ボディ・アーティスト (ちくま文庫 て 11-1)

  • 筑摩書房
3.73
  • (9)
  • (8)
  • (14)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 177
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428349

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 後半、彼が現れてからの世界の受容の変化がこの小説で表現したいところなのだと感じるのだけど難解で、個人的には前半の夫婦の何気ない日常の視線、考えごと、やりとり、そこで生じているズレの描写がハッとするくらい悲しくて美しくて前半超好き。

  • 部屋に入ってから何がしたかったのか思い出せなくなって「えーと何だっけ?」となったときの感覚を小説にしたもの、として読んだ。最初の朝食のシーンの「なんだっけ」感が強烈で、後は何が起きても、もうその朝食の変奏みたいに感じられてしまうほど。

    朝食のあとの辛い事件のために、頭のピントが合わない状況はもっと深く強く主人公を押しつぶす。自分の人生の予行演習として、心に響くものがあった。

  • ちぐはぐさは、日々の暮らしの中で溢れている。

  • 画監督の夫を自殺で失ったローレン。精神のバランスを崩す彼女の前に謎の男が現われ、彼女の時間と現実が変質する。アメリカ文学の巨人デリーロが描く精緻な物語。解説:川上弘美 2011年7月刊

  • 短いがかなり難解。二度三度読んでようやく何が書いてあるのか分かるレベル。
    秀逸だと思ったのは主人公の女性と夫の一挙手一投足が細かく描写される序盤の表現手法。異化作用とでもいうのか、日常ってものが一瞬一瞬の連続なのだという当たり前のことに気がつく

  • 読友の推薦本。デリーロは初読。難解な小説だ。少なくても、古典的な物語の枠組みや方法では捉えられない。まず、物語の場が固有性を持った特定の地ではない。どこか北の方にある海辺の小さな町だ。「時間」もまた一定ではない。これは、おそらく日本語訳では伝わりにくく、時制言語である英語だと、より一層に時間感覚のゆれは大きいのではないだろうか。また、そもそもがボディ・アーティストである主人公のローレン自身の実態も不変ではない。まして、対象となる男は、夫のレイも、紛れ込んで来る男も半ばは幻のような存在なのだ。

  • これって、ヴィトゲンシュタインの前期と後期をまとめて読めるようなもんじゃないか?
    短いながらも練りに練られた感じ。いいものを読んだ。

    それはそうと、アンダーワールドがkindle化されているのにビックリ!それって作品の主題そのものじゃん?

  • 存在と不在、言語と意味、身体と時間についての散文。精緻で軽やかな文体。

  • 2012年2月25日読み始め 2012年2月26日読了
    文庫でページ数も少なく、活字も大きいのであっという間に読めました。ドン・デリーロにしては珍しく?女性主人公でまあ普通の話です。
    映画監督だった夫を失ったヒロインが、不思議な男とであい、その出会いをアートとして完成させる…というかそんな話ですが、すごく説明しにくいお話でした。
    あんまり考えずにさらっと読んで何か残ればいいかなと思います。しかしドン・デリーロは男主人公の方が面白いかも。

  • 2012/1/22購入

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1936年、ニューヨークに生まれる。アメリカ合衆国を代表する小説家、劇作家の一人。1971年、『アメリカーナ』で小説家デビュー。代表作に、本書『ホワイトノイズ』(1985年)の他、『リブラ――時の秤』(1988年/邦訳=文藝春秋、1991年)、『マオⅡ』(1991年/邦訳=本の友社、2000年)、『アンダーワールド』(1997年/邦訳=新潮社、2002年)、『堕ちてゆく男』(2007年/邦訳=新潮社、2009年)、『ポイント・オメガ』(2010年/邦訳=水声社、2019年)、『ゼロ・K』(2016年)、『沈黙』(2020年/邦訳=水声社、2021年)などがある。

「2022年 『ホワイト・ノイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ドン・デリーロの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×