承認をめぐる病 (ちくま文庫 さ 29-8)

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著者 : 斎藤環
  • 筑摩書房 (2016年12月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433954

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承認をめぐる病 (ちくま文庫 さ 29-8)の感想・レビュー・書評

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  • あとがきにて著者本人が、タイトルを考えた編集者に感謝を述べている。
    確かにタイトルが面白そうだと思って買ってしまった。

    引用が多く、言い回しが文系らしく非常に回りくどい。(著者にとっての精神分析とは…しないための…メタ規範である。とか何回読んでもわからない)
    ただ、専門が引きこもりとあって、それに対する臨床治験や秋葉原事件の話は面白かった。

    自分が学生の時は、統合失調症患者が偏見及び差別により社会から隔離され、長期入院よって社会復帰が困難となっている問題に焦点が当たっていて、あまり若年層のうつや自殺については触れられていなかったと思う。

    携帯依存、SNS依存、マスク依存、わりと最近生まれた依存症は、すべて承認に関わるようだ。

    この本を読んだとき、エヴァをよく知らなかったので、序盤のエヴァの登場人物を使った説明はあんまり伝わらなかった。
    映画見た人ならすごく分かりやすいんだろうけど。

    社会が成熟し、インフラ、環境が整うにつれて、人は未成熟でも許される。という記述が興味深い。
    暴走老人、モンスターペアレントなど、人との関わりすら消費行動になってしまっている。
    自分に都合の良いように周りが動いてくれないとキレるって、幼児行動そのものだ。
    そこに「お金払ってんだから」という注釈がつくと複雑になるけど、教育は義務であり、サービスは単なる付加価値なんだから、そこを忘れてはいけないと思う。
    (ただし、理不尽な暴力だったり犯罪であれば別だが)

    また、キャラ化によって、他者に承認を委ねる危険性について、著者は警鐘を鳴らしている。
    常に流動的な周りに自分の価値観をゆだねると、立場がすぐに変わる。何かアクションを起こすことで、学校内で守られていた優位キャラが容易に覆る。
    いじめていた子が学校が変わったとたんいじめられる、といった流動性サイクルが起こっているという。
    それは全く気が抜けない。安心できる場所が自分のふとした言動で覆るとなると、そりゃあ余計なことはしない、目立たないことを大事にするだろう。傍観者という第2の加害者はこうやって生まれる。

    こういった問題で苦しんでいる人は、成熟している人とのつながりがある場所を得る、同じ目標を持っている人とつながるなど、別の居場所が確保できるといいのに。
    もしくは飛び級制度とか。

  • タイトルに惹かれて読んだけど思ってたのと違って、神経内科とかの、本当に病気について書かれてました。あといろんな方向に話が飛んでて内容もすごい難しかった…
    クラス内のキャラ付けとか、納得できるとこもあったけど全部は理解出来なかった…エヴァの話はおもしろかった!
    ここでもスクールカーストが出てくるんだな〜と思いました。

  • 人を記述可能な「キャラ」として把握することは、思考処理する点で便利ではあるが全体像を捉えられない。人はどこかしら矛盾を持つものだから、完全な記述は不可能なはずである。せめて自分にとって大切な人くらいは、矛盾も含めた全体像を捉えられるよう努力しようと思った。ただこの本、具体例として挙げられるアニメや芸術作品を知ってる前提で論を展開するから、少し説明不足を感じた。あと、後半の精神医療に関する考察や哲学については専門用語が多く理解が追いついていない。
    この本はキャラを押し付けられるものとして表現していて、それが不本意なものならその通りなんだけど、自分に都合が良いキャラを押し付けられだ場合は結構居心地の良い隠れ蓑になったりする。だからそこに依存してしまうということもあり得る。
    あと、特に仲の良い友人とはキャラを交換し合える傾向がある気がする。と言うより交換し合える程お互いがお互いの事を知っているから仲が良いのかも知れない。
    自キャラが固定された人間関係しか持っていなかったら、例え知人が多くてもかなりの地獄だろうな

  • 若者とお付き合いする事が多い仕事柄、また、社会の仕組みを理解したいという個人的欲求もあって話題の書を読了。承認依存という現象について、精神医学者の立場から分析、解説しているが、エヴァンゲリオンの主要キャラクターを引き合いに出すなど、とてもわかりやすい。「他人の許しがなければ自分を愛する事すら難しい」「キャラ設定に基づかないとコミュニケーションできない」「生存欲求に勝る承認欲求」等、衝撃が走る。私の世代がなぜ働くかを問われれば十中八九食っていくためと答えるであろう。しかし現代の若者は「承認されたいから」という欲求が非常に強い。承認されなければ引きこもるし鬱になるし自死を選ぶ。マズローのいう生存欲求(第一段階)を満たして成熟するのではなく、承認欲求(第三段階)が満たされなければ、生存欲求すら放棄(自死)してしまう逆転現象。確かに病である。

  • 若者の承認欲求をめぐる現状について、精神医学の臨床経験を踏まえて論じられている。寄り合わせの論考集でもあるが、非常に面白くためになった。

  •  勝手に「承認という病」についての本だと思っていたので、実際に読んでみたらタイトル通り「承認をめぐる病」の本というか、臨床の立場から現代の精神病について書いてあった本だったので「あ、こういう感じね!」となってしまった。しかも筆者が他の雑誌や本に寄稿した「承認をめぐる病」に関する文章をまとめたものなので、一冊のなかで内容に重複している部分が多かった。でもキャラクターに関する見解はおもしろかった。
     哲学に関する基礎知識があまりないのでもっと勉強しなきゃな、と思った。ラカンとか。

  • キャラがある環境における役割を表すならば、ソシュールの言語論における記号の様なものなのかな。

    個人が記号と化した中でそれをそれとして受け入れて生きるのか、多層的な世界で多くのキャラの複合としての自分を見出すのか、コミュニケーションを超えた対話が可能なのか、大きな物語としての民族や宗教が復権するのか。
    ぜひ続編も読んでみたい。

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