作品集ですね。
ちくま文庫は文字が大きく文章も読みやすく成っているので頭に入りやすいですね。
柳田國男さんの怪談収集は学問としても、作家としての文学性も重視して民俗学の巨匠の地位を不動の物にされています。
有名な「遠野物語」も柳田さん自身が後年「まあ『遠野物語』はほとんど文学作品といってよいでしょうね」と語っておられたそうです。
夏真っ盛りに柳田文学に浸るのもよいでしょうね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イロイロな怪談話や考察が載ってて読みやすくて面白い。もっと説明的で読みにくいかと思ってたので、読みやすくて良かった。色んな山の話も出て来たので、そんな話を思い出しながら登ってみたい。ちょっと怖くなるかもしれんが…
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柳田國男は面白い。
…と感じられるかは個々人の興味の在り処に依る部分が大きいと思います。私は大学時代に『先祖の話』を読んでハマってしまいました。
この文庫本は柳田國男の著作の中でも、怪談話を紹介したようなものを集成した著作集で、後半の方は怪談集の序論のような本編なしで読まされるのもどうなのかという類の短文が混ざっているので、コンセプトからするとあまり上手に編集されてない著作集だと思います。
『先祖の話』で受けた印象より、カタカナ語などをお洒落に使うインテリオヤジ風の文章だった所に新鮮な驚きがありました(笑)。
本書にはかの有名な「遠野物語」も収録されているのですが、それ以上に面白かったのが「狸とデモノロジー」と「一目小僧」。
前者は言葉づかいが比較的現代っぽく、短いので「遠野物語」で挫けてしまった方にも読んで頂きたいです。
柳田國男自身は怪談を肯定も否定もしない(疑いつつ信じる)という立場を取りながら、霊的な存在としての狸を面白く分析していて、柳田國男っぽくはないんですが、実に面白い小論でした。
後者はなかなか読みごたえのある論文なのですが、一目小僧の“正体”と恐ろしい過去に寒気を覚えるくらいです。仏教が流入する前の日本人の神様との付き合い方が垣間見え、まさかあんな可愛らしい(?)ビジュアルからは想像できない結論に柳田國男を感じさせる作品です。
どうでもいい話ですが、補遺に登場する相模国愛甲郡の熊野神社!The ★ Jimoto です!お祭にも一回ぐらい行ったかな。まさかそんな伝説が残されていたとは知りませんでしたが、我が家は愛甲郡ではないので、柚子がちゃんと育ちます。 -
民俗学の本。
怖い話の信憑性、神隠しと思われていたことが、実はこんな理由で人がいなくなったのでははないかと推察されています。
怖い話だと思ったら作り話。あきれました(タイトル「幽冥談」)なんてことが書いてあります。さすが民俗学の大家。 -
伝統的な怪異を扱った本で触れる機会があったのは、さまざまな子供向けの昔話、日本霊異記のような説話集、水木しげるの妖怪本だろう。わたしにとってそれらのどれもが、自分のいる「ここ」とはつながっていない別の世界の話だった。どきどきするけれど、どれも本の中のことだった。
柳田國男の文章を読むと、言い伝えの現場が「ここ」とつながっているのだという感じが強くする。現代では説話としてパッケージ化されているエピソードが、何世代か前の人たちにとってリアルだったことが伝わってきて、そんな風に「こわいもの」と共存してきた人たちの子孫として自分がいることの実感があって、世界が今までとちょっと違って見える。
読んでいる間はなんどもつっかえて、ページを進めるのが遅くなってしまったけれど、柳田國男には何か独特な文章力があるみたいだ。世界が違って見えてしまう本って、なかなかない。
「夢がたり」(これは創作)が小川未明の短編みたいで、とても美しい。もっと読みたい。根岸鎮衛の『耳袋』も読まねば。 -
最初から最後まで通読しようと意気込んでいたが、厳しかった。
ずっと読むには少々飽きる。友達と怪談話をやるにしても、最初の5・6話はワクワクしながら聞ける。しかしさすがに10話20話となると飽きてくる。まさにそんな感じ。
目に付くところにおいて、たまに開いて読むくらいがいいと思う。