とりつくしま (ちくま文庫)

  • 651人登録
  • 3.51評価
    • (29)
    • (62)
    • (74)
    • (21)
    • (2)
  • 95レビュー
著者 : 東直子
  • 筑摩書房 (2011年5月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428295

とりつくしま (ちくま文庫)の感想・レビュー・書評

  • 一気読み。
    死んでからも愛する人の近くにいられるということで、モノにとりついてその人の近くにいる。という心のとりつくしまを与えてくれる話…だと思っていたら、だいたいのエピソードは悲しい結末で終わり、命のはかなさや死者と残された人との距離を感じる切ない話。

  • 辻村深月さんのツナグと通じるものがあるけれど、死者側からの一方通行な想いがツナグとはまた違った切なさでした。私は、もし今死んでしまったら誰の、何にとりつきたいだろう?
    1話毎が短くて読みやすいけど、ひとつひとつ大切に読みたい作品です。ちなみに個人的には「日記」と「レンズ」が特に心に残りました。

  • 切なかった。会えるうちに周りの人を大切にしたい。

  • 「トリケラトプス」と「日記」の対比が印象的。
    相手の未来の幸福より「私とあなた」が続くことに執着するマグカップの女と、相手の未来の幸福を祝福しながら煙になっていく日記の男。
    命を落としてしまった以上、自分の力でパートナーを幸福にすることはできないわけで、だとしたら怨霊じみたマグカップの女の思考は、誰も幸せになれなくて、悲劇的だなぁと思う。
    もしも私が「とりつくしま」を選べるなら、大切な誰かの新しい一歩を見届けて消えられるようなものがいいな。
    「ロージン」のような消耗品、あーいうのがいいな。

  • 「ツナグ」と似た感じのお話なので、作者は違うが、どちらか一方で十分かしら?と思いました。でも、最近どこの本屋さんでも平積みになっているんだよね。

  • 「白檀」のお話がすき。

    ハッピーエンドでなくても、
    どこか腑に落ちる作品だった。

  • 取りつく島もなくてがっかりするのは、生きていればよくあること。たいていの場合は仕方ないなぁで終わりですが、本作ではその「取りつく島」をつくってくれるというのです。もっとも、取りつく島がなくてがっかりしたときにつくってくれるわけではありません。

    本作に登場するのは、病気や事故で、予想だにしなかった死を突然迎えた人たち。あの世で目覚めると、「とりつくしま係」なる人というのか物体が現れて、現世の何かに取りつかせてあげると言われます。ただし、生きているものはダメ。人間はもちろんのこと、動物も植物も。命あるものに取りつくことはできません。そんな提案を受けたらどうしますか。

    息子の手が触れるロージンバック、夫が毎日使うマグカップ、お母さんが連れていってくれた公園のジャングルジム、書道の師匠が持つ扇子、憧れの図書館員が付ける名札などなど。10人それぞれがそれぞれの想いを胸に、現世の何かに取りついて、誰かを見守ります。使い切ったり壊れたりしてしまった場合はそれで「本当に」その人の命は終わり。二度と現世に戻ることはできません。時にはずっと取りついたまま現世に残りつづけるのだろうとおぼしき人もいて、ほのぼのを装いつつ情念を感じて怖くなる章も。可笑しいのは、大切な人のすぐそばにあるものに取りついたはずが、自分の死の直後にそれが売り払われていて、まったく知らない人のそばにいるはめになってしまうケース。笑うに笑えない話になりそうですが、だけどそれはそれで新しい人生になったりもするわけです。

    著者のあとがきに「もしも」の世界を味わっていただけたらとあるように、もしも何々だったらを楽しむことができます。私だったら、何を取りつく島にしましょうかね。

  • 死んだ魂が、この世の「もの」に取り憑いて、いろいろな角度からこの世を見る。
    息子を、妻を、死んだ夫によく似た知らない人を見る。

    この魂はいつまでここに取り憑いたままなのだろう。
    死者のこの世に残した思いが伝わるあったかい物語、でもあるんだけど、なんだか怖かった。

    2018.04.24

  • とりつくしまを探している死者の前にはとりつくしま係が現れる。あなたのとりつくしまは何ですか?と。
    心を残す相手のそばに在るものにとりついた人々の述懐を集めた短編連作。一つ一つの文章がしなやかで美しく、朗読によく選ばれるというのも頷ける。
    私が死したらなにをとりつくしまに選ぼうか。そう考えさせられる。

  • 短くてすぐ読み終わるし、読みやすい。
    泣いた。

  • これは、死者と生者(読者)のための物語。

    この世に未練がある。自分の死に納得がいかない。どうしても会いたい人がいる。見ておきたいものがある。

    そんな思いを抱える死者を瞬時に見分けるとりつくしま係。なんといってもその風貌がユニークだ。

    とりつくしま係はそんな死者のために、とりつくしまを一つ用意してくれる。
    死者は、とりつくしまとして、この世にあるなにかのモノにとりつくことができる。ただし、とりつくしまは非生命体でなければならない。などルールもある。
    とりつくしまになっても、生者には話しかけることはできないので、せいぜい見守ることしかできない。でも、時間を共有することならできる。

    どの話も良かったが、とりわけ「日記」は最後に向かうにつれ、涙が止まらなかった。
    遺された家族には幸せになってもらいたい。いつまでも悲しいと、泣いたり暗い顔をして生きてほしくはない。愛していたならば、当然の願いだ。
    けれど、新しい一歩を踏み出すために、自分とのことがすべて過去として、葬られるのはやはり相当なショックだろう。肉体は失ってしまっても、魂は傷つく。
    それはエゴか。いや、エゴではないだろう。心から愛していたならば、それも当然のこと。
    だからこそ夫の最後の言葉は、ああ、愛だなあと思った。

    もしかしたらわたしたちの周りにも、とりつくしまになって戻ってきた死者がいるかもしれない、と思うとどんなものでも大事にしたくなる。

  • イマイチ。。。

  • 死後の世界で思い残しがあった人が
    とりつくしま
    としてモノに取り憑き
    現世を体感する物語。
    短編が1つの箱に閉じ込められたような作品集。
    どれから読んでも楽しめ
    また一気に読むのはもったいない
    そんな時間をあたえてくれる

    2017.3.12

  • 死んでしまった人がモノにとりつくことをとりつくしまという。この世に未練がある 、死んだことに納得がいかない … …そんな人たちの前に現れるとりつくしま係。モノから世界を眺めることはできるけど、自分の意志で動いたり 何かに働きかけたりすることは 、できない。
    一方通行の思い、切なすぎる。それでも人はとりつくしまになりたいのだろうか。とりつくしまになった人の届けたい思い、届けたい言葉は届きましたか?

    「ロージン」
    このくらいの長さがいい。母から息子へ本当のさよなら。
    「トリケラトプス」
    他に付き合う人が出来るのを見るのは辛い。それでも、触れてもらいたい、そばにいたい。
    「青いの」
    これは、1番残酷。幼稚園の子供を…。ずっとひとりで友だちを見てないといけないの?いつくるかわからないママを待ってるの?そしていつかは来なくなるよね…
    「白檀」
    1番好きな話。純愛。毎年先生に会える喜び。書道の世界って凛としていていいな。
    「名前」
    名札って、お胸の上っ…嫌らしく感じる。でも、図書館の話で面白かった。
    「ささやき」
    どんな酷い事をされても子供は親を思う。
    「日記」
    最後の日記はいつなのか。ずっと奥さんを見守り続けたのだろうな。そして1番言いたかった言葉を見つけた。
    「マッサージ」
    この作品だけアンソロジーで読んだ。その時はピンと来なかったけど、とりつくしまが何かわかった今はお父さん頑張れ!
    「くちびる」
    本当の恋も知らないまま死んでしまった女の子。思いは叶ったのだろうか。
    「レンズ」
    これは1番前向きなとりつくしま。おばあちゃん悲しい目にもあったけどこれでよかった。最後がこの作品でよかった。
    番外編「びわの樹の下の娘」
    このような事があるから、とりつくしまは植物もダメなのかな。

    もしも私ならって考えたけど、やっぱり私はとりつくしまを希望しないと思う。私には耐えられない。旦那さまを見ているだけなんて…

  • 死んだ後の心残りを何か生き物以外にとりつくことにより亡くなった方のその後を少しだけ描いている。とりつくしま…結局その時間は短い。そういう分からない面を上手く書いてあると思う。
    歌人として大好きだけど、物語も上手いことに驚いた。

  • 特にどんでん返しとか面白いストーリーがあるわけじゃないけど、言葉のひとつひとつがとても綺麗。ほんとに同じ人が書いてるのかなと思うぐらい、話ごとに口調が違って、ことば選びが上手だなと思った。

  • すっぴん!高橋元一郎さんの コーナーで紹介されていた。
    藤井綾子アナウンサーの朗読でロジンを聴いた。洗濯物干しながらだったのに不覚にも涙が、ワタシは何になりたいのか?
    読みたい。

  • ことばが美しいなあと思う。朗読に使われるのがよくわかる。

  • 「ロージン」が一番好き。

  • とりつくしま。
    自分だったら、何になろう。
    今持っているもの、これから持つもの、誰かがとりつくしまにするだろうか。とりつくしまにしているだろうか。
    物には持っている人の想いが宿るというが、持っている人への想いも宿る。ということだろう。
    物を大切にしようとより思う。

  • 何になるかなぁ、私だったら・・・

  • 愛情も執着も未練もたぶん紙一重で。
    何かがわずかに傾いただけで何にでも成りうる。
    わたしだったらなにを”とりつくしま”にしたいかなぁ。その時まで大切な人も物も沢山にしておこう。

  • ものを大切にしよう。
    故人との関わりを意識して。

  • ずっと、この死んでしまった人たちはもう一度死ぬのだな、若しくは、死ねないのだな、と思ってヒヤッとしていた。自分は何をとりつくしまにするのか、全然想像できなくて、誰かに会いたいと言う気持ちよりも、死ぬ/死ねないことへの恐怖の方が強くて。物を大切に、人を大切に、生きていこうと思った。

全95件中 1 - 25件を表示

とりつくしま (ちくま文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

とりつくしま (ちくま文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

とりつくしま (ちくま文庫)のKindle版

とりつくしま (ちくま文庫)の単行本

ツイートする