女嫌いの平家物語 (ちくま文庫 お 39-11)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429551

感想・レビュー・書評

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  • ちくま文庫
    大塚ひかり 女嫌いの 平家物語


    タイトルが誤解を生んでいるが、平家物語に登場する女性にスポットを当てて、平家物語の仏教説話的な救済性を論じている


    平家物語は、仏教的な非道ゆえ 死にゆく平家の男たちを、生き残った女たちが 仏教的に救い 浄土に導くことで、平家の怨霊を鎮めるために書かれた物語ということだと思う。


    白河天皇から安徳天皇までの歴代天皇と 平清盛との人物相関図が、建礼門院徳子、祇園女御、建春門院滋子ら 女性を介して 繋がっていることから考えると、この本の趣旨通り、女性人物の理解が 平家物語全体の理解につながるのだと思う


    祇王と仏御前の物語について、祇王と仏御前の対決を 神と仏の対決とし、仏御前と祇王が仲良く往生するのは 神仏習合思想と解釈するあたり、とても面白かった


    小督(高倉天皇が惚れた女性)の物語から、二人の男の間を彷徨い 入水願望や出家願望を持ちながら、逃げていった「源氏物語」の浮舟を思い浮かべた点も なるほどと思う

    著者が考える 平家物語の作者像
    *仏教者
    *同性愛者の男性で女性嫌い


    平家物語は、源氏物語のように女性心理の細かなところまで立ち入らない

    フィクションの源氏物語と違って、平家物語は登場人物が他の資料で確認できる

  • 久しぶりに大塚ひかりさんの本読んだけど、やっぱり面白かった!

  • 読み終わったらものすごくスッキリしました。平家物語を読んでいて感じた「現代と感覚が違うとは言えこれはいいのか」と言う女性の立ち位置、描かれ方、男性の…こういうとアレですが身勝手さ、そういったモヤモヤが何となく晴れた気がします。「おわりに」の章が、平家物語に感じていたモヤモヤについて、全て言いたいこと言ってくれていた気がして…もしこの本を読むのが途中で辛くなった方は、最後の「おわりに」を読むだけでも十分…得られるものはあるかと。「平家物語の作り手は女が嫌い」にもものすごく説得力がありました(笑)。それにしても巴御前の江戸時代の扱いは酷いし、横笛と袈裟御前の立場も見るに耐えない、そして色んな「母親」の毒さと言ったら…現代の感覚で考えてはいけないとは思いつつも、彼女達の本音を聞きたい気がします…何か、ねぇ。二位の尼については永井路子著「波のかたみ」や吉屋信子著「女人平家」のイメージが(共に小説ですが)強かったので、コレを読んで「ああそういえばこういう箇所あったわこの人、結構…酷いな!」なんて思い出しました(笑)。「平家物語は○○(人名)が嫌い」と言う表現も、私の中の平家物語についてひとつの答えを出してくれたと言うか…発見が多い本でした。全部に賛同できたわけじゃないけど、読んでいてすごく良かった。

  • 『源氏の男はみんなサイテー』ほどのインパクトはなかったけれど、それは元の“源氏物語”と“平家物語”の違いとも言えるかも。
    でも、源平合戦の時代の歴史小説をもっと読みたいと思った。
    歴史小説が人気といっても、おもに戦国時代ですからね~
    特に、木曾義仲が詳しく書き込まれている作品が読みたいです。

    そして、この本、再読したい。

  • こういったエッセイものと対して違わなかった。

  • 大河物語も半分済んだとこらへんかな?清盛復権にはまだ遠い感じですね。(しかし女嫌いなんかなぁ?)

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    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480429551/

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著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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