図書館の神様 (ちくま文庫)

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著者 : 瀬尾まいこ
  • 筑摩書房 (2009年7月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480426260

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図書館の神様 (ちくま文庫)の感想・レビュー・書評

  • 学生時代にバレーボールに打ち込んできたが、訳あって将来の夢をあきらめた早川清。名前の通り清く正しく真っ直ぐに生きてきた学生時代、過去の苦い思いからの反動か、男女関係も少々屈折していた。

    バレーボールの顧問になれるかも?と赴任した高校で任されたのは文芸部。ただ一人の部員である垣内君。ピュアで真っ直ぐな垣内君、とても落ち着いて動ぜず高校生らしからぬ言動には、にくらしいやらほほえましいやら。

    初めての出会いと二人の会話では、おいおい、どちらが先生だよと突っ込みたくなる。いい加減、脱力感たっぷりの清に対しても、常にクールで冷静な垣内君。ときおり二人の会話のぼけとつっこみで、掛け合い漫才のように聞こえてしまうのは私だけか。

    文芸部の朝練は図書館の本の整理、分類コードをやめて分野別に全部並べ直し、重労働ですよね。

    「本屋さんになれそうですね」
    「どっちかっていうと、司書でしょう」

    そりゃそうだ。

    忘れていた気力も思いだし、答えの出るはずもない逃げ込んでいた、都合の良いだけの男女関係からも抜けだし、再度青春のパワーにさらされる清。

    最後の部活で運動部の間をぬって疾走する二人。図書室に戻り床に仰向けに寝転がる。

    「なんなんだ、これは」
    「なんなんでしょうね」
    「いやあ、ひざも笑ってるし、私も笑ってる。体中が笑ってるし」
    「あれ、これって青春」
    「どうやらそのようですね」

    瀬尾さんの優しさいっぱいのドラマでした。

  • 再読です。初めて読んだ瀬尾まいこさんの作品でした。
    垣内君と清の掛け合いがおもしろいです。思わず読みながら噴き出してしまうことも・・・(笑)作中に出てくる文学作品を読んでみたくなりました。
    清は過去のある出来事のせいで日々を投げやりに過ごしていました。でも文芸部で出会った垣内君との交流、弟の拓実の優しさ、浅見さんと過ごした時間と別れによって、清の心はだんだん救われていき、変わっていきます。
    垣内君がユーモアがあって優しくて、かっこいいです・・・最後の主張大会での堂々とした発表・・・惚れました!他人にどう言われようが関係なく、垣内君は文学から多くのものを吸収し、充実した高校生活を送っていたと思うし、青春していたと思います。
    あと、弟の拓実の底なしの優しさに清は本当に救われていると思いました。瀬尾さんの作品を読んでいると家族の支えの大切さにについて考えずにはいられません。
    瀬尾さんの作品の中で大好きな作品で、自分にとって本を読むってこういうことなんだ、と改めて思わせてくれる大事な作品です。

  • のび太はタイムマシーンに乗って時代を超えて、どこでもドアでせかいをまわる。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく。僕は本を開いてそれをするー。
    文学を通して私は何だってできる。垣内くんのおかげで、本がますます好きになった。

  • いつも正しくあることに重きをおき
    バレーボールに青春を捧げ、
    18歳まで清く正しくまっすぐな青春を生きてきた
    早川清(キヨ)。


    しかしある事件から
    思い描いていた未来を諦めて
    国語講師として赴任した高校で、
    驚いたことに文芸部の顧問になった…。



    部員は3年生の男子の垣内君ただ一人。


    スポーツ万能なのに
    文学が好きな垣内君の秘密とは…。



    不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。




    いやぁ〜このまったりとして
    心地いい読後感。

    大好きな作家です♪


    瀬尾まいこの持ち味である
    あたたかい眼差しで、
    淡々とした日常を描いただけの話なんやけど、
    誠実で優しい文章が
    疲れた心にスーッと沁み入ってきます。



    バレーボール部の顧問になることが目的で講師になったのに、
    活気もなければたいした目標もない
    退屈な部活の顧問になってしまって
    頭を抱える清。

    そんなことにはかまわず、
    毎日一心不乱に
    図書室で川端康成を読み続ける垣内君。


    本気で文学をやりたいと思う高校生がいることに
    清は度肝を抜かれる。


    最初は図書室唯一のマンガ本「はだしのゲン」を読んだり
    海を眺めて
    退屈な文芸部の時間を潰していた清が、
    垣内君と過ごす
    かけがえのない時間の中で
    正しいことが全てではないということに気づき、
    講師ではなく
    本職としての教員を目指していく…。


    お互いの持つ傷には
    決して触れない
    二人の距離感が絶妙で
    ちょっとズレた二人の会話にも
    心が和みます。



    甘くてプルプルした
    プリン。


    透明で餡が透けて見える
    くず餅。


    メロンが沢山載った
    ショートケーキ。


    パスタで結んだ
    朝からじっくり煮込んだロールキャベツ。


    鮭とほうれん草とキノコの
    生クリームスパゲティ。


    などなど
    瀬尾さんの作品ではお馴染みの
    食事のシーンも
    たくさん出てきて楽しい(^O^)


    男前過ぎる(心根がね)
    垣内君を始めとして、

    清と不倫中の
    ケーキ教室の先生、浅見さん

    清の弟でシスコンの大学生・拓実


    28歳で毎年教員採用試験に落ち続けている
    体育講師の松井、


    など登場人物も相変わらず魅力的で
    すんなり物語に入っていけます。



    心に傷を抱えて生きる人や
    文学の楽しさを知らない人にこそ
    読んで欲しい
    本当に清々しい
    再生の物語です♪

  • 一度は手放した文庫を再購入して、再読。

    もうとにかく、いい!!!

    肩に力を入れることもなく
    さらりと読み終えるのに
    体と頭に同じくらい残される爽快感!

    本編も、おまけの掌編も
    すがすがしい明日が待っている、と
    無条件に信じられる。

    清らか。美しい。爽やか。朗らか。
    どんなポジティブな言葉を用意しても
    当てはまってしまう、最高の一冊。

    瀬尾さんの作品、これ一冊しか
    読んでいないのに、これ一冊を繰り返し
    読んでしまうとは。もはや、とりこだね。

  • 自分の正しさが、いつでも世の中の正しさと一致するとは限らない。けれどそんなことに気づくのは、信じていたものに裏切られたり、心がぽきりと折れてしまったり。哀しいことに自分が傷ついて初めてわかることなのかもしれない。

    傷ついた心は、たやすく他人に委ねることが出来ないのだけれど、人は、恋人や家族、周囲の人々に救いを求めながら癒していくのじゃないかな。たとえ、どれだけ頑なに背を向けていようとも。知らず知らずにだとしても、やっぱり人はひとりでは生きられないのだから。

    清と垣内君の関係が気持ちいいくらい清々しく、さっぱりとしている。お互いに傷をさらけだしたり、舐め合ったり決してそんなことはしない。お互いに踏み込まず、ただ、図書室での文芸部の活動を通して。同士のような絆なのかな。なにもかも知る必要もなく、カミングアウトする必要もない。それでも自分の生きる道が自ずから見えてくるのは、実は答えはとっくの昔にあるのだから。

    あ、一番惹かれたのは垣内くんの文学にたいする姿勢だ。それはそれは格好いいのだ。

  • 瀬尾まいこさん、ずっと追っていきたい。

    清せんせい、弟の拓実、文芸部の垣内君、不倫相手の浅見さん、サッカー部顧問の松井。

    しじゅうも過ぎた女が、
    「垣内君と仲良くなりたい」
    と思ってしまう筆力・・・っつか、ごめんなさいごめんなさい、こそこそとキュンとしてますって謝りながら読み進める。

    にまにましたり、泣いちゃったりして堪能したなー。

  • あぁ、また瀬尾さんの学校が舞台の作品に、じわりじわりと飲み込まれてしまいました。

    青春をぶつけた部活動。
    ミーティングで思わずきついことをぶつけてしまい、翌日注意されたチームメイトが自殺。
    原因は自分だったのでは?。

    その後、地元を離れ大学に進学。
    納得できないまま過ごしてきた時間の中で何か夢中になるものはないかと、たまたまお菓子作り教室へ通い、講師の男性と出会い不倫関係に。

    卒業し、赴任先の学校では国語を受け持ち、部活は文芸部。
    地味な活動の中、部長の垣内君との心の距離が縮まり、主人公も自然と一歩づつ知らず知らずのうちに楽しみながら教師生活を送ることができ、不倫から手を引き、垣内君卒業&新しい学校へのスタートを迎えることとなり、節目で物語が終わりまた瀬尾さん作品の良さを感じました。

  • ちょうどいい他人感。他人じゃないだろうに。

  • 学生時代運動系部活に所属し、スポーツに熱中していた主人公だが、部員が自殺をした。自殺の原因は自分かもしれない・・・
    そんなことから故郷を離れ、講師として働き始めた主人公が
    文化系部活動部の顧問になる事に。
    そこにはたった一人の部員がいた。
    部員とのやり取り、家族の支え、恋人との関係。
    それらの全てに少しづつ癒されながら自分を取り戻していく物語。

    暗いテーマが根底にあるのだけれど、さらりとしたやさしさが
    ずっと流れていて、さわやかな読了感。

    2012-01

  • さらっと読めました。
    主人公の清を……あんまり好きになれなかったけど………。

    『文学は僕の五感を刺激しまくった』
    ↑読書好きの人なら、垣内くんのこの言葉に共感できるはず。

  • 瀬尾まいこさんの作品初めて読みました!ミステリーばっかり読んでいた自分にとってはテンポも内容もゆっくりで新鮮に感じました!


    バレーボールに夢中だった清さんがあることがきっかけで挫折し、安直な理由で国語の先生になる話し。バレーボールに関わりたくて先生になったのに文芸部の顧問になるという…
    文芸部唯一の部員垣内君と清さんとの会話がなんとも素敵。お互いのことを多くは語らないけど相手のことを信用していて、だんだんと清さんも文芸部の活動にやる気を見出していくところがすごくおもしろかった。

  • 文芸部の顧問を務める高校教師の早川清(きよ)は、浅見さんという男と不倫関係にあります。

    文芸部には垣内くんという男子生徒1人しかおらず、文学に興味のない清は、退屈な毎日を過ごします。

    彼女は中学時代にバレーボール部でキャプテンを務めていました。ところが、試合でミスを重ねた山本さんという生徒に彼女が厳しい言葉をぶつけてしまい、山本さんが飛び降り自殺をしてしまいます。そして彼女は、垣内くんもまた、彼女と同じような過去を背負っていることを知るようになります。

    やがて彼女は、垣内くんと部室で同じ時間を過ごしていくうちに、彼の文学への愛に触れ、少しずつ、心のやすらぎを覚えるようになります。

    垣内くんの静かな「勁さ」が、一番の読みどころでしょうか。ストーリー上の大きな動きはありませんが、物語が進むにつれて主人公の心が晴れ渡っていく爽快感が味わえる作品だと思います。

    短編「雲行き」は、早季子という少女が、母親の再婚相手である佐々木という男と心を通わせ合う話です。

  • 垣内君が先生で清が生徒なんじゃないの、と思ってしまう作品。垣内君の最後のスピーチでは思わず涙が出てしまった。
    あと、山本周五郎の本を読んでみようと思った。

    全体的にとても爽やかな青春の本だと思う。

  • 気持ちがいいほど真っ直ぐな垣内君が気に入った。

    本を読めば、どんな経験だってできるのだ。

  • とにかく、垣内くんがかっこいい。
    その一言に尽きる。

    中学の時はサッカーをしていたのに、高校に入ってからは文芸部唯一の部員をしている垣内くん。
    中学時代に何やらあったせいらしいが、そこには「諦め」のようなじめじめしたものはなく、毎日文学をして二つとない時間を楽しんでいる。
    川端康成と鼻血に笑ったり、部費でサイダーを飲んだり、道端で売れそうな詩を書いたり。
    個人の価値観だけれど、私には、せかせかと大会に向けて日々の練習に励むよりも、ずっとずっと青春に思えるのだ。
    というより、垣内くんと話したいのだ、単純に。

    ところで、この話を最初に知ったのは読解問題で、断片を読んだ時、正直、学校の先生と生徒のあるかなしかの恋の話かと思っていた。
    以前に瀬尾先生の本を読んでいて、そんな単純な話はあり得ないと分かっていたはずなのに…

  • でてくる文学作品は夏目漱石さん以外は読んだことがないので読んでみたいって思いました。
    そしてこんなふうに文学を楽しむ相手がいるのっていいなって思いました。

  • ずっと清く正しい生活を送ってきた清(名前は犬からつけられた)は高校のある事件を機に思い描いていた未来からどんどん外れて行き、全くなる気もなかった講師として高校に赴任することになった。私生活では奥さんと別れるつもりのない相手と不倫をし、昔の自分からは考えられない正しくない生活を送っている。

    高校で、1人しかいない垣内くんが所属する文芸部の顧問となり、文学の面白さに触れ、教師として生徒達とふれあい、自分の心と向き合って前に向かう話。

    垣内くん、弟、不倫相手、同僚と、彼らの特徴を羅列すると、それぞれ性格に難ありと言わざるを得ないのに、不思議と憎めず、それどころかいい男じゃんとうっかり思ってしまいそうになる。
    水清ければ魚棲まず。
    白黒きっぱり分けたがる清にとっては、割りきれないことも生きていればたくさんあるとやっと飲み込むことができた1年だったのだと思う。
    そして垣内くんの現時点の正義、「黙るべき時を知る人は、同時に言うべき時を知っている」という言葉。本当に大人だなぁと思った。

  • 主人公と文芸部の唯一の部員の男の子との掛け合いが楽しく、ニタニタしてしまう。
    また作中に出てくる文学作品を考えながら読むと、二重に楽しめる。

  • 再読。
    清も垣内くんも不器用でそれでも青春はやってくる。
    高校生の頃この本に共感したし勇気付けられた記憶があります。
    瀬尾さんの本を読むと生きる気力と勇気がむくむく湧いてきます。

  • いやもう垣内君すきです。どうして垣内君はわたしの高校にはいなかったの?うん??
    さらっと大人びているようで自分の思いや考えがしっかりあって、最後の演説も格好いい。

    ただ主人公の清さんと恋人の浅見さんがどうしても年の割に幼く感じてしまってあまり好きになれなかった。仮にも生徒に対して「あームカつく」と会議の愚痴を言うのはどうなんだろう…(あとすごく個人的だけど高校の時嫌いだった先生に雰囲気が似てた)。
    でも垣内君効果かもしれないけど途中で読むのをやめる気にはなれなくて、最後まで一気に読んだ。優しい人になれるような気分。

  • 垣内君の言葉は、まるで神社のおみくじみたいに深遠です。簡潔で多くを語らず、ちょっとしたヒントを与えて清を導く垣内君。彼は、やっぱり神様っぽい。
    垣内君のWeb本棚があったとしたら、どんな本棚だろう。どんなレビューを書くのかなぁ。
    清は高校時代の挫折を何年も引きずっていましたが、文学と出会ったことをきっかけに、凝り固まった心がほぐれていきます。
    人生楽ありゃ、苦もあるさ。そして、どんな時も文学の海は、私たちの前に無限に広がっている、ということを再認識させてくれた、この小さな文芸部に感謝します!
    肩の力が抜けていてニヤニヤしながら読んでいたのに、実はとっても奥深いお話で驚きです。読後の心地よい余韻も楽しめる素敵な作品でした。

  • 講師として赴任した清は、文芸部の顧問に就任した。

    学生時代の情熱をバレーボールにそそぎ、
    今またバレーボール部の顧問になるために講師になった清(きよ)にとって、
    文芸部の顧問という地位は意に反するものであったが、
    嫌々ながらもたった一人の文芸部の部員と一年を過ごしていくうちに、
    清のなかの何かが変わっていくのだった。


    過去に、同じバレー部部員の女の子を死に追いやってしまっていたり、
    妻がいる男とつきあっていたり、
    「バレーボール部の顧問になること」が目的で学校の講師になったりする。

    学校の先生の話なのに、
    ずいぶん乱暴だな、と最初に思ったのが最後まで続いてしまいました。


    「先生」って、やっぱり生徒からは無条件に尊敬される存在であってほしい、と思うのです。

  • 「語るべき言葉を語るべきときに語るために、人は沈黙し、人は文学を欲するのだ」とかね。なんだかそんなことを書きたくなるような読後感。

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思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに"私"は文芸部の顧問になった。…「垣内君って、どうして文芸部なの?」「文学が好きだからです」「まさか」!…清く正しくまっすぐな青春を送ってきた"私"には、思いがけないことばかり。不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。ほかに、単行本未収録の短篇「雲行き」を収録。

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