図書館の神様 (ちくま文庫 せ 11-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480426260

感想・レビュー・書評

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  • 題名からして、何かミラクルが起きるのかと
    思っていたが、特にそういうわけではなく。

    高校講師の私と唯一の文芸部員垣内くんのやりとりが、
    まったりしつつも何か好感が持てた。

    この本も、心身が少し疲れているときに読んだ。
    私的に夕食後のひとときにぴったりだった。
    同収録の「雲行き」もまったりだけど、好きなテンションだった。

    たまにはこういうまったりした雰囲気の本もいいなぁ。

  • 清と垣内くんの関係性が羨ましいと思った。そして、物語中に出てくる文豪小説をぜひとも読みたい気持ちになった。
    垣内くんの言葉がどれもとても良くて、こんな風に文学を知り学ぶ喜びを知り、繊細な言葉を綴る人になりたいと思った。特に最後の全校集会での文学部の発表。

    「のび太はタイムマシーンに乗って時代を超えて、どこでもドアで世界を回る。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく。僕は本を開いてそれをする」

    痺れました。
    「毎日、文学は僕の五感を刺激しまくった」
    ともある。この彼の言葉が、私の五感を刺激しまくりました。笑
    本好きはもちろん、読書を普段あまりしなかったり疎遠に感じている人こそこの本を読んでほしい。

    先生の明日と明後日がいい天気であることを祈ってます。
    こんな言葉、どれだけのセンスを持ってして浮かんでくるのだろう。
    素敵すぎるので、忘れずにいつか絶対誰かへのお手紙やメッセージを送るときに使おうと思います。

  • 主人公の真面目な清の気持ちと行動が
    なぜかよく分かり
    一気に読み終えた表題の一編

  • 久しぶりの瀬尾さんの本。
    これは正しく瀬尾さんらしい本で気に入った。特に文学部の少年。こういう人は将来どんな人生を送るんだろう。

  • 一気読み
    瀬尾まいこさん独特の優しい気持ちになる読了感
    国語教師が文芸部の顧問になり、唯一の部員の垣内君との関わりや
    過去の傷、不倫相手との関係
    劇的なことはないけど、体に染みる文章でした

    私の好きな山本周五郎の『さぶ』が紹介されてて嬉しかった

  • 2作品目の「雲行き」
    辛い事の後には必ず良い事がある、とはよく言うけど「幸せの後には必ず悲しい出来事がある」という事も忘れてはいけない。

    幸せな時はつい周りが見えなくなる。無意識に人を傷付けていたり悲しみに気付けなかったりする。幸せに胡座をかいた分、深い悲しみが訪れると私は解釈した。

    私事だが今とても深い悲しみの中にいて、少し前までとても幸せを感じていた。周りの辛さに気付けていなかった。まだしばらくは反省をしていたいと思う。

    瀬尾まいこさんは私とは違う視点をもった作家さんで、特にそれが会話で表現されるので、ずっと読んでいたくなる。

  • 人はそれぞれ抱えているものがあるけれど、それを共有するでもなく、でも深いところで繋がっているような居心地のいい2人の関係が楽しそうで、うらやましいなと思った。


    ★きっぱりさっぱりするのは楽じゃん。そうしてれば正しいって思えるし、実際間違いを起こさない。だけどさ、正しいことが全てじゃないし、正しいって思うことが、いつも世の中の正しさと一致するわけでもないからね

    ★ぼくは毎日違う言葉をはぐくんでいる

    ★黙るべき時を知る人は言うべき時を知る

    ★自分の中のものを表に出す作業はきっと気持ちがいいのだ

    ★面白くなろう、楽しくしよう。そう思ってるんだけど、そう思えば思うほど、僕はだんだんつまらない人になってしまう。むずかしいですね

    ★子どもの頃は何だってできるって思えて、何だって大好きになれたけど、そのうち、自分の特性みたいなのが見えてきて…そうして、好きなものもできることもどんどん削られていくんだ

    ★雨って、昔自分が流した涙かもしれない。心が弱くなった時に、その流しておいた涙が、僕達を慰めるために、雨になって僕達を濡らしているんだよ

    ★文学を通せば、何年も前に生きてた人と同じものを見れるんだ。

  • 面白かった。
    なにかすごい展開があったり、驚くようなワクワクするようなストーリーではないけれど、ゆっくりじんわり心に浸透して満たされていくような内容だった。

    「文学を通せば何年も前に生きた人と同じものを見れる。」
    「そこにいながらにして、たいていのことはできてしまう。」
    このセリフにめちゃくちゃ共感した。
    読書好きの人なら分かると思う。

    あと、川端康成とか夏目漱石とか久しぶりに読みたくなった。

  • 高校時代のバレー部のキャプテンだった清。
    ある事をきっかけにバレーを辞め、今は高校の国語の講師をしている。
    やりたくもなかった文芸部の顧問をしている。
    部員は三年生の垣内君のみ。
    二人は先生と生徒だけと、立場は逆。
    冷静な垣内君のペースにすっかり飲まれている清。
    この二人の文芸部の一年を描く。
    清の不倫相手と清の弟。
    何か大きな出来事は起きないけど、清は確実に変わっていく。
    清と垣内君の関係が清々しくてよい。
    清々しい、清の文字がある。

  • 登場人物が全員、恬淡、淡々、うるさい熱情抜きで、それぞれの生活をしている。
    誰もがきっと過去を持つのだけれど、わざわざ辛い過去をことさらに告白したり報告したりしない。
    他の人から聞いたとしても、詮索しない。
    こだわりなく、執着は捨て、さっぱりした気持ちになれる。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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