とりつくしま (ちくま文庫)

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著者 : 東直子
  • 筑摩書房 (2011年5月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428295

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とりつくしま (ちくま文庫)の感想・レビュー・書評

  • 死んでしまった人がモノにとりつくことをとりつくしまという。この世に未練がある 、死んだことに納得がいかない … …そんな人たちの前に現れるとりつくしま係。モノから世界を眺めることはできるけど、自分の意志で動いたり 何かに働きかけたりすることは 、できない。
    一方通行の思い、切なすぎる。それでも人はとりつくしまになりたいのだろうか。とりつくしまになった人の届けたい思い、届けたい言葉は届きましたか?

    「ロージン」
    このくらいの長さがいい。母から息子へ本当のさよなら。
    「トリケラトプス」
    他に付き合う人が出来るのを見るのは辛い。それでも、触れてもらいたい、そばにいたい。
    「青いの」
    これは、1番残酷。幼稚園の子供を…。ずっとひとりで友だちを見てないといけないの?いつくるかわからないママを待ってるの?そしていつかは来なくなるよね…
    「白檀」
    1番好きな話。純愛。毎年先生に会える喜び。書道の世界って凛としていていいな。
    「名前」
    名札って、お胸の上っ…嫌らしく感じる。でも、図書館の話で面白かった。
    「ささやき」
    どんな酷い事をされても子供は親を思う。
    「日記」
    最後の日記はいつなのか。ずっと奥さんを見守り続けたのだろうな。そして1番言いたかった言葉を見つけた。
    「マッサージ」
    この作品だけアンソロジーで読んだ。その時はピンと来なかったけど、とりつくしまが何かわかった今はお父さん頑張れ!
    「くちびる」
    本当の恋も知らないまま死んでしまった女の子。思いは叶ったのだろうか。
    「レンズ」
    これは1番前向きなとりつくしま。おばあちゃん悲しい目にもあったけどこれでよかった。最後がこの作品でよかった。
    番外編「びわの樹の下の娘」
    このような事があるから、とりつくしまは植物もダメなのかな。

    もしも私ならって考えたけど、やっぱり私はとりつくしまを希望しないと思う。私には耐えられない。旦那さまを見ているだけなんて…

  • 一気読み。
    死んでからも愛する人の近くにいられるということで、モノにとりついてその人の近くにいる。という心のとりつくしまを与えてくれる話…だと思っていたら、だいたいのエピソードは悲しい結末で終わり、命のはかなさや死者と残された人との距離を感じる切ない話。

  • 「トリケラトプス」と「日記」の対比が印象的。
    相手の未来の幸福より「私とあなた」が続くことに執着するマグカップの女と、相手の未来の幸福を祝福しながら煙になっていく日記の男。
    命を落としてしまった以上、自分の力でパートナーを幸福にすることはできないわけで、だとしたら怨霊じみたマグカップの女の思考は、誰も幸せになれなくて、悲劇的だなぁと思う。
    もしも私が「とりつくしま」を選べるなら、大切な誰かの新しい一歩を見届けて消えられるようなものがいいな。
    「ロージン」のような消耗品、あーいうのがいいな。

  • 特にどんでん返しとか面白いストーリーがあるわけじゃないけど、言葉のひとつひとつがとても綺麗。ほんとに同じ人が書いてるのかなと思うぐらい、話ごとに口調が違って、ことば選びが上手だなと思った。

  • ひとつひとつの話を読み終えるごとに、「わたしは何を"とりつくしま"に選ぶだろう」と考えた。それは、自分の死後まで寄り添いたいと願う人は誰か、ということである。
    思い出の品や身の回りの物にとりつくということは、わたしたちが「あの人は亡くなったけれど、今もわたしたちの中に生きている」と思うことと同じなのかもしれない。

  • コインランドリーにて読了 雨もあがった 大切な人やものたちのことを想って見上げた空はきれいだった

  • この世に未練を残した死者がこの世にあるモノにとりついて、大切な人の元に戻る物語。
    決して生き返ることはないけれど、大切な人と時間を共有できる。

    11人が各々扇子や補聴器等にとりついてこの世に戻る。
    どの物語も短編でも切ない余韻が後に残る。
    特に「ロージン」「青いの」「日記」はラストが切ない。
    この世に残した大切な人への深く温かい愛情を感じる。

    もし私なら我が家の冷蔵庫かな。
    「このプリン賞味期限切れだよ!」「野菜も食べなさい!」私の声が届くことはないけれど、ブツブツ文句を言いながら残した二人の娘の行く末を見守りたい。

  •  死者の視点から見た、残された者たちのその後の物語。ありそうで、意外にない設定だな~と思ったのが最初。で、読んでいてとても嬉しいような寂しいような、苦しいような気持になった。

     自分にとって大切な人たちは、その後の人生を歩んでいて、そこには自分はいなくて、自分の意思が介在する余地は無くて。無視されているというか、何もできないもどかしさがあって、それが辛い。

     もし私が死んで、とりつくしまのチャンスが与えられても私は活用したくない。その後を生きている人の干渉をしたくないし、見たくもない。忘れてもらっても構わない。ただ、少しでも生きてほしい。読んでいてそう感じた。

  • わたしはとりつかずにいきたい。

  • 1話目はうるうるしながら読んで、読み終わった後、じーんとしていました。その他の話も似た感じかと思ったら、話によっては怖くて…。。。でも、どのお話も心に響きます。

  • ちょっとホロリとして温かい気持ちになれるような本が読みたいなと思って選びました。
    しかし。一般的な感覚と私の感覚がズレているのでしょう、はっきり言ってゾッとしました・・・

    死後、モノになって言葉も発せず自分の意志で動くこともできず、ただ世界を見つめるだけの存在。
    大切な人の思い出のマグカップになって生活を見守っていたら大切な人が新しい恋人を連れてきたり、母の補聴器になるも投げ捨てられたり・・・

    いつまでモノでいられるって明言されてなかったと思うんだけど、モノ自体の寿命が尽きない限り永久的にだったら。怖すぎる・・・
    そういう意味では一番最初の「ロージン」が私の中では一番しっくりきたかな・・・私も消耗品がいい。

  • 死んでしまった後、何かモノにとりつくことができたとしたら、私は誰の何になりたいかな。
    どの作品の死んでしまった人たちも、悲しいとか苦しいじゃなく、淡い諦めと共に、温かいものに包まれているような穏やかな気持ちになるところが好きだった。

  • 死後、愛する人の近くにいれる「モノ」になれる。そんなチャンスをもらったら自分は何になるだろう?

  • 辻村深月さんのツナグと通じるものがあるけれど、死者側からの一方通行な想いがツナグとはまた違った切なさでした。私は、もし今死んでしまったら誰の、何にとりつきたいだろう?
    1話毎が短くて読みやすいけど、ひとつひとつ大切に読みたい作品です。ちなみに個人的には「日記」と「レンズ」が特に心に残りました。

  • 切なかった。会えるうちに周りの人を大切にしたい。

  • 「ツナグ」と似た感じのお話なので、作者は違うが、どちらか一方で十分かしら?と思いました。でも、最近どこの本屋さんでも平積みになっているんだよね。

  • 「白檀」のお話がすき。

    ハッピーエンドでなくても、
    どこか腑に落ちる作品だった。

  • 取りつく島もなくてがっかりするのは、生きていればよくあること。たいていの場合は仕方ないなぁで終わりですが、本作ではその「取りつく島」をつくってくれるというのです。もっとも、取りつく島がなくてがっかりしたときにつくってくれるわけではありません。

    本作に登場するのは、病気や事故で、予想だにしなかった死を突然迎えた人たち。あの世で目覚めると、「とりつくしま係」なる人というのか物体が現れて、現世の何かに取りつかせてあげると言われます。ただし、生きているものはダメ。人間はもちろんのこと、動物も植物も。命あるものに取りつくことはできません。そんな提案を受けたらどうしますか。

    息子の手が触れるロージンバック、夫が毎日使うマグカップ、お母さんが連れていってくれた公園のジャングルジム、書道の師匠が持つ扇子、憧れの図書館員が付ける名札などなど。10人それぞれがそれぞれの想いを胸に、現世の何かに取りついて、誰かを見守ります。使い切ったり壊れたりしてしまった場合はそれで「本当に」その人の命は終わり。二度と現世に戻ることはできません。時にはずっと取りついたまま現世に残りつづけるのだろうとおぼしき人もいて、ほのぼのを装いつつ情念を感じて怖くなる章も。可笑しいのは、大切な人のすぐそばにあるものに取りついたはずが、自分の死の直後にそれが売り払われていて、まったく知らない人のそばにいるはめになってしまうケース。笑うに笑えない話になりそうですが、だけどそれはそれで新しい人生になったりもするわけです。

    著者のあとがきに「もしも」の世界を味わっていただけたらとあるように、もしも何々だったらを楽しむことができます。私だったら、何を取りつく島にしましょうかね。

  • 死んだ魂が、この世の「もの」に取り憑いて、いろいろな角度からこの世を見る。
    息子を、妻を、死んだ夫によく似た知らない人を見る。

    この魂はいつまでここに取り憑いたままなのだろう。
    死者のこの世に残した思いが伝わるあったかい物語、でもあるんだけど、なんだか怖かった。

    2018.04.24

  • とりつくしまを探している死者の前にはとりつくしま係が現れる。あなたのとりつくしまは何ですか?と。
    心を残す相手のそばに在るものにとりついた人々の述懐を集めた短編連作。一つ一つの文章がしなやかで美しく、朗読によく選ばれるというのも頷ける。
    私が死したらなにをとりつくしまに選ぼうか。そう考えさせられる。

  • 短くてすぐ読み終わるし、読みやすい。
    泣いた。

  • これは、死者と生者(読者)のための物語。

    この世に未練がある。自分の死に納得がいかない。どうしても会いたい人がいる。見ておきたいものがある。

    そんな思いを抱える死者を瞬時に見分けるとりつくしま係。なんといってもその風貌がユニークだ。

    とりつくしま係はそんな死者のために、とりつくしまを一つ用意してくれる。
    死者は、とりつくしまとして、この世にあるなにかのモノにとりつくことができる。ただし、とりつくしまは非生命体でなければならない。などルールもある。
    とりつくしまになっても、生者には話しかけることはできないので、せいぜい見守ることしかできない。でも、時間を共有することならできる。

    どの話も良かったが、とりわけ「日記」は最後に向かうにつれ、涙が止まらなかった。
    遺された家族には幸せになってもらいたい。いつまでも悲しいと、泣いたり暗い顔をして生きてほしくはない。愛していたならば、当然の願いだ。
    けれど、新しい一歩を踏み出すために、自分とのことがすべて過去として、葬られるのはやはり相当なショックだろう。肉体は失ってしまっても、魂は傷つく。
    それはエゴか。いや、エゴではないだろう。心から愛していたならば、それも当然のこと。
    だからこそ夫の最後の言葉は、ああ、愛だなあと思った。

    もしかしたらわたしたちの周りにも、とりつくしまになって戻ってきた死者がいるかもしれない、と思うとどんなものでも大事にしたくなる。

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