なんたってドーナツ: 美味しくて不思議な41の話 (ちくま文庫 は 38-2)

制作 : 早川 茉莉 
  • 筑摩書房
3.43
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本棚登録 : 502
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480432186

感想・レビュー・書評

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  • 神保町の古本屋で出会った一冊。
    買った時は気づかなかったけど、大好きな千早茜さんのエッセイも入っていて小躍りした。

    昭和の頃のお話もあり、「ドウナツ」「ふくらし粉」「メリケン粉」などの昔の言い回しや、単語がとっても良い。
    ドーナツが家庭の手作りお菓子の定番だったとな。私はドーナツを手作りしたことが無いんだけど、手作りの素朴で優しい味が何となく思い浮かんで、無性に食べたくなった。
    レシピも載っていたので作ってみたくなる。

    はあ、ドーナツ食べたい。なるだけ素朴なやつ。ミスドのオールドファッションがいいな。

  • すごい!
    ドーナツに関する随筆を集めたアンソロジーです。
    いろんな時代、いろんなシチュエーション…ドーナツドーナツドーナツ!!!
    まさかの哲学っぽいお話まで出てくるのです。笑

    読んでいてドーナツを食べたくはなるのですが…

    41のお話のほとんどが、というか41人が思うドーナツのほとんどが今はあまり見ないようなドーナツなのです。
    ふわふわで甘いドーナツではなく、かたくて食べ応えのある、甘すぎないドーナツ。
    思えば、チェーン店以外のドーナツってあまり食べたことないかも。
    読み終わったら、なぜだか自分の家でドーナツを作りたくなる…、もしくは母親とか祖母に作ってもらいたくなりました。

    松浦弥太郎さんのお話が一番印象に残っています。
    ちょっと切ないお話です。

  • 中学、高校時代、試験が終わると地元駅前のミスタードーナツに行ったものだ。
    いつも食べるのは決まっており、試験で疲れた脳みそに満足感を与えられたものだ。

    16で献血に行けるようになってからは、献血ルームに置いてある神戸ドーナツを食べるのが定番になった。

    月日が経って、クリスピークリームドーナツという黒船がやってきた。
    新宿の店舗に人がずらーと並んでいるのにげんなりしたが、ブームが去った後でよく食べるようになった。

    ドーナツを一回も食べたことがない、という人は少数派ではないだろうか。
    特に目新しい思い出ではなくても、きっと記憶にはあるはずだ。
    本書はそんなドーナツ話(時につくり方)を集めてある。
    どうも味覚と嗅覚は美化されているようで思いの外正確なようだ。

    アメリカのドーナツの話が何回か登場する。
    私はアメリカには行ったことがないので、その姿形、味は想像するしかないが、ニューヨークの公園でかぶりついてみたい。
    甘すぎたり油っこかったりして、きっと多くは食べられないだろうが。

    レモンドーナッツの作り方は試してみたい。
    不器用な私でも、そして形や盛り付けのセンスがなくてもなんとかなりそうだ。

    北原白秋の『ドウナツ』の詩はとても温かみのある詩だ。
    子供が楽しみにしている様子、船から出る蒸気がぽんぽんぽんと輪っかを作り、その輪っかがドウナツになるような、夢のある楽しい詩だ。

    ああ、ドーナツがたべたいな......

  • 【腹減り度】
    ☆☆☆☆☆
    【食べ物の割合】
    ☆☆☆☆☆
    【1番美味しそうだったもの】
    ドーナツ!!

    *感想*
    金太郎飴の如くどこを開いてもドーナツ、ドーナツ、ドーナツ!読むと幸せになる反面、ツライ。お腹が空く、めまいがする。気がつけば口が脳がお腹がドーナツを求めて蠢いている。何故私の手元にはドーナツが無いのかな?と悲しくなるほど。そういう意味でこれは泣ける本かもしれない。
    エッセイがほとんどなので、昭和のご家庭の(おかあちゃんの)思い出ドーナツが多いですが、どなたのドーナツ物語も垂涎もの。材料じゃらないのよね、揚げて砂糖まぶしただけって描写がむしろそそる。
    今まで読んだ食エッセイでこの本が1番好きです。

  • 41人の作家によるドーナツにまつわるエッセイや物語を集めたアンソロジー。ドーナツが好きなので読みました。大正や昭和の頃のお母さんやおばあさんの作ってくれた素朴なドーナツの思い出を語るものが多かったのが、買って食べるだけの私にとってはむしろ新鮮でした。手作りのドーナツの味を知らないなんて損なことなんだ。ホットケーキミックスでも作れるのなら作ってみようかな?という気持ちがムクムクと沸き起こりました。『エミリーはのぼる』の中の壺いっぱいのドーナツを真夜中に食べるエピソードとか、サンフランシスコの『ヴェローナ・ホテル』のロビーで朝食として段ボール箱から配られるドーナツのエピソードが強烈に印象に残りました。千早茜さんが模擬試験の国語の問題に出てきた小説(幼い頃の主人公がカウンセラーの元に連れていかれて2個のドーナツのうちひとつを食べる、オレンジジュースを飲み、カウンセラーと話す、という内容)から出された問題の選択肢の中に答えが見つからないことに愕然とし、それが後に村上春樹さんの『風の歌を聴け』であったことを知り、村上春樹さんの作品を片っ端から読むようになって小説家になっていくエピソードは何か深い運命のようなものを感じて、う~む…とうなってしまいました。ドーナツは人によって、郷愁だったり、哲学だったり、癒しであったり、時と場所を変え、形も味わいもさまざまなバリエーションを持って、人生の一場面に現れて来るものなんですね。熱いコーヒーとドーナツに更なる至福を感じてしまいそうです。

  • 普段はアンソロジーは好きな作家が執筆した部分しか読まないのだけど、これはほぼ全て楽しく読めた。
    編者が求める昔懐かしいシンプルなドーナツに関する文章。ちょっと偏り過ぎかな、とも感じるけど、その偏愛っぷりがいいのかも。
    読んでいるあいだずっとドーナツが食べたい、ドーナツが食べたいと思っていたんだけど、食べたいのは今風の軽くてふわふわのではなくて、ずっしりむっちりした茶色いドーナツ。
    ドーナツ、家で作ってみようかな。

    丹所千佳のドーナツ・メモランダムがよかった。京都のドーナツ事情あれこれ。milleの編集長。

  • 2023.10.13
    『グレーテルのかまど』で田村セツ子さんのドーナツのエピソードを紹介していたことからこの本に到着。
    [同級生のお母さんが部活の差し入れに持ってきてくれたあのドーナツが人生史上いちばんおいしかった]
    今でもそう思って生きている。
    この本に集められた各話の書き手の皆さんもだいたいがこうであった。
    ワカル。わかりみが過ぎる。
    「ドーナツはほかのことを思い出させるもの」
    なるほどドーナツ。
    ただ、大手チェーンのドーナツがまあまあ手厳しく断罪されているのはちょっと気の毒に思う。あれはあれでたいへんおいしい。
    近年の作家さんからのアンソロジーでもう1冊読ませていただきたい。

  • ドーナツのアンソロジー。

    ドーナツとコーヒーをお供にしたくなる。
    既刊の作品からの抜粋と書き下ろし混合。
    「ドーナツ」って単語が1回出てくるだけの、もっと他にチョイスなかったのかなぁというのもあり。
    戦前、昭和の初期からドーナツは家庭で作られていたようで、家庭の温かい思い出と敗戦後の辛い生活の対比を思うとなんとも言えない気持ちになるなぁ…。
    堀江敏幸「高度に普通の味を求めて」
    増田れい子「ドーナツ」が好き。

  • 読み終わった後、
    やったことないのに、無性にドーナツが作りたくなる。そんな本

  • エミリーがジミーさんと夜中に壺いっぱいのドーナツを食べてしまう話、いいなと思いました。

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