快楽としてのミステリ- (ちくま文庫 ま 12-4)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 155
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429995

作品紹介・あらすじ

探偵小説を愛読して半世紀。ミステリーの楽しみを自在に語る待望のオリジナル文庫。ミステリー批評の名作として名高い『深夜の散歩』から最新の書評まで。ポー、ドイル、チェスタトンからクリスティー、フレミング、チャンドラーまで、そして、グリーン、バルガス=リョサ、エーコまで、さらには、松本清張から大岡昇平、大沢在昌まで、あっと驚く斬新華麗な名篇揃い。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館でこないだ、まとめ借り(そんな言葉あるか?)したうちの一冊。特に予備知識もなく、適当に借りてみたが、佐渡さんの本と同様大当たり。
    最近、こりゃ大当たりしそう…という本は、だいたい最初の方で分かる気がする。むしょうにワクワクしてくるのだ。
    しかし、マンガとなると外れることが多く、そんなに当てにはならないが^ ^;

    古今東西の名作ミステリーの評論なのだが、これほどおもしろい評論を読んだことない‼︎
    もしかしたらその本を読むより、楽しかったりして…。
    古き良き英米ミステリーがお好きだけあって、評論も洒脱でユーモアに満ちている。いいなあ、こんな風に本を紹介してみたい。

    読むのがとっても楽しい一冊。

  • ミステリーへの造詣が深いことは、毎日新聞の書評で確認していたが、軽快な語り口が重なると、余計に熱が高くなってくる。
    「丸谷ワールド」リターン。
    ミステリー(探偵小説)をがっつり読める余裕(時間と心理面)が欲しいです。

  • ミステリ関連のエッセイと書評を集めたもの。
    ドイルやクリスティーといった古典から、現代の作家まで、『快楽としての読書』と同じく幅広く扱われている。『海外篇』と一部が重複していたのは残念だったが……。

    目次を開いて、『エヴァ・ライカーの記憶』が載っていたのには驚いた。
    松本清張論、『薔薇の名前』評などは読み応えがある。しかし、『新宿鮫』シリーズまで登場するとは思わなかったw 暫く読んでないな、『新宿鮫』……。

  • 丸谷才一さんの、長年(足かけ30年以上か?)にわたる、ミステリー小説の批評やエッセイ、ミステリー小説論みたいな文章を集めて作った本です。何せ、素敵な本たちを素敵だなあという内容の本なんで。この本も素敵ですね。編集者の情熱というか、「快楽としての本つくり」というヨロコビ感を感じます。さすが筑摩書店。(筑摩好きなんで・・・)

    で、だいたいどういう内容かという備忘録で言うと。
    超・読書家で、英文学者・翻訳者でもある丸谷さんですから。
    ホームズ、ポーから始まって、ハメット、マクドナルド、チャンドラー、ル・カレ、フォーサイス、当然ながらジョイス、グリーンといった、ある種20世紀の古典もあります。と言って恐ろしいのは、それら、今から考えると古典ですが、その時点での同時代的批評もあったりするんですよね。キャリア長いですからね、丸谷さん。
     で、一方で、大沢在昌「新宿鮫Ⅹ 絆回廊」や、村上春樹訳「ロング・グッバイ」といった近著を激賞していたり。丸谷さん、2012年没でしたからね。87歳。
     丸谷さん自身は「ミステリー」というより「探偵小説」という言葉がしっくり来る世代なんでしょうけど。
     <探偵小説っていうのは、資本主義の都市を描くものではないだろうか>ということだったり、
     <犯人捜しゲームではなく、都会の情緒的描写だったり、人間の心理の探求だったりすべき>という感じから、<ノベルとエンターテイメント>という、探偵小説蔑視への反論など。

     まあいちばんは、「こんなミステリー、面白いよ」という、「読書案内」コラムとしての楽しみ方をしました。
     無論のこと、全く知らない作家、知らない小説も多数あります。なんで、ふんふんと割と飛ばし読みの部分もありました。
     しかし、面白いですね。
     陳腐だけど、博学ですねえ。面白いんだよおお、という情熱とともに、基本的に小説を、書かれた内容なり書かれた当時の歴史や社会背景を浮き彫りにしながら楽しむ姿勢とか。エラそうじゃないし、見せつける訳でもないんですね。「快楽としての博学」「快楽としての思考」。
     で、陳腐だけど、文章が上手いですよねえ。個人的に丸谷さんの旧かな使いは大好きなんですけど、さすが筑摩、まんまの旧かな使いですね。日本語がうまいです。「快楽としての~」っていうのも気が利いたタイトルだと思います。どこかからパクってらっしゃるのかもしれませんが。
     あとは好みですけど、まあ、やっぱり英国臭っていうか英国趣味っていうか、そういうのは端々にありますけどね。でも丸谷さんの場合、豊穣な日本語や日本文学や日本史への愛や知識もあるんで、ソコんところ、西欧賛美主義にはマッタクならない。安心です。

     感覚的にですけど、丸谷才一さんって、小沢健二さんに似てるなあって思ってしまうんです。
     ふたりとも、小説創作家として、歌作り&歌い手として、無論趣味が良くて、寡作だけど素敵にシャープな作品を生み出しますね。僕は大好きです。
     なんだけど、ふたりとも、なんていうか、創作者としてハングリーな感じがしない。で、恐ろしく博学。で、大ヒットとかするほどに、不特定多数の消費者を取り込める、ある種の野蛮さっていうかベタさっていうか、照れくささっていうか、臆面もナイ感じっていうか。そういうのって、皆無なんですよねえ。どこかで、「わかる人が買ってくれればいいや」的な。
     ふたりとも博学すぎて、評論家、批評家、探求的学者の方があってるんじゃない?と感じさせて。その癖、高踏的ではなくて、サブカルチャー的な軽さっていうのもあって。真面目すぎないステップの軽さ。豊穣な知識と洞察からの、どこかしらかコラージュや引用に満ちた趣味的な作風・・・。

     ま、ただ無論、丸谷さんの方が、女性ファンは少ないでしょうが・・・。音楽オタクと文学オタクの差なのか?

     まあまあ、そんな感じの素敵な本でした。
     もっと本が読みたいなあ、と思わせてくれた本でした。紹介されている本、アレも読みたいコレも読みたい、と・・・。
     一つ一つの考察や批評への「ふむふむ度」なり「納得度」っていうのもありますけど、それ以上に最終的には、「この本面白かった!」という思いを伝えたい、という情熱。ユーモアや博識のヴェールにつつましく包まれていますが、その情熱を感じられるのが、素敵な本でした。

  • ユーモアたっぷりの丸谷才一のアンソロジー。最近はまってます。

  • 「快楽としての読書」(日本篇・海外篇)に続く第3弾。
    読むコトは快楽以外の何物でもないですね。

  • いい本でした。ミステリ道はまだまだ深いなと。

  • 一冊のミステリ本をここまで深く読み解いたガイドブックはない。一般読者とは読書量も知識もレベルが違う。

  • 丸谷才一のウィットを楽しめる。

  • 全般的に紹介されている本がちょっと古い感じかな?
    中途半端に読んだことのある時代の作品なので、ある程度内容のわかる本が多いんだけれど、なにせ、文語体なのでもっとクラシカルな本を紹介されてるのでは、と勘違いしそうな。(^^;
    読書案内的にはちょっと入手が難しそうな本が多いのが難点ですかね。

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著者プロフィール

大正14年8月27日、山形県生まれ。昭和25年東京大学文学部英文学科卒。作家。日本芸術院会員。大学卒業後、昭和40年まで國學院大學に勤務。小説・評論・随筆・翻訳・対談と幅広く活躍。43年芥川賞を、47年谷崎賞を、49年谷崎賞・読売文学賞を、60年野間文芸賞を、63年川端賞を、平成3年インデペンデント外国文学賞を受賞するなど受賞多数。平成23年、文化勲章受章。著書に『笹まくら』(昭41 河出書房)『丸谷才一批評集』全6巻(平7〜8 文藝春秋)『耀く日の宮』(平15 講談社)『持ち重りする薔薇の花』(平24 新潮社)など。

「2012年 『久保田淳座談集 暁の明星 歌の流れ、歌のひろがり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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