多摩川飲み下り (ちくま文庫 お 62-3)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433879

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  • これは楽しいなあ。飲んべえの人は真似したくてたまらなくなるに違いない。大体多摩川に沿って歩きくだりながら、目についたのれんをくぐったり、河原で持参のビールやポケットウイスキーを飲んだり。思いついたときに気が向くまま、という自由さがとてもいい。昼間から飲んじゃって、と少しだけ後ろめたく思いながら、だからこそ味わい深いのが昼酒というものなんだろう。

    語り口がちょっと落語を思わせる。流れるような気負いのない文章で、とても読みやすい。解説の高野秀行さんによると、著者は「いつも飲んでいる、いくらでも飲む、いつまでも飲んでいる」大酒飲みだそうだ(γ-GTPが1000をこえたことがあるとか)。そう聞くと、書くものもさぞかし豪快であろうと思ってしまうが、さにあらず。何と言うか、おかしな言い方になってしまうが、無頼ぶりが上品だ。ほぼいつも機嫌がいいのが何より。

    こういうのを読むと、いいよなあ男の人は、とつい思っちゃう。一人でどこか出かけるのが好きだけど、昼とかの軽食はともかく、ちゃんとしたごはんが食べたいなあ、ちょっとビールでも飲んでさ、という気分の時、オバサンが気軽に入れる所ってあまりない。ましてやこの著者のように、ふらりと縄のれんを分けて地元の居酒屋へっていうふうにはなかなかできないものだ。いやまあ、気にせずやればいいんだけどね。以前札幌へ行ったとき、ビール園で一人焼き肉を食べながらゆったりビールを飲んでいる白髪のオバサマがいて、なんてかっこいいんだ!と感動したことがある。一人酒って品格がいるのかも。

  • 多摩川の上流から河口まで歩い続ける、飲み続ける体験記。知っている場所が出てきて、特に武蔵中原や新丸子の周辺の飲み下りはコーフン度200パーセント。こんな大人になりたい。半分、なっているかな?(笑)

  • 実家へのお供。
    のんびりしてていいなぁ。こんなふうに知らない土地の呑み屋にふらりと立ち寄りたいものだ。
    そうそう土地鑑とあったが土地勘、と思っていた。

  • こんな風に、ふらりと上流から川沿いを歩いて飲み歩くの、楽しそう。
    やってみたい。

  • 奥多摩から川崎まで多摩川沿いを歩きつつ昼酒(もちろん夜も)を堪能するのんびり紀行。

    特にノルマもなく思い立った時に前回の地点から再開する散歩。町の中華屋さんだったりコンビニのサンドイッチなんかをおつまみに河原で缶ビールなど。
    肩の力を抜いてのんびりと楽しむ散歩。

    筆者、大竹聡と久住昌之、吉田類。最近酒呑み作家が流行っているように思える。

  • 酔っぱらい紀行文。そういうジャンルもあるのだなと、思わされた一冊。
    お店の紹介が主にならず、思い出・情景・風景・歴史などがとりとめもなく混在しているのがよい。
    日常の極めてそばにある非日常の心地よさを再認識させられた。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    奥多摩駅から多摩川沿いに、のべ27日間かけて、ひたすら歩いちゃあ酒を飲む。目指す終点は川崎駅のそのまた先の多摩川河口だ。歩いた後は、居酒屋でビールにハムカツ、河原でコロッケと酎ハイを楽しむ。これがなぜかたまらず美味い!河原で草野球や、魚釣りの親子を眺めながら寝転がれば極楽気分。非日常の旅はこんな近くにあった。ほぼ書き下ろし。

    大人になるにつれて酒場の魅力が体に染み込んでくるのを感じる昨今です。タモリ倶楽部の飲み屋特集や、酒場放浪記が楽しいのなんの。出来れば自分が行きたい所ですがなかなかそうもいかないのがサラリーマンのつらい所で有ります。
    さて、この本題名からして駄目な親父が引き寄せられてしまう魅力満点ですが、中身もまさにそれ。だらだら散歩していい具合に喉乾いた所で酒を飲むわけですよ。ぼくはさほど飲む人ではありませんが、これ読んでいると酒飲みたくなって仕方がないです。しかも多摩川沿いなので自分の生息域と被っている為に、読んでいて知っている店や通りが出てきて異常に楽しいです。もっと読んでいたかったです。

  • 奥多摩駅から多摩川沿いを飲み下るという趣向のほぼ書き下ろしエッセイ。居酒屋、角打ち、蕎麦屋に寿司屋、さらには食堂、はたまた川辺や公園まで、飲めるならば場所を問わずという呑んべえの鏡のような著者。東日本大震災のまさにその日も鳩ノ巣で飲んでいたという記述には少し心に引っ掛かるものがあるが。

    可もなく不可もなくというエッセイだった。

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著者プロフィール

1963年東京生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊。

「2022年 『ずぶ六の四季』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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