翻訳教室―はじめの一歩 (ちくまプリマー新書)

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著者 : 鴻巣友季子
  • 筑摩書房 (2012年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480688842

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翻訳教室―はじめの一歩 (ちくまプリマー新書)の感想・レビュー・書評

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  • NHKの「ようこそ先輩」での内容を本にしたものだそうで、番組を見たかったな……。
    まず、この小学生たちって特別に優秀な子たちなのでは?と驚いてしまった。ほとんど英語を知らない、もちろん文法なんて習ってない、英語辞書の使いかたもよく知らない子たちなのに、苦労しつつも、ちゃんと意味をつかんで翻訳できてしまっているー! 話し合いの内容もなんか高度だ。小学生ってこんなだっけー。

    鴻巣さんのいう、「能動的」に読むことの大切さ、っていうものもあらためて感じた。鴻巣さんご自身はいわゆるリーダブルものより、じっくり読めるもののほうがお好きみたいだけど、いやーわたしはざざーーっと読み飛ばすようなものが好きだなー、読み飛ばしてるなーとちょっと反省(別にいいんだけど)。
    翻訳って、結局のところ、訳者が、わたしはこの本をこう読みました、こう解釈しました、こう思いました、ってことの提示だ、と。それはよくわかる。でも、じゃ、そうなると、なんというか、作品は原著者のものであるけど翻訳者のものでもあるって感じで、たとえば翻訳者の名前がばーーーんと出るべきかも、原著者がだれっていうより翻訳者がだれって話になってくるかも、とか思ったり。


    翻訳学校に通って、下手な翻訳(まがい?)もするわたしは、でも、やっぱり「意訳」っていわれそうな大胆な訳文を書く勇気がないかなあーと。翻訳するとき、あくまで原文に忠実に、いわゆる英文和訳をもとに訳すような感じになるのは、あまりにもルールがない、よるべきものがないと不安だからだ、っていうのがよくわかる。
    わたしが翻訳を教わった、翻訳家である先生は、原文の単語ひとつもぬかさない、できれば語順すら同じに、一文の長さすら同じに、とつねに言っていて、実際、先生はそうやって翻訳して、原文の雰囲気を壊さず、日本語としてすらすら読める文章をつくっていてさすがと思ったものだった……。
    どっちがいいか、ってことはわたしはやっぱりわからない。どっちがいいって話でもないかもしれない。とにかく、翻訳は難しい……。

    まあ、いずれにしても、本を読む、ってことは、字面をなぞるだけでなく、踏み込んで読まないと、っていうことだ……。

  • 「バカの壁」に通ずる見解が翻訳という世界から考察できる。翻訳者の仕事の紹介というより、翻訳の本質について書かれている気がする。

  • 序章でつかまれてしまいました。
    小学生の翻訳の過程も良かったなぁ。
    番組を観たくなった。

  • もっとはやく出会いたかった!

  • 中高生向けのレーベルなのに、大人が読んでも十分に面白い。
    小学生を相手に行われた授業の内容が書籍化したものなので「翻訳ってこういうこと」
    分りやすく教えてくれて、翻訳ものに対してヘンに苦手意識持ってる人間の
    意識を変えてくれるかのよう。

    小学生が「The Missing Piece」を翻訳する様がメインなんだけど、
    一語一語に引っかかり辞書を引き引き、懸命に読み解いた結果
    訳された物語のなんて瑞々しくて素晴らしいこと!
    翻訳とはいえ自分の等身大の言葉で自由に柔軟に紡がれた物語に感動した。
    長男にも勧めて読ませたい!!

    さりげなく語られる「透明な翻訳」な翻訳事情など
    いろいろ興味深い1冊だった。

  • 訳される相手の視線になってみる。翻訳に使う想像力は、ただ読書をする私も必要だと思う。
    子供たちが挑戦する翻訳を読んで、自分でもやってみたくなった!

  •  やっぱり東京の小学生は、勉強できるんですね。

  • 翻訳についてとてもわかりやすく書かれていて内容も面白いです!

  • 「ようこそ先輩」の番組内で、子どもの翻訳を聞いたときの、作者のはっとした表情と涙が忘れられず、購入。
    本書は、作者の考える「翻訳とは」という部分をフィーチャーしていて、興味深かった。
    翻訳に正解などない。翻訳は、和文英訳とは一線を画する。翻訳で一番大切なことは、原書を「能動的」に読むこと……。
    同じ生業のわたしにとって、一生の課題になりそうだ。

  • 一気読みしてしまった。

    「課外授業ようこそ先輩」に出る講師の方は、皆さん本当に授業が上手だ。
    「文法」を一切習っていないと思われる子どもたちの発想がユニーク。
    86ページなど、声に出して笑ってしまう部分も(笑)

    中高生(以上)を対象にしているだけあって、読みやすい。
    平易な言葉が並んでいるのだが、個人的には衝撃を受けた。

    「誤訳」は無い、と言い切る鴻巣(こうのす)さん。
    もちろん、好き勝手な日本語にしていいという意味ではない。


    繰り返されているのが「能動的な読書・翻訳」ということ。
    原文には、何が、どこまで書かれているのか。
    原文は何を伝えようとしているのか、読者に何を感じさせようとしているのか。
    原文の世界に入りこんで、それを徹底的に考えることが「透明な翻訳」に繋がるという。

    そのために必要なら、時制だって変えていい。
    辞書に載っていない訳語だって使っていい。

    日本は、漢文を訓読していた時代から、
    外国語の単語を置き換え、文法の方程式に当てはめて読み解く技術に長けていた。
    でも、それを翻訳に持ち込んではいけない。


    学校で度々言われている、文の「機能」を考えろ、
    という助言と同じことなのだと思う。
    ただ、筆者が書籍の翻訳者だからか、より穏やかというか、柔らかいというか。
    そのスタンスが、じんわりと沁みる心持がした。

    そしてホッとした、気がする。
    無意識のうちに、悪い意味で原文に拘りすぎていたのかもしれない。

    「意訳」ではなく、「能動的な訳」を。
    目指そう。いかにも遠い道のりだけれども。



    【翻訳の手法】
    (p.46)
    日本語と英語は時制表現の概念がまったく違うため、揃えることは不可能。前後の文脈によっては、「I love you.」を「『ずっと』好きだった」と(「継続を表す完了形」として)訳すのが意訳とは限らない。

    (p.98)
    「The Missing Piece」:
    三人称の原文が、倉橋由美子訳では「ぼく」による一人称で語られている。これは1977年当時、画期的な手法だった。

    (p.120)
    一人称視点と三人称視点(「前景」と「後景」)を、常体と敬体で書き分ける手法。カフカ「橋」の長谷川四郎訳にも見られる。


    【透明な翻訳とは】
    (p.111)
    登場人物の立場になって考える。語学力が付いてくるほど、そのためのヒントが多く得られる。すると、だんだんと「自分だったら……?」という思考を通さなくても理解できるようになる。これが、「翻訳の過程で訳者が消える(透明な翻訳)」ということ。透明な翻訳は、極めて能動的(≠機械的)。

    (p.185)
    日本人は、原文が透けて見えるような、異文化・異質性を残した「透明な翻訳」を好む。欧米人は、まるで自国語の母語話者が書いたかのような「透明な翻訳」を好む。


    【子どもたちの翻訳】
    (p.83)
    児童「だから、この丸いのは男っつうかさ、転がるエドなんだよ」
    児童「エドってEが大文字で名前なんです。単語がここで分かれると思って辞書を引いたんですけど」
    「ああ、『rolled』ですね。」

    (p.86)
    児童「ここに『くだけた』って書いてあるから、粉々にくだけた欠片ってことだと思う」
    「えっ、くだけた欠片って書いてあった?」
    児童「"I'm"って辞書で引いたら"I am"のくだけた表現って出てきました。だからピースがくだけたのかなって」

    (p.125)
    <「and slowly rolled away」って、直訳すると、「ゆっくり離れていった」というだけですね。でも六班は、「ピース、さよなら」と訳したんですね。~~想像力の壁を一つ越えたんだと思う。「楽しそう」が「楽しい」に、「悲しそう」が「悲しい」になった時かもしれない。>

    ***
    <気になる作者>
    多和田葉子:ドイツに暮らし、ドイツ語と日本語の両方で創作をしている作家。

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翻訳教室―はじめの一歩 (ちくまプリマー新書)の作品紹介

翻訳は、ことばの置き換えではない。だから「正しい訳」なんて、ない。他者のことばを生き、当事者となってそれを自分のことばで実践(または再現)する。それが翻訳だ。大きな感動を呼んだNHK「課外授業ようこそ先輩」の授業を題材に、翻訳のはじめの一歩=エッセンスを語る。

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