モチーフで読む美術史2 (ちくま文庫 み 31-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 263
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480432841

感想・レビュー・書評

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  • 「1」よりも日本画の割合が増えた印象。個人的には「1」の方が好きだけど、こっちの方がバランス取れてると感じる人もいそう。ま、いずれにせよ良書。

    にしてもやっぱりあとがきが泣ける。

  • 読む経緯:
    小平図書館にて配架。宮下規久郎著『モチーフで読む西洋美術史』ちくま文庫,2013の続編。webちくまにて連載の物を掲載。
    体裁は前回とほぼ変わらずであるが、新聞掲載の文字数規制がなくなったので、文章量が増量。ショートショート。
    前巻に続き、あとがきに記されていた著者近況続報には身につまされる思いである。

  • 前作同様豊富な図版で分かりやすい上に、今作では文章の長さに規定が無いためか、より詳細な説明も得られるようになっているのではないか。
    図版の位置がまちまちで読みにくいというのは差し置いても良著。

  • こちらは初読み。前作が好評だったので筑摩書房のWebで連載されたものを編集したものだが、全体的に冗長になってしまっているし、取り上げているものからもテーマ性が失われて、単純にとりあげたモチーフが描かれた絵画の羅列とその説明になってしまっていて、前作ほどのおもしろさは感じられない。……とはいえ、本書にはそうした美術的なモチーフが学べる――という意味とは異なる役目がある(あとがきを読めばわかる)。それはおもに本書を記した宮下氏のためのものでもあるが、ささやかながらも私も哀悼の意を示したい。

  • 図書館で①より先に入手できたので②を先に読んだ。知らなかったことばかりで、とても勉強になった。東洋にも触れているが、なによりも、(古代神話の題材や一部の風俗画を除いて)基本的に西洋絵画はキリスト教のイメージが何かしら付随していることを知ったことが私にとっては大きな収穫だった。ピカソの「泣く女」ですら、聖母マリア・聖ペテロ・マグダラのマリアの涙、という伝統を受け継いでいるという。西洋文化は、キリスト教という大地の上に育った森。その大地を理解しなければ、文化の理解とはいえないことを痛感した。読むだけでは覚えられないのでエクセルにまとめながら、この本にはのっていないことを調べたりしたが、カラー図も多くてとても有意義な図像学の教科書だった。

  • 西洋絵画の主要なモチーフは前作で出し尽くしたのだろう、ネタとしては弱くなったが前作より日本と中国の美術への言及が増えている。相変わらずカラー図版の充実が嬉しい。
    前作執筆直後に娘を亡くし、ようやく筆を持ったのが本書だそうで、随所に悲しみがこもった内省的なコメントが見られ、単なる解説本ではない深みとなっている。
    ともあれ「デュシャンが泉というタイトルを選んだのも、それがセンセーションを巻き起こして伝説化されたのも、西洋における泉というモチーフに、強い宗教性と長い美術的伝統があったからにほかならない」という示唆が特に面白かった。そうかそういうことか。

  • 国内国外の絵画作品を昆虫,果物,自然現象などのモチーフで整理した面白い読み物だ.例えば,蛙.日本では鳥獣戯画に見られるようにユーモラスの取り扱いが西洋では邪悪な動物となることが面白い.西洋ではキリスト教に関連する事象が数多く取り扱われるが,この点の知識がないと作品の理解が難しい場合が多いようだ.

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著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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