渡邊二郎著作集 第2巻

著者 :
制作 : 高山 守 
  • 筑摩書房
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (685ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480752628

作品紹介・あらすじ

著者渾身のデビュー作。実存の思索から存在の思索へ、「転回」の意味を問う気鋭の論考。

感想・レビュー・書評

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  • 『ハイデッガーの存在思想』のほか、2編の論文を収録しています。

    『ハイデッガーの存在思想』は、『存在と時間』以後のハイデガーの思想の全体像を明らかにした著作です。著者は、1927年における『カントと形而上学の問題』『根拠の本質について』『形而上学とは何か』の検討を通じて、ハイデガーがみずからの立場を「形而上学」とみなしていたことを確認し、その後ハイデガーが「形而上学」という西洋の伝統的な営みを批判的に捉え返していくことで、1935年の『形而上学入門』において「存在の思索」の立場が明確にされたことを明らかにします。

    さらに著者は、「存在は存在者としておのれを送りつつ、みずからはその陰におのれを隠す」という仕方で、存在と存在者との顕現と秘匿の二重性に基づくハイデガーの後期思想の内実をくわしく検討します。その中で、ヨーゼフ・メラーによるカトリシズムの立場からの批判や、ハイデガーのヘルダーリン論やフォアゾクラティカー解釈がとりあげられ、最後にヤスパース、マルセル、サルトルらの思想と照らしあわせることで、最終的にひたすら存在に聴従する立場に至ったハイデガーの「絶望的境涯」を超克する方向性をさぐろうとしています。

    「ハイデッガーの存在の思索をめぐって」と「ハイデッガー―存在への道」は、著者の初期の論文です。『存在と時間』以後のハイデガーの思想的転回が、実存の立場を徹底することで学的立場を克服しようとする企てとして解釈しており、『ハイデッガーの存在思想』における著者のハイデガー批判の方向性を示していることがうかがえるという意味で、興味深く感じました。

  • 資料ID:21302377
    請求記号:121.6||W||2

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著者プロフィール

哲学者。放送大学名誉教授、東京大学名誉教授。専攻は西洋近現代哲学。著書に『ハイデッガーの実存思想』『ハイデッガーの存在思想』(以上勁草書房)、『ニヒリズム』(東京大学出版会)、『構造と解釈』『英米哲学入門』『芸術の哲学』『はじめて学ぶ哲学』『現代人のための哲学』(以上ちくま学芸文庫)、『歴史の哲学』(講談社学術文庫)、『人生の哲学』(角川ソフィア文庫)などがあり、『渡邊二郎著作集』全12巻(筑摩書房)に集成されている。

「2021年 『増補 自己を見つめる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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