中華料理の文化史 (ちくま文庫 ち 14-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430694

感想・レビュー・書評

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  • 日本で中国四千年の歴史!と言われるような中華料理の特色は、その実、普遍的な調理法や食材の活用法と言うよりも、むしろ様々な民族の文化を時代に応じて取り入れる懐の深さにあると分かった。

    今、中華料理として思い浮かべる料理がどの時代にどのような経路を辿って定着して行ったのかという事が丁寧に記されていて、伝統とはなにかという事を考えさせられた。

    また、紀元前の中国では米よりも粟や稗の方が高級とされていたこと、犬食の歴史、調理方法の変遷など、驚くことが多くあった。

  • よく「中国4000年の歴史」と言われるけれど、今よく食べられている中華料理、フカヒレや北京ダックにしてもそれらが食べられるようになったのは300年から100年くらい前のことだそう。
    それ以前、古代から現在に至るまでどのようなものをどのように調理して食べていたかを、「食文化に大きな変化が起きた時代に注目し、変化の背後に何があったかを究明する」目的で書かれているこの本。

    中国でも昔はお箸は横置きだったのにいつ頃どうして縦置きになったか、現在は油を多く使うイメージの中華料理も昔は懐石料理のような調理方法やメニューだった、とか歴史書や絵画を通したいろいろな発見や考察がとてもおもしろいです。

  • いくつか矛盾するように感じる部分もあるが、主食となる穀物やよく食べられていた肉の種類、箸の置き方など、時代の変遷に伴う中華料理の変化を概観できる。
    北方遊牧民の影響が大きいのがわかる。

  • 紅虎餃子房などの際グループの社長が、酢豚は元々ケチャップでなく調べたら黒酢だったと言っていた。そのことを思い出した。

    そんな風に、刻々と変わっていく中華料理を知ることができる。料理の詳細でなく、変遷やどこで変わったかを突き詰めていく内容。

    中華料理の多くがこの数百年というインパクトは大きい。

  • 「中国4000年の歴史」とよく言われるものだが、中国は他民族が長い年月の中で競い合ってできた多民族国家である。そのために、各時代によって料理の味も特徴も全く異なるところが面白かった。

  • 2013-6-21

  • 中華料理に馴染まない日本人は基本的にいないと思われるが、そのメニューが生まれたのは四千年はおろか、ほんの2〜3世紀前のものが多いという。いわゆる中国には、古来より北や西から様々な武力や文化が押し寄せ、混じり合ってきた歴史があり、食文化もそれにともなって変遷してきた。現代我々が食しているのは、たまたまその最新版で、それは今後も確実に変わっていく運命にもある。味の好みがうつり変わるのは(生産状況や運送事情への依存はあるにせよ)、美人の基準が時代ごとに異なるのと似ていて、正解の無いテーマなんだと感じた。印象的だったのは、宋代の料理を再現すると、現代の中華よりむしろ日本料理に近いという話。古の料理が日本に伝わったことによって、かえって命脈を保ったのかもと興味深かい。また各時代の王朝が興った郷土の食べ物が、権力者の嗜好として宮廷料理になったのは、易姓革命の国ならではで、逆に日本では当てはまらないかも。歴史好きグルメ好き以外にも楽しめる読みやすく且つ論理的な文章は秀逸で、中華料理に限らない、人類の料理史に共通するテーマを提供している点からも、読む価値が大きい一冊。

  • 様々な文献を通じて、昔の料理がどの様なものであったかを探る。中華料理の激しさが改めて実感できた。

  • 何故、中国と日本で箸の置き方が違うのか、その理由の考察が実に納得させられるものであった。

  • 中国4千年の歴史。
    ラーメン、フカヒレなどなど。
    過去の文献や文化の動きを絡めて、丁寧な解説。

    はー、だから羊多いのかー
    えー、麻婆豆腐新参者?
    とか、目から鱗です。

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著者プロフィール

張競(ちょう・きょう)
1953年、上海生まれ。上海の華東師範大学を卒業、同大学助手を経て日本へ留学。東京大学大学院総合文化研究科比較文化博士課程修了。東北芸術工科大学助教授、國學院大学助教授を経て、明治大学教授。専攻は比較文学・比較文化、東アジア文化交流史・文化史。1994年『恋の中国文明史』で読売文学賞(評論・伝記部門)、95年『近代中国と「恋愛」の発見』でサントリー学芸賞(芸術文学部門)を受賞。
他の著作に『海を越える日本文学』(ちくまプリマー新書)、『異文化理解の落とし穴』(岩波書店)、『美女とは何か』(角川ソフィア文庫)、『夢想と身体の人間博物誌』(青土社)、『詩文往還 戦後作家の中国体験』(日本経済新聞出版社)など多数。

「2023年 『羅針盤なき航海』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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