増補・日本経済新聞は信用できるか (ちくま文庫 ひ 18-2)

著者 :
  • 筑摩書房
2.90
  • (1)
  • (1)
  • (4)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 75
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480427052

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • P23まで読んだ。

  • 一般に、メディアに長期的な展望や相互の記事の整合性を求めるのは八百屋で魚を求めるに等しいが、本書は日本経済新聞という日本で唯一の日刊経済新聞を対象に、主にバブル期以降の社説を中心とした記事・論説にメスをいれ、そのおどろくべき浅はかさ、一貫性のなさ、徹底した自省の不足、そして「日本の後進性」にといった見方に代表される硬直したイデオロギー的傾向をクリアーに暴き出す。痛快の一語に尽きる。
    増補としてリーマンショック以降の言説にも目配りされている。
    本当の意味で日経新聞の読み方を会得したい方にはぜひおすすめしたい。

  • 著者の主張は、経済の予測はもちろん、現状の正しい把握ですら無理ですよ、みんな経済学者もはずしまくって、自説曲げまくってます。
    じゃあ日経って媒体もそうですね。という流れかと。

    企業がこんなことしてます、とかする予定です、とかミクロで報道するのときの、マクロの意義づけ。こんな背景があるからやるんです、とか、こんな効果ねらってますとか。たとえば中国が…とか、金融リスクが…とか。
    それがないと、単なる情報の横流しになっちゃうから。でもその意義づけは時として強引で、その前提自体がころころ変わって、一方向を向いていて、バラバラかわったり、時代遅れのものが残ってたりするんだろう。

    産業新聞・流通新聞をやり玉にあげるのは見当違いな気がするけど。
    日経が90年代、キャンペーンで推し進めていた「成果報酬」が「安易な目標しか立てなくて、全体として停滞してしまう」というところは苦笑。ああ苦い。

  • 日経新聞は300万部発行している日本最大の経済新聞。だからこればっかり読んでいるから鵜呑みにしている人が多いがそれは危険。
    アメリカ型と企業統治は日経新聞のおすすめ品。
    なんでもアメリカ礼賛。
    日経新聞のアメリカが望ことは日本の消費者も望むという無茶苦茶な理論はIT革命騒動の際に遺憾なく発揮された。情けない。
    日経新聞もかつてに比べれば、中国報道については随分と慎重になった。
    アメリカが望ことは日本の消費者にとってもよいというのが日経新聞の理論だから要注意。
    日経新聞に騙されないためにも、他に東洋経済とかダイヤモンドとかも読むようにしている。

  •  なんであれ未来の出来事を予測することは、よほどの見識と情報、理屈に裏付けられていない限りはたんなる妄言ないしは期待になりがちだ。その点は作者曰く「日本唯一の経済新聞」である(著者的に日本証券新聞や株式新聞はどーなんかと思うが)日本経済新聞も例外でなく、時代時代の記事を見ていけば流行に溺れ、ある時は財務省、またあるときは米国や「ぐろーばる・すたぁんだーどっ」の権威を笠に着る、現在から見れば提灯記事以外の何者でもないような記事で溢れていたりするのである。

     かといって、著者のように「だから日経新聞はダメだ!」というのもやや暴論。なんだかんだでマーケットの統計を得るのに便利であるし、著者が引用しているFinancial TimesやWall Street Journalとて提灯具合ではどっちもどっちであろう。結局の所「情報の取得先を限定しない。根拠の薄い断定情報は鵜呑みにしない」という情報リテラシーのいろはに行き着くだけのことであって、むしろ「日経新聞をどーつかうか」を考えることこそが重要なのではないだろうか。

  • 著者(東谷暁さん)の名前でネット検索すると、別の著作に「エコノミストを格付けする」があるので、かなり反感を買っているようです。著者はジャーナリストで、日本で最大の経済紙である日経の非中立性や非一貫性を批判しています。

    日経を批判している本は、他に見たことがないので、一読の価値はある。しかし、具体例を多く出しているのは良いと言えるけれど、おそらく2~3章も読めば、言いたいことは分かると思うので、忙しい人は細部に時間をかけて読むこともないだろう。

    一貫性のある主張というのはメディアとして大事なスタンスであることに異論はないが、では海外のメディアがどうなのか、という点については本書からは良く掴めなかった。

    この本で主張する「中立性の問題」について付け足すなら、日経などの日本のメディアは、日本人だけで書かれていることに問題はないだろうか?僕は内部を知らないので無責任に想像するのだが、海外のメディアであれば、多国籍の編集者によって意見も多様化しているのではないだろうか?少なくとも、外資系企業の人材戦略を見ていれば、そうした多様化への対応はしていると想像してしまう。

    さらに私見を続ければ、日経は無記名も含めて論説や編集者によるコラムが多く、事実を伝える報道が少ない。読者に考えさせるような誌面作りをしてもらいたいのだが、それだと売れなくなるのだろうか?最低でもコラム記事を一箇所にまとめて欲しいのだが、そうすると、広告の値段がページごとに変わってしまうという不都合もあるのだろうか?

    日経新聞に、それらの癖があるのは、本書でも読者アンケートの結果を紹介する中で指摘しているように、ある程度は一般に知られているようである。理想を言えば、日経の他に経済紙(誌)を購読することだろうが、東洋経済やエコノミストなどの週刊誌では速報性に欠けるし、雑誌という媒体である以上、事実の報道よりも論説を集めたものになってしまう。そうなると英語のメディアを入れざるを得ず、読む上では母国語よりスピードが落ちるから、日本人にはちょっと不利だなあ。こういう面からも、英語教育が重要ということに過ぎないけれども。

    (参考)ボクのブログ:http://d.hatena.ne.jp/ninja_hattorikun/20100610

  • 後出しじゃんけんは強い。日本経済新聞だけでなく一般紙もおなじようなものなのでは。

  • 当の日経の広告欄にて発見。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1953年山形県に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。ビジネス誌や論壇誌の編集者として活動、「ザ・ビッグマン」編集長、「発言者」編集長、「表現者」編集委員を歴任後、1997年よりフリーのジャーナリストとして活躍中。
『エコノミストは信用できるか』『エコノミストを格付けする』『予言者 梅棹忠夫』(以上、文春新書)、『日本経済新聞は信用できるか』(PHP研究所)、『経済学者の栄光と敗北』『不毛な憲法論議』(以上、朝日新書)など著書多数。

「2017年 『山本七平の思想 日本教と天皇制の70年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

東谷暁の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×