とりつくしま (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.46
  • (70)
  • (166)
  • (202)
  • (55)
  • (9)
本棚登録 : 2076
感想 : 221
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428295

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 不思議な余韻が残るお話でした。
    「とりつくしま」を読んでしまうと、身の回りにあるものに、命を感じて粗末にできなくなりました。どの話も引き込まれましたが、ジャングルジムのお話が切なかったです。あと、クスっと笑えるものもありました。

    • わだめさん
      あんころ餅さん、ありがとうございます。図書館でなかなか借りられなかったので、読めて嬉しかったです。東さんの不思議だけど優しい世界に、今回もハ...
      あんころ餅さん、ありがとうございます。図書館でなかなか借りられなかったので、読めて嬉しかったです。東さんの不思議だけど優しい世界に、今回もハマりました。
      2021/03/19
    • もちっちさん
      あらすじ読んだけど、面白そう!物になって生まれ変わるのは新しい発想やね。また読ませてもらおーっと!
      あらすじ読んだけど、面白そう!物になって生まれ変わるのは新しい発想やね。また読ませてもらおーっと!
      2021/03/21
    • あんころ餅さん
      うん!新しい発想やね!短編集やし、時間なくても少しずつ読めるからいいよ♬
      うん!新しい発想やね!短編集やし、時間なくても少しずつ読めるからいいよ♬
      2021/03/21
  • いつかは死ぬけれど、こんなふうにとりつくなら、いいかも。

  • 昨年夏、読書仲間と交換した本を少し時間のたった今、手に取った。


    この世に未練を残し、亡くなったばかりの人の前に「とりつくしま係」が現れる。

    生き返ることはできないけれども、モノにとりついて、この世をもう一度体験できるのだという。


    軟式野球部のピッチャーの中学生の息子のロージンバッグに「とりつく」母親。

    二年前に結婚したばかり。トリケラトプスのマグカップに「とりつく」妻。

    公園の青いジャングルジムに「とりつく」幼稚園生。

    尊敬していた書道の師匠の扇子に「とりつく」女性。

    図書館司書の女性の名札に「とりつく」ホームレスの男性。

    けんかばかりしていた母の補聴器に「とりつく」女性。

    交際中から文通を続けていた妻の日記に「とりつく」夫。

    働き盛りの50代。妻、大学生の息子、高校生の娘を残して亡くなった男性は、リビングのマッサージ機に「とりつく」。

    バトミントン部の女子中学生は、憧れの先輩の彼女のリップクリームに「とりつく」。

    孫に買ってあげたはずのカメラのレンズに「とりついた」女性は、思わぬ引取り手の元に迷い込む。

    母を残して亡くなる娘は、自分の髪の毛一本、裏庭に埋めるように懇願。びわの木にからみつく宿り草に「とりついた」。


    死者のこの世への未練や無念の思いは様々。

    生前かなわなかった思いを胸に戻った現実は、実に切ない。

    優しい筆致で読み易い文体だが、読むのに時間がかかる作品集。

    それは、人生の価値と、人の命の重さなのだろう。

    悔いのない人生などありえない。
    でも、自分なりに大切に生きていこうと、静かに深く思うことのできた美しい短編連作集。

  • こういうことがあったらいいな、と思いながら
    読んだ。
    良い話だけじゃないのも良かったけど
    自分が日記を書くから、
    日記になった夫の話で一番泣いてしまった。
    うちの夫は間違いなくブラジャーになるだろうな…
    →本人に確認したら、女湯の鏡か電気になるらしい。
    妻の元に帰って来る気ゼロ…

  • 本当にとりつくしまがあって、なにかにとりついてくれてたらいいな。
    私の知らないところで、だれかが、なにかが、見守ってくれていると時の流れに希望をのせることは、傲慢ですか、それとも高潔ですか。

  • 〈青いの〉は、子どものお話だったせいか特別切なく涙がこぼれた。
    短編集は、あまり好まないけれど、どれも良いお話だった。

  • あったかいような、嬉しいような、悲しいような、決して辛くはないんだけど、ずっと切ないような、複雑な感情に終始した。

  • 今、相手に触れられる距離にいること
    話したり
    触ったり
    目を合わせたり
    できるということ。

    とりつくしまの
    潔さ
    ほんわかさ
    救いようのなさ
    愛情の深さ
    切なさ…

    全てからそれを気づかせてくれた。

  • さらさらと読める短編集。死がテーマではあるけれど、悲しいというよりは、日常が淡々と進んでいくようなイメージ。取り憑いた“モノ”から見た視点というのが斬新で面白い。特に「ささやき」と「日記」が好きだった。
    実際にもこういうこと、あるのかもしれない。話自体は虚構、ファンタジーなのだけど、現実にあると思いたくなるような、柔らかで暖かい光に照らされているような、そんな小説だった。

  • モヤモヤ切なすぎる非生命体になって思いが残って、残された者達の様子を伺うなんて。

全221件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

歌人、作家。第7回歌壇賞、第31回坪田譲治文学賞(『いとの森の家』)を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説に『とりつくしま』『ひとっこひとり』、エッセイ集に『一緒に生きる』『レモン石鹼泡立てる』、歌書に『短歌の時間』『現代短歌版百人一首』、絵本に『わたしのマントはぼうしつき』(絵・町田尚子)などがある。「東京新聞」などの選歌欄担当。近刊にくどうれいんとの共著『水歌通信』がある。鳥好き。

「2023年 『朝、空が見えます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

東直子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×