紅い花,やなぎ屋主人 (ちくま文庫 つ 14-5 つげ義春コレクション)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425454

感想・レビュー・書評

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  • 旅先に特別さを求めて行っても、現実はそううまく日常と完璧に乖離された体験をできるはずもなく、
    生活じみたところをみつけて、幻滅した思い出もある人も多いはず。
    しかしそういうものこそ心に残って、えも言われぬ旅情を思い起こさせる。
    つげ義春の旅行漫画は、その生活じみた人間臭い部分を味わえる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764269

  • 第5回 紅い花/やなぎ屋主人(旅もの。シリーズ第3巻に「ガロ」掲載作がまとまっているが、この巻も3分の2がそう。つげ+ガロのマリアージュはこちらにも。)
    ・紅い花 1967 のうキクチサヨコ。うん。眠れや……。
    ・西部田村事件 1967 もう秋ですね。ごらんなさい、こんなにマツタケが……。
    ・長八の宿 1968 やァいつのまに顔を出したかの。
    ・二岐渓谷 1968 まず絶望です。
    ・オンドル小屋 1968 どっちもどっちもどちらもどっちも。
    ・ほんやら洞のべんさん 1968 おやじさま十万円の鯉の味はどんなものかね。お前さまはべらべらとよくしゃべるね。
    ・もっきり屋の少女 1968 頑張れチヨジ。頑張れチヨジ。
    ・やなぎ屋主人 1970 その時のことを思い出すと……なぜか、あの店先で年とった自分と彼女が佇んでいる情景が、色褪せた古い記念写真のように思い出されてならないのだ。
    (↑以上すべて「ガロ」掲載)
    ・リアリズムの宿 1973 けれど玄関に一歩入ったとたん、リアリズム過ぎるなと思いがっかりする。
    ・枯野の宿 1974 そんなことないよ、この絵はとってもなじめるよ。
    ・庶民御宿 1975 Kさん恥をかかせないで、長いこと考えぬいたことなんです。
    ・会津の釣り宿 1980 小石は下流に流されますが、大石はときとして上流へ昇ってくるのです。それはまるで生きもののようです。
    (解題・高野慎三 解説・村の記憶 早坂暁)

  • 2019/1/14購入
    2019/1/15読了

  • テレビ番組『このマンガがすごい』で、映画監督の塚本晋也さんが『やなぎ屋主人』の実写化に挑んだ。原作のモデルとなった食堂で店員として働き、役作りに励むという力の入れようで、監督も自らこなした。できあがった作品のなんともシュールな仕上りが、なんだかうれしくなって、原作を読みかえしたくなった。健さんの『網走番外地』を聴きながら。

  • のうキクチサヨコ

  • 裏表紙より。

    「紅い花」に始まる、つげ義春の“旅”。見知らぬ土地で出会う少女、飄々と生きる男たち。独特のユーモアに溢れる旅マンガの傑作12篇を収録。

    【収録作品】紅い花/西部田村事件/長八の宿/二岐渓谷/オンドル小屋/ほんやら洞のべんさん/もっきり屋の少女/やなぎ屋主人/リアリズムの宿/枯野の宿/庶民御宿/会津の釣り宿
    解説 早坂暁
    解題 高野慎三

  • 「やなぎ屋主人」を読みたくて買いました。「やなぎ屋主人」は、何か、さらーっと読んだらどこからが現実の話なのか分からなくなってしまう。ユリイカなんかで書評(?)読んだら、やっぱりその辺が(妄想なのか実行したことなのかっていうとこが)読む人によって別々やったのが面白かった。
    別の巻に収録されとるけど、「やなぎ屋主人」の完成形というか、もっと突っ込んだものになったのが「ゲンセンカン主人」やと思う。「ゲンセンカン主人」は、「やなぎ屋主人」での妄想が現実になっているんじゃないかと思うのです。

  • M まんが

  • <旅もの>を集めた一冊。
    つげ義春本人とも思える男性(たまに2人組になる)が日本各地を旅し、現地の人間達とつかの間ふれ合う様子を描いている。
    ほとんどの話が私小説風であること、旅先の風景がかなり細かに描かれていることから、まるで自分も旅をしているかのような気持ちになれる。
    しかし、決して楽しい旅ではない。
    旅先の人間達は皆、昔から続く自分の生活を淡々と送っているだけで、外からの訪問者に対してもなんら飾り立てることなく、逆にそのこびりつくような現実感・生活感で旅人の心をざわつかせる。読んでいるこちらの心もざわつく。
    救いも何もない話ばかりなのだが、なぜか夢中になってしまう。
    <旅もの>ハマりました~。

    「やなぎ屋主人」の冒頭、ヌード小屋?のような部屋の中の陰影が素晴らし過ぎて、話抜きにそれだけ見つめていたくなる。
    女の裸体の凸凹に入り込み、肉を強調する光と影。

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著者プロフィール

つげ 義春(つげ・よしはる):1937年生まれ。漫画家。

「2024年 『つげ義春が語る 旅と隠遁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

つげ義春の作品

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