自分をいかして生きる (ちくま文庫 に 8-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428417

感想・レビュー・書評

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  • 太陽の塔内部を見に行く途中で読了。
    死ぬまで自分をいかして生きる、自分らしさの「まんま」でいる。“働くことを通じて自分という存在に責任を果たそう”、自分というリソース・可能性を最大限に発揮しよう、て感じだな。

    『beの肩書き』(兼松佳宏)のベースに本書がある。「仕事を通じて、わたしたちは一体なにをしているのかな?」ということ、わからなさも含めて考えたいという西村さんの思いを丁寧に綴っている。
    成果としての仕事として表出する「島、海上」部分。水面下には技術や知識、考え方・価値観があり、あり方・存在がある。「わたしたちはなにを受け取っているのか?」
    “語っている内容や、なにをしているかということより、どんなふうにそれを語り、どうやっているかという部分に、その人の<存在>があらわれる。仕事とはこの山全体なのではないか。”
    蕎麦屋の黒森庵の加藤晴之さんのインタビューが特に良かったなー。西村さんの問いもいい。人とのやりとりへの誠実さ、てあたりも強烈に伝わる。

    「自分がお客さんでいられないことは?」この問いすごくいい。
    ざわざわする、落ち着かない、悔しい、いてもたってもいられない、自分の中の熱源。マグマ。
    “焦りや疼きや動揺が生じた時、目に映ったいったい「なに」に自分は反応しているのか。小さな変化の足元を掘り下げてゆくと、そこにそれぞれの仕事の鉱脈があるんじゃないかと思う。”

    働くことと生きることが同義であるような、
    work as lifeから
    work as liveそのものだ。work as livesか。いのち、生きることそのもの。
    かといって働くは必ずしも「必須」なものではないのでは、という丁寧な考察も後半にあった。
    労働に関する歴史的経緯、社会からの要請、うまくできてんなー、な部分も本当に多い。意識すらしていない部分はこわい。

    生きる、自分らしくある、その表出の結果や、社会との関係性、接点に生まれるものが「仕事」であるといい。そんな仕事に携われて、仕事を積み重ねていけたら幸せだな。積み重ねるものは、仕事であり自分自身でもある。

    シリーズ3作のうち3作目『かかわり方のまなび方』の次に2作目の本書を読んだ。次は1作目の『自分の仕事をつくる』かな、補講だからもういいかな、な気もありつつ。西村さんとのお手紙やりとり的なのはまた読みたい。

    • 大野弘紀さん
      work as livesか。いのち、生きることそのもの。


      全くの同感。
      西村氏の本は私の人生のバイブル。
      work as livesか。いのち、生きることそのもの。


      全くの同感。
      西村氏の本は私の人生のバイブル。
      2019/05/26
  • 21世紀美術館で買った本。
    意外とよかった。
    自分はどうありたいか。自分がある意味を考えて、それを仕事にする。自分と対話できない人は他人ともできない。

  • 【読みどころ】
    この本は、
    新社会人の皆さん
    本好きの方々、就職祝いにこの本をプレゼントしたご両親の方々は、物凄く素敵!粋なギフトに思います。

    生きる上での大切にしたいこと
    いあらゆる角度から自由に語られている一冊です。

    【感想】
    みんながそれぞれ、この世にひとり、唯一無二。
    その個性を活かしきって笑顔で働き生きれるか

    それは、読者の魅せ方次第と呼べそう。

    わたしはどんなふうに生かし合ってゆこうか。
    この春は、改めて自分のいかし方を見つめてみたいです。

    願わくば、社会人になる前に読みたかった…!そう思えるエッセイでした。

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  • 芸術家らしい、自分の感性と、自分に近い感性をまとめた本

  • 自分が生きていることをあらためて思いだすような瞬間に、喜びを覚える。そんな時に喜んでいる。
    思わず背筋がのびて、少し呼吸が深くなるあの感じは、その仕事をなしている(存在)を目撃した自分の(存在)が、より生きることに向かって身を整えた。小さな反応なのだと思う。

    自分が(いる)仕事をすること。
    それが、会社が働きがいのある会社に、人の集まりが関わりがいのある集まりに、今この瞬間が生き甲斐のある時間になる始まりなんじゃないかと思う。

    ーーーーーーー

    世の中は他者と自分という関係性で成り立っているのではなく。自分自身、自分、他者
    という3者間のコミュニケーションで成り立っている。自分と自分自身とのコミュニケーション不足も、他者とのコミュニケーションも欠落していたらバランスはおかしくなる。

    ーーーーーーー

    スティーブ・ジョブス
    『来る日も来る日も、これが人生最後の日と思って生きるとしよう。そうすればいずれ必ず、間違いなくその通りになる日がくるだろう』

    自分が心地よい、自然に働くという状態になるためのヒントとして、わかりやすく『自分がお客さんでいられないことは?』と西村さんは文中で言っていたが、まさにその通りで、うずうずしちゃうこと。思わず手を出してしまうこと。見たくない。悔しいと思う気持ちにこそ自分がやりたいことのヒントになっているとおもう。

    個人的に加藤晴乃さんの生き方に共感した。その時その時でやりたいことをする生き方。
    ー僕の中で、『生きる』ということは『自分を表現する』ことです。どれだけ自分を正直に表現できているかということが、人と向かい合った時にまず大事な事なんです。
    職業というのは、自分を表現したいものがたまたま仕事になっているということなんじゃないかな。人はみんな個性そのものです。

  • ・心が満たされない時はどういう時だろう。それは、自分の存在が認められる時だと思う。取るに足らない人間とみなされれば悔しいし、存在を認められないときには心が痛む。

    調子良く相槌を打ってくるけどほとんど人の話を聴いていない人や、手抜きの仕事に覚える腹立たしさ、つまらなさは、質の良し悪し以前に、そこに相手が「いる」ことが感じられない不満感から来るのではないかと思う。

    人は基本的に「いい仕事」をしたい生き物だと思う。給料や条件、ステータスではなく、他の人々に対していい影響を持ちたいという欲求があると思う。いい仕事とは、その仕事に接した人間がよりハッキリ存在するようになることを指すんじゃないか。より生きているように感じになると言い換えても良い

    心が眠っているような状態や生きているか死んだんだかわからないような状態ではなく、人が「より生きている」ようになることを助ける働きが「いい仕事」なんじゃないか。

    ・より生きている人の姿は、それを目にした人の存在感覚に働きかける。例えば、人の勇気を起動して突き動かすのは、なによりも実際に勇気を出して行動した人のための姿だ

    →いるいないの話が面白かった。適当なアウトプットにむかつくわけではなく、そこに相手がいないと思うからくる不満。いると思える人はそこに実物がいなくても存在を感じるように思う。それは、その人のあり方や姿勢、人生のストーリーなど目に見えないものが感じられるからかもしれないと思った。

    • めんさん
      なるほど。
      適当な仕事にむかつく時、なんでむかつくのかってそこまで考えたことなかった。
      なるほど。
      適当な仕事にむかつく時、なんでむかつくのかってそこまで考えたことなかった。
      2020/01/26
  • 自分が「好き」より前に、無意識に感じていること、お客さんのままではいられない、焦りや不甲斐なさを感じることについて、自分自身とコミュニケートしてやってみる。将来どうなるとかではなく、目の前の一番気になることにトライしてみる。
    会社の将来性や、賃金など、それ以外のことで決めた人生は、現代国語の「前後の文脈から判断して空欄を埋めましょう」の問いのように、答え合わせでしかない。というところが良かった。

  • 約9年前に同じ著者の『自分の仕事をつくる』という本を読んでわりと感銘を受けた記憶がある。そんなこともあって続編ともいえるこの本を読んでみた。
    あの頃は「そうだよね、自分でやりがいある仕事をつくらないとね」と意気込んだ気がするけど、いま読みながら思ったのは、仕事にそんなに一生懸命にならなくてもいいんじゃない、とか仕事ばかりが人生じゃないし、ってこととか。しかも、仕事に人生を重ねてしまうのって男性はそういう人多いかもしれないけど、女性とか地方の人ってそういうわけにもいかないことがけっこうあると思うし、仕事にこだわりない人のほうが豊かに人生を生きていたりしちゃうんじゃないって、最近はそういうふうに思うようになってまーす。
    何だか書きぶりがポエムのようで断言は少なくフワフワしています。そういう熱くない感じも悪くはないけど、内容自体がフワフワしてるからこうなるのかなと思ったり。

  • 貨幣経済の奴隷になっていることに気付かされた。

  • 悩みや葛藤は自分そのものだ
    それは自分の仕事に通じる扉にもなる

    できていないことが可能性でもある

    悩みはこうありたい。自分とそうではない。現実のギャップから生まれる。
    まるで望ましくない自分の有り様にも価値はあって、それは自分の望みや求めのありかを示してくれることだと思う

    口に出してみた気持ちや、自分が語った言葉の余韻が再び自分に揺さぶりをかけて、それが次の場所へと向かう足がかりになってきた感覚がある

    余韻として、心に響くような言葉を発するには、相手や機会がいる。他者がいると言うのは本当にかけがえのないことだと思う。

    ーーーーーーー
    望ましくない自分の有り様は自分の望みの在処を示してくれているのだと。
    私なんて…と不必要に自分を否定してしまう癖から脱却するために一歩前進できたように感じた。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。建築設計の分野を経て、つくること・書くこと・教えることなど、大きく3種類の仕事に携わる。デザインオフィス、リビングワールド代表。多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。働き方研究家としての著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間 Ⅰ』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(以上、弘文堂)、『かか
わり方のまなび方』(筑摩書房)など。

「2011年 『いま、地方で生きるということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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