買えない味 (ちくま文庫 ひ 14-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 507
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480427830

作品紹介・あらすじ

電話一本で、ネットのワンクリックで、老舗の鍋セットや地方の旬の野菜、海産物が手に入る時代。それは便利だけれど、ホントにそれでいいのでしょうか?一晩寝かせたお芋の煮っころがし、土瓶で淹れた番茶、風にあてた干し豚の滋味…日常の中にあるおいしいものたち。お金では決して買えない味がある。自分の身の回りにある買えない味の数々を綴ったエッセイ集。第16回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、『dancyu』の連載エッセイ「台所の時間」を編んだ一冊となっていて、2006年度ドゥマゴ賞受賞作とのことです。
     本書はもちろん、「○○のお店の絶品□□」などのグルメ本ではありません。ある意味、そういったものに日々踊らされている人たちへの警鐘(大袈裟かも?)でもあるかもしれません。
     平松洋子さん曰く「買えない味。そのおいしさは日常のなかにある。」 
     なるほど読むにつれ、豊かな季節感が立ち上がり、風や水などの自然、食器や調理道具へのこだわりと愛情が繊細な筆致で描かれています。爽やかさ・優雅ささえ感じさせてくれます。
     とても滋味あふれる文章から、幸せな食生活とは何かを教えられたような気がします。細やかな気持ちが行き届いた暮らし、心地よい空間、好きな器に盛って食べる食事…。
     日本人ならではの〝和〟の心に満ちあふれた一冊でした。

  • 煮詰まると
    平松さんのエッセイが読みたくなる。
    絶対こんな生活はできないのに
    なんとなく心ひかれるのはなぜなんでしょう。

    たとえば鉄瓶で湧かすお白湯のはなし。
    使いはじめのお手入れが大変。
    そんなめんどうなこと
    できそうにないな〜と思うんだけど
    でも「おいしいんやろな…」と
    勝手に味を想像してみるのだ。

    そうかと思えば、実感を呼び起こす話もあり。
    つまみ食いならではのおいしさや
    冷やご飯の意外なおいしさ。
    あじわい深いです。

  • うっかり先に読んじゃった『ステーキを下町で』は
    食(と酒)に対する(いい意味での)貪欲さが前面に出ていた気がする。
    ところが、この本を読んで先ず思ったことは
    食べることは生きるために絶対に必要なことである、という事実の再認識だった。
    「お腹に入ってしまえば同じだよねー」などとちょくちょく言ってる自分を戒めてみる。
    確かに食べることで胃の内容量は満足するかもしれないけど
    食器に凝るとか、日々の設えとか、そういう何気ないことで
    如何に食べることでココロが満たされるか、幸せな気持ちになれるか、
    なんてことがぎっしり詰まった本だと思う。
    食事が生きるために必要なことなら、やっぱり美味しく食べたいもんね。

  • とても影響を受けた。
    料理や器の話だけではない。食べる、という行為から繋がる暮らしの作り方をほんの少しだけ教えてもらえた気がする。
    自分は台所に立つ人として、家族にどんな食を提供することができるんだろう。
    できることなら季節を感じられて、将来子供が懐かしんでくれるようなものを作り続けて行きたい。

    ところで触発されて冷やご飯を食べてみた。
    感想としては、あまりおいしくなかった。やっぱりご飯は温かいものがいい。
    これは私がまだまだ、ということになるのだろうか。

  • 文章のクセが気になる・・。名エッセイ・・?うーん、もっと文章自体をあっさり、力が抜けてる日常を描いてるわりには力が入ってるとおもうんだけどなぁ

  • 味にまつわる多彩な材料、もちろん食材もあるけれど、食器や調理道具への愛情があふれんばかり。勢いがつきすぎた感はあるものの、繊細な組み合わせの妙や食卓の雰囲気まで楽しみたい1冊。

  • 第16回ドゥマゴ文学賞(2006年度 山田詠美 選)

  • 平松さんのエッセイは軽く読めていつもお腹がすく.
    食いしん坊が書く本.
    食いしん坊が読む本.

  • 目次から惹きこまれ、あっという間に読んでしまった。
    美味しくて、たのしい一冊。

  • 平松さんのエッセイはよく読むのですが今回もすごくよかった。お外で食べるごはんの話もよいですが、今回は家庭料理だったり、台所道具だったりのお話。さいきん冷たいご飯がけっこうすきだなあと思っていたところに冷たいご飯の話があって、そうそう!とものすごく共感。湯気がなんだか重たいなあとおもうときの冷たいご飯はいい。平松さんの食べものに対することばの選び方がとにかくすきです。

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著者プロフィール

平松洋子=1958年、倉敷生まれ。東京女子大学卒業。エッセイスト。食文化、暮らし、本のことをテーマに執筆をしている。『買えない味』でBunkamura ドゥマゴ文学賞受賞。著書に『夜中にジャムを煮る』『平松洋子の台所』『食べる私』『忘れない味』『下着の捨どき』など。

「2021年 『東海林さだおアンソロジー 人間は哀れである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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