トランプ自伝: 不動産王にビジネスを学ぶ (ちくま文庫 と 18-1)
- 筑摩書房 (2008年2月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480423795
作品紹介・あらすじ
ドナルド・トランプは、1980年代に「トランプ・タワー」「トランプ・プラザ」などの大規模開発を次々に手掛け、「アメリカの不動産王」として名を馳せた。一代で巨万の富を築いたその成功の裏には、大胆な発想と緻密な計算、そして粘り強い交渉力があった。市当局や銀行との折衝、提携先やライバル企業との攻防などを生々しく描き、全米ミリオンセラーとなった初の著書。
感想・レビュー・書評
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今年の米国選挙。今は党の代表者選びだが、NHKの速報を見ると共和党はトランプが圧倒的。78歳になるのだという。相変わらずのパワフルさだ。賛否ある。メディアによる作為的な切り抜きもあるだろう。過去に遡って為人を知りたかった。
本著の執筆は、ドナルド・トランプ41歳。ちなみに、資産30億ドル、マンハッタンに68階建ての超豪華ビルトランプタワーを建て、4つのカジノを所有するイケイケの若き不動産王。10万ドル近いお金を投じて、アメリカの新聞に広告を出し、レーガン政権の対外政策を批判。この頃から彼が政界への進出を狙っているのではないかと憶測する向きもあったが、本人にその気はないとの事だった。
パワフルさと率直さ、強引さは変わらない。彼にとってマネーは一義的な目的ではなく、実業そのものがゲームであり、ゲームだから興奮し、楽しみながらバトルする、という感覚に近い。
ー 成功すると人生はいっそうもろくなる。だから私は自分が成し遂げたことにあまり執着しないようにしている。私にとって金はそれほど大きな動機ではなく、単に実績を記録するための手段に過ぎない。本当の魅力は、ゲームをすること自体にあるのだ。
ー 学生時代、同級生たちが新聞の漫画やスポーツ欄を読んでいる時、私は連邦住宅局の抵当流れ物件のリストを読みふけっていた
ー これまでの人生で私は得意なことが2つあることがわかった。困難を克服することと優秀な人材が最高の仕事をするよう動機付けることだ。これまではこの特技を自分のために使ってきた。これを人のためにいかにうまく使うかが今後の課題である。といっても誤解しないでほしい。取引はもちろんこれからもするつもりだ。それも大きな取引を着々とまとめていくだろう。
国際関係の機微をどこまで織り込んでジャッジする事ができるか、ホワイトアングロサクソンやユダヤ系を含むエスタブリッシュメント、岩盤支持層であったはずのラストベルトなど、新トランプへの反応はいかに。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不動産王にビジネスを学ぶというのが本書の主旨です。
章「取引」、「トランプの手札」というビジネスに臨む姿勢から、章「生い立ち」以降は、トランプタワー、カジノ買収などが描かれる。
ティファニー、ヒルトンなどもそのあたりにいるただのビジネスマンと思ってしまうくらい、トランプの印象は強烈です。
電話を一日100回以上かけ、12人と出会う。打合せは、15分以内で、昼はトマトジュースを1缶のむ。
時間を無駄にすることを嫌う。キーパーソンと直接取引をして、自らの決断でビジネスを進めていく。
トランプの取引のやり方は単純明快だ。ねらいを高く定め、求めるものを手に入れるまで、押して押して押しまくる。
物事を大きく考えるのが好きだ。どうせ何か考えるのなら大きく考えた方がいい。
大きく考えるためのカギはあることに没頭することだ。
私はギャンブルが好きと思われているが、ばくちを打ったことは一度もない。商売ではきわめて慎重なほうだ。
つねに最悪を予想して取引二臨む。最悪の事態に対処する方法を考えておけば、つまり、最悪を切り抜けることができれば、何があっても大丈夫だ。
私は融通性をもつことで、リスクを少なくする。一つの取引やアプローチにあまり固執せず、いくつかの取引を可能性として検討する。
何かを決める前には、必ずいろいろな人の意見を聞く。根ほり葉ほりきいているうちに、何かがつかめてくる。その時に決断をする。
私が本気でとりあわないのは評論家だ。
良くしてくれた人には、こちらも良くする。けれども不公平な扱いや不法な処遇を受けたり、不当に利用されそうになった時には徹底的に戦う
世間をだますことはできない。少なくともそう長くは無理だ
どんな素晴らしい計画を立てても、妥当なコストで実現しない限り意味がない。
目次は次の通りです。
1 取引
2 トランプの手札
3 生い立ち
4 シンシナティ・キッド
5 マンハッタンへ
6 グランド・ハイアット・ホテル
7 トランプ・タワー
8 賭博
9 棚ぼた
10 低家賃の豪華アパート
11 大きな賭け
12 ウォルマン・リンクの再建
13 カムバック
14 一週間を終えて -
トランプ大統領の人となりと考え方を知りたかったので購読。
自伝のタイトルは『THE ART OF THE DEAL(取引の芸術)』だと聞いていたので、「この本で合ってる?」と不安に駆られたが、何ページかめくったら分かる通り、この本で間違いないようだ。
さて、原著は1987年、つまりトランプ氏が40代前半の時に出版された自伝である。
本書を読むと、彼の原点(バックボーン)は、「建物を建てる」ことにあるように思えた。
「不動産王」とか「資産家」と聞くと、何となく、自分は動かずして、指一本で右から左に何億という金を動かしていそうなイメージがあるのだが、トランプ氏の場合は、どうも違うようだ。
どういうことかと言うと、トランプ氏の父親が大工を経てデベロッパー(開発業者)になった人で、トランプ氏も父親の事業を手伝っていたため、トランプ氏は建築の知識を持っている。
そのため、彼は、ただ土地や株を買ったり売ったりするだけでなく、「どのような建物を建てるか」「どのように建物を作るか」を自ら知恵を出して実行に移している。
建築の知識があるから、金をかけるべきところと、節約すべきところが分かり、そのためいつも予算内で高層ビル等を建ててみせる。また、毎日現場に赴き、発破をかける等することで、必ず期日内に完成させる。
もちろん、彼がのし上がった理由は、他にも色々見て取れるが、私が一番「トランプ大統領はこういう人なのか」と感銘を受けたのは、このような「地に足の着いた、有言実行する人物」という部分であった。
トランプ氏は、その「予算内で、期日内に完成させることができる」という強みを生かして、ニューヨーク市が手掛けていたが6年経っても完成させることが出来ず予算も大幅に超過していたスケートリンクを、その後を継いで事もなく4か月で予算内に完成させてしまう。
本書を読むと、アメリカの人達が、トランプ氏を大統領にと投票した気持ちも分かるような気がする。30年以上前から、問題発言はあるにせよ、有言実行の有能なやり手である様を見てきているわけだ。
また、「メキシコとの国境に壁を作る」と言っているのも、「建築が得意分野で、象徴として建築物を建てることを重視しているからだろうか」と空想した次第である。
これは私の勝手な妄想だが、本書の内容を、今のトランプ大統領の言動や政策とリンクさせて考えるのも面白いかもしれない。 -
文章の中で、強い相手の時は自分が相手より強い振りをするという箇所が一番印象に残った。
自分にはできていないことなので、このようなことができるようになりたいと意識しようとお思った。 -
昨年末のBRUTUS読書特集で気になった一冊から。
当時、まだただの不動産王だったトランプ大統領が40代の時に書いた最初の本、自伝。
これを読むと、トランプさんの交渉術は昔から変わっていないんだなっていうことが分かる。受け入れられないような提案も「一応当たってみるのが私の主義」だって言っているし。「衝動的に行動してはいけない、不都合なことがないかどうか、よく考えてからにせよ」という教訓を得たとも書いてあるけど、それは定着していなさそう。
とりあえず、トランプさんと交渉するかもしれない世界の外交関係者は一読しておくべきなんでしょうね。 -
さほど面白くなかったので飛ばし読み。
不動産投資に係る駆け引きもあるにはあるが、規模がでかすぎてあまりピンとこなかった。
ユーモアとかドラマの要素がほとんどないし。
1988年刊行で大統領選への言及が少しあって、ちょっと驚いた。 -
何気なく借りたトランプの本。すごいね、この人の一言に尽き、しかもわたし結構嫌いじゃないかも。ってくらいにサバけてる。笑
はっきり、キッパリしてて面白いこと大好きな人。金じゃなくて要するにゲーム感覚らしい。面白いマネーゲームだから不動産にはまって、建築にはまって、そして今政治家としてやってるっぽい。
かなり前の本だけど、20歳くらいからの20年くらいの間にどんなことしたか?みたいな本だったんだけど、ホント弱いものいじめは嫌いだし、楽しい相手は敵であっても大好き。みんなに嫌われても楽しいのはやめられなーい。みたいな人でした。笑!!!
トランプの日本人に対して思うことを、最近ニューで見たけど、まぁ、なるほどな。と、思うほどつまんねーなーこいつら。って感じなのは読んでてわかった!笑!!
うん。日本人特有のおべっかとか慎重、勤勉とかいいけど、つまんねーなー冗談も皮肉も通じねーのかーって思いそう。
そして、わかりやすいくらいに豪邸に住んで、贅沢するのはゲームに買ったからじゃーん!っていう雰囲気で、なんかどーも憎めないなぁ。と、思うしホントにすごい人だな。の一言でした。
20年以上前にすでに妻が、楽しそうだったら大統領とか立候補するかもしれませんねー
って話してるのもなんかわかる気もするなーと、思った。笑 -
アメリカ大統領選直後に、慌てて読んだ。自伝というと、自分の自慢話し終始するものもあるが、この本はトランプが不動産王となった秘訣を惜しげなく公開している純粋なビジネス書としても大変な価値があると思った。 以前は、トランプは、核ミサイルのボタンを簡単に押すのではないかと危惧していたが、この本を読んでトンでもない人ではなく、大統領に選べられるべくして選ばれたことが納得できた。 2017年以降のアメリカが楽しみである。
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この本はいまだ私の座右の書。何度も再読する価値あり。「もうけとは投資した金額がゼロに近いほど利益との差が大きいほど純粋なもうけになる。」