オシリスの眼 (ちくま文庫 ふ 51-1)

  • 筑摩書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433909

感想・レビュー・書評

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  • ミステリ。
    探偵役はジョン・ソーンダイク。
    知らなかった作家・作品だったが、非常に好み。
    理性的な登場人物たちによる、知的な会話が心地良い。
    限られた情報からの論理的な推理が、正統派ミステリという感じ。
    主人公バークリーのロマンスシーンに、事件の伏線が張られていたりと、作品として完成度が高いように思う。

  • オシリスの眼
     第1章 消えた男
     第2章 立ち聞き
     第3章 ジョン・ソーンダイク
     第4章 法的な難問とジャッカル
     第5章 クレソンの水田
     第6章 付随的な情報
     第7章 ジョン・ベリンガムの遺言書
     第8章 博物館の恋物語
     第9章 リンカーン法曹院のスフィンクス
     第10章 新たな同盟
     第11章 証拠の再検討
     第12章 発見の旅
     第13章 検死官の追及
     第14章 読者を検認裁判所にご案内
     第15章 状況証拠
     第16章 ”アルテミドロスよ、さようなら!”
     第17章 告発する指
     第18章 ジョン・ベリンガム
     第19章 奇妙な討論会
     第20章 事件の終結
    Hodder & Stoughton「The Eye of Osiris」 1911年

    訳者あとがき 渕上痩平
     1 レイモンド・チャンドラーが敬愛した作家
     2 ロジックの精髄を究める推理小説
     3 登場人物等についての補足
     4 もう一つの「オシリスの眼」
     5 エジプト史との関連
     6 おわりに

  • 久しぶりにミステリ読んだ。
    エジプトのミイラや遺跡、王たちの話が出てきて、アクエンアテンも出てきてうれしい。大英博物館行ってみたい。
    ソーンダイクという名前は聞いたことがあったけど、これがそうだったのか。クリスティーの「おしどり探偵」を読み返してみよう。

  • 初めてソーンダイク博士の登場する作品を読んだが、想像よりも楽しかった。ソーンダイクの人柄が全くクセがなくて、若者にも真摯に向き合ってくれる誠実さが好印象。トリック自体は、ミイラに死体を隠したんだなって察しはすぐついたけど、遺棄されていた骨が被害者のものでなくミイラのものであると推理した理由が論理的に述べられていて、なるほどねって思えた。DNA鑑定がない時代は大変だったのね。

  • 英国探偵小説の古典だそうだ。トリックそのものより、死体の状態という証拠から論理を積み重ねて謎解きをしていく過程が見どころ。
    ヒロインの「図書調査員」という職業が面白かった。「娘は本を執筆中の人たちのために大英博物館で参考文献や図書目録を調べておるのです。娘は、与えられたテーマに関する本をしらみつぶしに探し、破裂する寸前まで情報を詰め込むと、依頼人のところへ行き、それを放出して相手の頭に詰め込む(p67)」
    あとがきにやたらと力が入っていると思ったら、訳者は元外務省勤務で海外ミステリ研究家なのだそう。

  • お恥ずかしながら、ソーンダイク博士シリーズの長編を読むのは本作が初めて。電子書籍も含めて積読本はそれなりにあって、最初の長編『赤い拇指紋』も持っているのだが、代表作の一つと言われているこちらを先に読んだ次第。(訳者の渕上さんによる、ソーンダイク博士短篇全集が近々刊行されることも理由の一つ。)
    恋愛エピソードが時代がかっているのは、まさにその通りなのですが、途中までは話の本筋より、むしろそちらの方が気になってしまいました。
    本作で取り上げられるエジプト学も興味深かったけれど、やっぱり面白かったのは話の本筋。丁寧なロジックがいいですね。

  • エドワード時代のイギリスが舞台の古風な推理もの。ミイラやバラバラ死体といった猟奇的なエピソードと、その時代の節度ある道徳観が混在している。謎の解明に当時最新の技術だったエックス線撮影が出てくるのも面白い。

  • ホームズと同時代に活躍したライバル探偵、ソーンダイク博士もの。あの時代のロンドンの空気感と一人の人間が失踪したという事件の謎、そして論理的かつ丁寧な謎解き(ここで使われるのは帰納法による推理)により満足度が高いですね。派手さはないけど堅実。
    訳者による解説も丁寧で(だいたい考えてたことは語られててもう言うことなし)、同人誌からの商業出版だそうですが、この路線を引き続きやってクラシックミステリの発掘をしていって頂きたい。

  • ソーンダイク博士ものの長編。
    徹底的にロジックを突き詰めるタイプの作風。当時の最先端科学を用いて謎を解き、犯人と対決する様は、正に『古き良き探偵小説』だった。
    巻末の解説も面白かった。特に、フリーマンという作家が如何にロジックを重視し、どの辺りが他作家と異なるのか……というくだりは興味深い。

  • 2016/11/28読了

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著者プロフィール

"オースティン・フリーマン
1862-1943
本名リチャード・オースティン・フリーマン。
別名義にクリフォード・アシュダウン。
英国、ロンドン生まれ。
1880年にミドルセックス病院付属医科大学に入学。
その後、王立外科医科大学などで働く。
デビュー作は、アフリカのガーナに植民地付医師補として
赴任した際の探検を本にまとめたTravels and Life in Ashanti and Jaman
(1898)。
科学者探偵ソーンダイク博士シリーズは、第一作『赤い拇指紋』(1907)
をはじめとして、長編21作、短編40作以上を数え、
「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」の
代表格とされている。




"

「2019年 『ニュー・イン三十一番の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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