- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480429483
作品紹介・あらすじ
三十路を過ぎて定職につけずにいる「おれ」こと猿渡が、小説家の「伯爵」と意気投合するに至った理由は、豆腐。名物を求め津々浦々を彷徨う二人に襲いかかる奇怪な現象。蘆屋道満の末裔が統べる聚落、闇夜に出没する赤い顔の巨人、蟲食う青年、そして湖の水牛。幽明の境に立たされた伯爵の推理と猿渡の悲喜劇の果てに現出する、この世ならぬ異景。書下ろし短篇を加えた完全版。
感想・レビュー・書評
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fukuさんのレビューから読みたくて文庫版読む。「おれ」こと三十路過ぎ定職無しの猿渡と「伯爵」こと某有名ホラー作家。豆腐好きな二人が遭遇する怪異・幻想・郷愁の詰まった悲喜劇。単に不思議話で終わらない奥深さ。やっぱり津原さん大好きだ。
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ルピナスシリーズでとても気に入ったので、津原さんの本を続けて買ってみた。
ルピナスシリーズとは雰囲気もガラッと変わって、こちらは30代定職なしの猿渡さんの不思議な体験話。あまりに変な体験(不気味というか、怖いというか…)ばかりしているので、なんだか疲れそうな人生だなぁと小説の中ながら心配してしまった。
私ではあまり思い浮かばないような突拍子もない話ばかりで、なかなか面白かった。 -
淡々とした文章で、なぜか言葉が頭に残らなかったのだけど、消えゆく感覚も作品の一部に思えて、現実味がない空気感になった。
不思議な話だったなぁ。
続きも読みたい。 -
不思議なものを引き寄せがちな猿渡と小説家の伯爵が、西で東で不思議なことやものに遭遇する。幻想小説。
かなり好みの作品。ちょっと不気味だし、具合が悪くなるような話、なにがなんだかわからなくなるような話が混ざっており、いい感じに気持ち悪く、いい感じに気持ちよくなれる。
食事中に埋葬虫にたどり着き、そっと本を閉じた。ゾッとした。蟹も、しばらく食べたくないかもしれない。 -
素晴らしい。無職の「おれ」と怪奇小説家の「伯爵」。豆腐好きが縁で結ばれた二人がさまざまな怪異に出遭う幻想短編集。どの作品も実際のところそれが現実なのか夢なのか、一体全体何が起こったのか判然としない。にもかかわらず夢中で読まされうっとりさせられる。のは作家の筆の冴えによるもの。こんな美味な本がまだ二冊もある。のは嬉しいが、氏にはもっともっと書いてほしかった。
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暑い夏に読むのがピッタリではある。
津原泰水さんと言えば私の中では『ブラバン』なので、少々意外でもあった。怪奇な連作小説集。
饒舌でありながら簡潔な表現。幻想的でありながら現実的な感覚。『反曲隧道』から『水牛群』まで全8編所収。
どれも異世界へいざなってくれる。
『ケルベロス』の最後の一行「おれは慟哭した。」この一行に万感の思いを感じ泣いた。
最後の『水牛群』なんかは、暑さのせいで眠れなかった翌日の夜、頭痛のひどい状態で読んでいたので、まるで、自分自身の頭の中の出来事のようにも思えてしまった。 -
電子書籍
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現実と幻想、現代と昔。
時代も曖昧な感じで、読んでて現実と幻想も曖昧になってくるお話たち。
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一編目はたった7p。大宮の豆腐を想像していたら最後の一行で思わず本を取り落としました。映像でガツンと頭に貼りつくラスト!…無職の猿渡と小説家の伯爵が様々な場所で出会う、夢か現かどこか不思議でやっぱり怖い怪異の数々。不思議の余韻の系統が全て違って素晴らしいです。表題作は純粋に、「猫背の女」はひたすら怖く「カルキノス」は自分の理解力を疑い、「ケルベロス」の最後の一行の不安定さに手が止まる。「埋葬蟲」は虫嫌いには酷な映像です。そして「水牛群」で怪異に振り回される頃には、猿渡がとても愛しい人間になっていました。