とりつくしま (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.47
  • (69)
  • (165)
  • (201)
  • (53)
  • (9)
本棚登録 : 2045
感想 : 220
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428295

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 付喪神、の存在をぼんやりと考えながら、みかんの皮を剥く。かたちあるものは必ず壊れ、失われる。だから、慈しむ。そっと触れる。

  • 二十リットルぶんの涙が出た。
    凛として 鋭くて 温かい心の結晶が詰まっていた

  • 亡くなった人が出会う「とりつくしま係」。この世に未練を残した彼らはモノになって戻ってくる。その「とりつくしま」は人それぞれ。野球部の息子のロージンバック、夫のマグカップ、妻の日記帳、孫にあげたカメラ…。人生のボーナスステージのような時間では、時に見なくてもいいものを見てしまったり、生きている間には見えなかったものが見えたりもする。すぐに役目を終えるモノ、ずっと残っていくモノ、「とりつくしま」を選ぶのはとても難しいように思うけれど、選ぶ彼らには迷いがない。その人にしかわからないそれぞれの人生なのだろう。

  • 死んだあなたに問いかける。

    「何か未練があるなら、
    何かモノになって戻ることができますよ」

    それぞれが心残りのある人の身近なモノになり、
    顔を見て、声を聞き、息づかいを感じ、
    触れ合いながら、そばに寄り添う。

    話しかけても声は聞こえない。
    絶対に話すことはできなくても、
    自分の存在が伝わらなくても
    それでも大事な人のそばにいたい、という
    切なすぎる思いに苦しくなるほど
    この本は、【現実】だった。

    どの話も良かったけど、個人的に好きな話は、
    「マッサージ」「青いの」

    作者が歌人なのがよくわかる気がした。
    本を開けば、優しさがほわほわとこちらに
    漂ってくる感じ。
    句読点が多めに感じたんだけど、
    それも好きだったな。

    あたしなら「とりつくしま」に選ぶモノ
    なんだろうな。
    お父さんが選んだ「とりつくしま」って
    なんだろな。

    そんなこと考えながら読んだ一冊。

  • 「とりつくしま」(東 直子)を読んだ。
    これ反則だろ。なんでこんなに泣かされなきゃいかんのだ。
    そういえば「回転ドアは、順番に」(穂村弘 東直子)でも泣かされたな。
    私の中で東さんの短歌といえばこれ

    電話口でおっ、て言って前みたいにおっ、て言って言って言ってよ

    いいなぁ。

  • 亡くなった人がモノになって、もう一度この世を体験出来る。それを導く「とりつくしま係」思いがけない死を迎えた人が未練を断ち切れず、愛する人のモノになり見守る気持ちは分かるけど、私は嫌だな。死んだら私も残された人にも「無」で有りたい。死んでからも何かを思うなんて嫌だわ(笑)生きてるうちが花。それがいい……と、つくづく思いました。きっと感動本なんだろう……私、ひねくれてるのかなぁ。だって死んでからも悲しい思いなんてしたくないんだもん。

  • 解説:大竹昭子
    ロージン◆トリケラトプス◆青いの◆白檀◆名前◆ささやき◆日記◆マッサージ◆くりびる◆レンズ◆びわの樹の下の娘

  • 読みたい!と思ったきっかけが思い出せないが、読んで正解でした。11の短編のどの話もよかったですが、とりわけ『ロージン』と『日記』がよかった。私も「としつくしま係り』さんに会えたらいいなぁ~~

  • 亡くなった人がモノになってもう一度この世を体験する話。
    全て一人称で書かれていて、その目線から色んなことがわかってきます。
    心にジンと来るいいお話でした。
    悲しい話なのにとても明るく清々していました。

  • 死んで間もない人が、未練のある何かに「とりつく」ことができる。
    亡くなったばかりの老若男女のそれぞれのストーリー。

    もうダントツで「白檀」が好きです。
    まるでカメラを通して観ているかのような視線、先生の手の触感、白檀の香り、桃の滴る甘さ。こんなに五感に訴えかける文章に出会ったことがありません。
    なにより、死んでもなお、桃子さんの恋焦がれる切なさが行間からほとばしっていました。

    これからは、ものを慈しんで大切にしよう。
    私は死んだら何にとりつくかな……

全220件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

歌人、作家。第7回歌壇賞、第31回坪田譲治文学賞(『いとの森の家』)を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説に『とりつくしま』『ひとっこひとり』、エッセイ集に『一緒に生きる』『レモン石鹼泡立てる』、歌書に『短歌の時間』『現代短歌版百人一首』、絵本に『わたしのマントはぼうしつき』(絵・町田尚子)などがある。「東京新聞」などの選歌欄担当。近刊にくどうれいんとの共著『水歌通信』がある。鳥好き。

「2023年 『朝、空が見えます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

東直子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
穂村 弘
小川 洋子
米澤 穂信
瀬尾まいこ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×