音楽の旅・絵の旅 吉田秀和コレクション (ちくま文庫 よ 20-8 吉田秀和コレクション)

著者 :
  • 筑摩書房
3.67
  • (1)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 50
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480427786

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 吉田秀和 「音楽の旅 絵の旅」 

    ワーグナー 「 ニーベルングの指環 」
    グリューネヴァルト 「キリスト処刑図」など 観賞録。

    著者の感覚を文章にしているので、わかりにくい部分も多いが、ワーグナーの楽譜を言語化した評論は、全体と部分の関係性、旋律を作っている規則性は 何となくわかった。

    ワーグナーの思想は 人生全体の芸術化である
    *一つの統一された全体
    *最小の空間で〜最小の変化を手段として展開される変化の音楽
    *劇作品というより叙事詩、史詩的


    グリューネヴァルト 「キリスト処刑図」の観賞録の方がわかりやすい。キリスト処刑図から ドストエフスキー小説の戦慄性を見出している。小説のワンシーンというより、ドストエフスキー小説の持つ細部の拡大表現や全体の不均衡性に共通点を見出している


    「醜悪だから美しい〜醜く描かれた人物に対して、われわれは しりぞけながら 惹きつけられる〜この力こそ美である」は名言


    グリューネヴァルト 祭壇画 10枚のうち 処刑図、天使の合奏と嬰児イエスを抱いたマリア図、プラデッラの埋葬図 の3枚に重点を置いている。この絵をカラーで見たい。


  • 音楽や絵画を「描写する」ということが、まさしくこういうことであると思う。著者の「旅」(空間上のことではなく、曲のなかへ、絵のなかへ進んでゆく旅)に同行して、著者の目線を追うことは、音楽も絵画もわからない素人にとってさえ、どんどん走って進みたいような興奮するアドベンチャーで、なんでこんなにわくわくするのかというと、著者が誰よりもわくわくしているからだと思う。この疾走感は、ミステリーに近いのかしら。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1913年生まれ。音楽評論家。文化勲章、大佛次郎賞、讀賣文学賞。『吉田秀和全集』他著書多数。

「2023年 『音楽家の世界 クラシックへの招待』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉田秀和の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×