絶望図書館: 立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語 (ちくま文庫)

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著者 : 頭木弘樹
  • 筑摩書房 (2017年11月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480434838

絶望図書館: 立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語 (ちくま文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 他のブクログユーザーさんがレビューを書いてくださりこの本の存在を知りました。
    『絶望名人カフカの人生論』の編訳者の頭木広樹さんが『絶望したときその心に寄り添ってくれるような物語』を集めたアンソロジー。

    絶望の種類によって章が分かれていて「人がこわい」「運命が受け入れられない」「家族に耐えられない」「よるべなくてせつない」の4章、古今東西の12編の短編が収められている。

    どれも誰もが覚えのある「絶望」だと思う。
    ただ、「絶望」って人によって姿形が違うと思うので、誰にでもフィットする気がしない。
    私には「寄り添ってくれる」ほどの近しい関係になれるような物語はなかったけど、読んでる間は軽い胃痛を忘れるほどには面白かった(笑)

    三田村信行さんの『おとうさんがいっぱい』
    大昔、オカルト本読んで、ドッペルゲンガーが一番怖かったことを思い出した。ラストはちょっと涙目。

    筒井康隆さんの『最悪の接触』
    恐怖と可笑しみ、でもやっぱり恐怖。
    なに考えてンだかまるっきり分からない‘他者’と一緒に暮らしたら?
    皮肉っぽいなー。ラスト一行に笑った。

    山田太一さんの『車中のバナナ』
    短いエッセイだが心に残る。
    このエッセイの言っていることが分からない人にはならないようにしたい。

    川端康成さんの『心中』
    うわーすごい、たった三ページでこれだけの世界が書けるとは!ショートショートの神様、星新一さんも「何べん生まれ変わったってこれだけは書けない」と書かれていたとか。

    最後に収められているのは手塚治虫さんの漫画『ブラックジャック/ハッスルピノコ』
    懐かしのブラックジャック、ピノコが切な辛い。

    あと気になっていたシャーリイ・ジャクスンも読めて良かった。

    最後にカフカの言葉が載せられている。

    本には、悲しんでいる人を助けるつもりなんかちっともないとしても、本を読んでいる間はぼくは本にしっかりすがりついていられる。

  • 明らかなタイトル買い。
    でも、オビのラインナップ見ていたらワクワクして、手に取らずにいられなかった。

    こんな絶望を感じている人に、という処方箋的なイントロダクションもなかなか素敵。

    人に受け入れられない絶望に。
    三田村信行「おとうさんがいっぱい」
    なんてネーミング。なんたるシュール。

    山田太一「車中のバナナ」はめっちゃ共感。
    受け入れることが前提の思いやり、というのだろうか。車中でおもむろに渡されたバナナ。
    何故食べないの?受け入れられないの?
    結構です、と言える決定権がどうして自分にないんだろう、と確かに不思議になる。

    ウィリアム・アイリッシュ「瞳の奥の殺人」
    これ。なんとなく結末読めるけど、ハラハラ。
    おばあちゃん、がんばれ!
    おばあちゃん、負けるな!

    安部公房「鞄」は元々好きな作品。
    人生の選択肢が限られているという絶望に。
    なるほどね。

    川端康成「心中」も短いけれど、なんかどの角度から照らしても、切なくて鋭い。
    家族の音。
    一緒に暮らしていると、足音でも誰か分かる。
    それを想像することが出来る。
    イライラすることも確かにある。
    でも、静寂が良いとは限らない。

    ラスト。
    手塚治虫「ハッスルピノコ」
    あー。昔、ブラックジャックめっちゃ読んだな。
    書かれたくない部分こそ、丁寧に掬いあげられているというか、ブラックジャックの表情に、苦しくなったこと、確かにある。

    どれを読んでも味わいがあって、こういう完成度の高いアンソロジーは是非薦めたくなる!

  • 素晴らしいセレクト。

    「瞳の奥の殺人」はちょっとリリカルでさすがアイリッシュ。
    「鞄」も完成度高い。
    一番こわいと思い絶望に共感したは「車中のバナナ」。「すてきな他人」もよかった。

  • アンソロジーなのだけど「絶望」というありそうでなかったコンセプトが絶妙で、なんというかタイトル勝ちですね。序文によると「絶望的な物語」でも「絶望から立ち直るための物語」でもなく、立ち直るまでの長い絶望の期間中に読むのにおすすめ、的なものらしく、「○○に絶望してる人に」という処方箋的な細かいジャンルわけもしてあるので、絶賛絶望中!という人の「共感」を呼ぶ作品をセレクトした感じでしょうか。正直絶望してるときにこれを読みたいかと言われると個人的にはそうでもないのだけれど、単純にアンソロジーとして幅広いジャンルからセレクトされているのでとても面白く読めました。

    安部公房「鞄」と川端康成「心中」のみ既読、筒井康隆「最悪の接触」は面白いけどストレスがたまる(苦笑)、児童文学ながら三田村信行「おとうさんがいっぱい」は不条理SFっぽく、ウィリアム・アイリッシュ「瞳の奥の殺人」は単純にサスペンスとしてハラハラ、しかもハッピーエンドで読後感○、シャーリィ・ジャクスン「すてきな他人」はさすがの不穏さ、同じくカフカも安定の不条理、ラストを締めくくるのは手塚治虫のブラックジャックというのも斬新。

    特筆すべきは韓国の李清俊(イ・チョンジュン)「虫の話」。韓国の小説を読むのはもしかして初めてかも。息子が誘拐され遺体となり発見、犯人への復讐に燃えていた母親はやがて宗教(神)を心の拠り所にするが・・・。読み進めるうちに、あれ?この話どこかで?と既視感、タイトルが全然違うから最初はわからなかったけどもしかしてこれって、映画『シークレット・サンシャイン』(http://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B001H1FXFS)の原作!? のちほど解説を読んだらやっぱりそうでした。映画はこの短編をさらに膨らませてあったけれど、展開はほぼ同じ。かなり衝撃的な作品で、映画を先に見ていなければこの小説からも結構衝撃を受けるかも。とくに過激なことが起こるというわけではなくて、母親の心理の移行がとにかく秀逸。原作はわりと淡々としているけれど、ラストに救いを持たせてあった映画よりも小説は残酷だった。

    ※収録作品
    おとうさんがいっぱい:三田村信行/最悪の接触:筒井康隆/車中のバナナ:山田太一/瞳の奥の殺人:ウィリアム・アイリッシュ/漁師と魔神との物語:『千一夜物語』より/鞄:安部公房/虫の話:李清俊/心中:川端康成/すてきな他人:シャーリィ・ジャクスン/何ごとも前ぶれなしには起こらない:キャサリン・マンスフィールド/ぼくは帰ってきた:フランツ・カフカ/ハッスルピノコ(『ブラックジャック』より):手塚治虫

  • 作家としては知っていたり知らなかったりだけど、作品としてはすべて未読で読みごたえあり。バラエティーに富んでいておもしろいアンソロジーでした。今後起こり得る絶望への備えになるかどうかは不明だけど。
    アンソロジーっていいねと改めて。扉を開けるごとに違う景色が広がる。知らなかった作家を知るきっかけになる。他作品を読んでみたくなる。既知の作家の作品も読んでみたくなる。ああ、筒井康隆さん久々に読んでみたくなりました。

  • 心に寄り添ってくれるかどうかよくわかりませんが
    面白い本です
    お父さんがいっぱいと鞄が良かったです

  • ・頭木弘樹編「絶望図書館 立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語」(ちくま文庫)は 書名通りの書である。巻頭の「絶望図書館 ご利用案内」に、「絶望して、まだ当分、立ち直れそうもないとき、その長い『絶望の期間』をいかにして過ごす か?(原文改行)そういうときに、ぜひ館内に入って来てみていただきたい」(8頁)とある。「絶望したときの気持ちは、誰にもわかってもらえないもの。 (原文改行)でも、文学だけは、わかってくれることがあります。」(同前)本書はそんな時のためのアンソロジーだといふ。さうなのだらう、さうかもしれないと思ふ。洋の東西を問はずに選んだ「絶望」に関はる12の物語、その作品を選んだ理由も書かれてゐるが、必ずしも納得できないものもある。絶望といつたところで様々である。個々の人生、そんなに単純なものではない。本書が本当に絶望した「心に寄り添ってくれる」のかどうか。
    ・とはいふものの、「第一閲覧室『人がこわい』」の第1作三田村信行「おとうさんがいっぱい」はおもしろい。平仮名のタイトルから分かるやうに、これは児童文学である。「人に受け入れてもらえないつらさ」(12頁)で選ばれた。父親が3人になつてしまふ物語である。それは全国的にであつたから、政府も対策 を講じて、本当の父親は誰かといふ問題にまで口を出す。いや、口を出さざるをえなくなる。調査委員会の調査官がそれぞれの家に赴き、そこで「父親」全員に自己の主張を述べさせ、家族がそれをきいて父親を決めるのである。要するに「父親」の自己申告によつて家族が己が父親を決定するのである。さうでもしないと決められない。そこで主人公は誰を選んだか。いや、選ばれる父より選び方が問題である。誰をどのやうに選んだか。さう、あみだくじで選んだのである。皆同じでは選びやうがない。しかし選ばねばならぬ。そこで籤である。外れた2人の「父親」は国の管理下に置かれる。一件落着ではあつても、その2人は息子に 「受け入れてもらえな」かつたことになる。それがつらいと書かれてゐないのが児童文学、結構あつけらかんとしてゐる。私は軽い不条理劇でも見るやうな気分で読んでゐた。よくできた物語である。最後は当然の帰結として、「〈トシマ・トシオ〉が、目のまえに立っていた。」(63頁)つまり、因果は巡るで息子が2人になり、選んだ人間が選ばれる側に廻るのである。「受け入れてもらえな」くなるかもしれない「つらさ」をトシオは感じるのか。児童文学の軽いタッチで物語は進むので、不条理劇の重さや違和感はない。だからこそその「つらさ」が出てくるのかどうか。編者の目論見にかなふ物語ではあらう。次が筒井康隆「最後の接触」、これもおもしろい。人間と異星人マグ・マグとの最初の接触の物語である。カルチャーショックなどといふ言葉では言ひ表せないほどの衝撃を受けた主人公は長い報告を出す。それがマグ・マグで読まれて「『人間がよく描けて』いた」(102頁)と評価された。人間のつきあへる相手ではないのにである。ここではマグ・マグ人と上司に「受け入れてもら」ふことができなかつたのであらう。例の饒舌にくるまれても、重い内容はやはり重い物語となつたといふことであらうか。「第二閲覧室『運命が受け入れられない』」には安部公房「鞄」がある。鞄に導かれる物語、鞄が持ち手の行き先を決めてしまふ物語である。「選ぶ道がなければ、迷うこともない。私は嫌になるほど自由だった。」(204頁)最後の逆説と皮肉が正に安部公房である。そんわけで、おもしろいが 「絶望」を知らぬ能天気には微妙なアンソロジーであつた。

  • カバーに使われた写真をツイッターで見かけて、ガッチリ捉まれてしまいました。古今東西、児童文学から、SFにミステリーにetc.「絶望」の先に何か見つけられるかも?
    面白いアンソロジーだった。

  • わたしの絶望心が満足しました。

  • 20171201リクエスト
    途中挫折

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