Bolero: 世界でいちばん幸せな屋上 (ミルリトン探偵局シリーズ 2)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480803566

感想・レビュー・書評

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  • 前作「Think」が面白かったのでシリーズ続編を読んでみた。
    今回は前作よりもひとつのお話しっぽくまとめられている。断片ではあるけど、全部が「ララ」をとりまく人たちの話。どこかで彼らが遭遇するようなことになるのかな、と期待もしたけれど…。

    前作同様、素敵な写真が全体に効果的に入っていて、本として素敵な構成でした。本好きな人にはたまらないのではないだろうか。

    んで、著者の音ちゃんって本当に13歳?信じられないなあ…とつい調べてしまって、真相を知ってしまったのだった。ショックなような納得したような。本の中でネタばらしがあるのかな?と思ったのですがそうではないのですね。
    まあ、そうした設定も含めて楽しめるシリーズではあったかなと思います。

  • 失敗した。
    2冊あるのは知っていたけど、どちらが先とか気にしないでこの本を借りてしまった。
    シリーズの2、なのね。

    クラフト・エヴィング商會三代目の吉田篤弘・吉田浩美夫妻の一人娘である彼女は、四代目としての活躍を望まれていたが、「クラウド・コレクター」に登場する学者にして探偵の「円田さん」と「ミルリトン探偵局」を結成する。

    探偵といっても、殺人はありません。
    学者にして探偵の円田さん、今度は小説を書こうとしています。
    黒猫「シンク」が持ち込む数々の小物を題材に。
    チョコレートの包み紙、レコードのレーベル、カフェのマッチ…。

    写真に写るそれらは、クラフト・エヴィング商會の作品そのもの。
    細かいところまできっちり作り込まれたそれらのものを題材に、鏡の国のアリスをモチーフに織り込まれていく物語。
    時間も場所も登場人物もばらばらだったその物語が、いつしか現実をもとり込んで、ボレロを奏でていく。

    音ちゃんはまだ中学2年生。
    受験生になる覚悟がようやくできたばかりで、将来について考えてもまだまだ分からないことだらけ。
    人生の選択を間違えたらどうしよう。

    “ちょっとくらい無謀でもいいから、単純に夢だの希望だのを持てばいいんじゃないかしら。夢とか希望って、手垢にまみれた言葉だけど、持って損することはないのよ。叶う、叶わないじゃなくて、持ち続けることが重要なの。持ち続けると、不思議なことに、あんなに得体の知れないものだった未来が、実は自分の体の中にあるもんだって気づくのよ。”
    母から娘への言葉。

    そして、読んでいる途中からすごく気になっていたんだけど、どうにも気になることがあって、それは多分ネタバレになっちゃうと思うので、これからこの本を読もうと思う方はこの先の文章は読まない方がいいかもと思います。



    たいしたネタバレじゃないと思うけど、この先は注意です。




    いいですか、書きますね。










    この著者の吉田音自体がクラフト・エヴィング商會の…吉田篤弘の、創作なのではないかと疑っています。

    うますぎるんです。小物が。
    最初は、血筋だなあと思ったけど。
    吉田音って名前が、シンメトリーですし。
    そもそも円田さんだって、「クラウド・コレクター」の作中人物なわけで。

    そう考えると、著者と写真家の名前が表紙に記されているけれど、奥付にはクラフト・エヴィング商會のふたりも書いてあり、そのくせ小物を作ったのは誰かとは書いていなくて。

    吉田音
    1986年、東京生まれ。
    実在していたなら、ごめんなさい。

  • ゆるく繋がっていく、素敵な世界。

  • ニール・ヤングのonly love can break your heartと、ラヴェルのボレロを聴きながら読みました。
    ミルリトン探偵局の第2弾。面白かった!読み終えたくない〜もったいない〜〜、もっとこの世界に浸っていたい;;と思いながらの読書。
    今回は時空をも超えて。何も大きなことが起きない日常に、小さな黒猫がちょこっと不思議ないたずらを仕掛けて…。
    世界でいちばん幸せな屋上というタイトルだけど、この本を読んでいる時間が私にとっては本当に幸せなものでした。そして、書き留めたい文章もたくさんあった。将来についてどう考えればいいのか…幸せになるにはどうすればいいのか…ずっと悩んでいたことについて。幸せの場面にいる人は、自分がそこにいるということがわからないものなんだ。ということは、私は今、幸せだということなんだろうね。
    先を見ればキリがないし不安は終わらない。平凡で日常的な今が幸せなんだから、先々の幸せのつかみ方なんて考えるのは、無意味なのかもしれない。

  • シナモン。黒猫。レコード。眠りの国のカルダモン。ボレロ。
    かわゆがくるくる。

    写真と文章のページ、同じ紙使ってて、きれい。

  •  
    『アップルパイの香りに充ちた土曜日のキッチン。
    そこで起きたのは、シナモンパウダーばらまき事件だった。
    さては隣りの黒猫、シンクの仕業か??
    「音」の推理が冴える「Think」の続編、猫とカフェと幻のレコードの物語』

  • 緩やかに/密接にそれぞれの話が関連している連作短編集。
    自作の小物の写真もいつも通りの趣味の良さです。
    シンク/ボレロの存在の有り様の取り方とか、シンメトリーなあれこれ、懐かしい横浜、喫茶店等々いろいろな方向で楽しめる本ではないかと思います。

  • レイアウト・装幀 / 吉田 篤弘・吉田 弘美

  • 好きな作家の一人?である「クラフトエヴィング商会」の本
     クラフトエヴィング商会は、吉田篤弘・浩美夫妻が本を出版したり装丁するときの名前で、個人で出版したりするときは個人名を使うようだ
    (ホームエージはこちら)
     今回の著者は吉田音
     夫妻の娘、という設定で本書の主人公となっている

     前作を結構前に読んだことがあって、女の子の目線から見える瑞々しい世界観が好きになり、続編があると知って即買いした

     前著夜に猫が身をひそめるところ Think―ミルリトン探偵局シリーズ〈1〉では、物語は著者である吉田音が通っている円田さんが飼っている猫「シンク(Think)」(いつも何かを考えているようなしぐさをするためこの名がついた)が、どこかから何かを拾ってくるところから始まる

     というのも、前著で結成された「ミルリトン探偵局」というメンバーが著者と円田さんだけの探偵局があるのだが、その探偵局の仕事というのが、「シンクが持ってきた「何か」について妄想を膨らましてその「何か」が何のためのものなのかを考える」というものだからだ
     このシンクが持ってきた何かについて著者と円田さんが一通り妄想した後、シンクがまた姿を消し、その妄想に関係があるようなないような物語が(異世界を含めて)展開される

     前著ではシンクは持ってくるだけだったが、今回は、シンクが円田さん家から何かを持って行ってしまうことも物語に影響を与えており、そして、また、その「何か」について関係のあるようなないような物語が、前著では空間を超えていたが、今回は時間を超えて紡がれる


     本書を軽く説明すると以上の様になるが、僕が本書で素晴らしいと思うことは、「本としての素晴らしさ」だ
     
     さすが様々な本の装丁を手がけているだけあって、カバー、紙質、文字組、作中の写真、そして何より空想と現実の入り混じった文章
     それら全てが混ざり合って一つの素晴らしい本となっている
     
     前著で川が良く出てきたからか主人公が少女だからか、この「ミルリトン探偵局シリーズ」には思春期の瑞々しさを良く感じる
     異世界や過去と現在を行き来するシンクが物語の進行役の様になっているが、そこに存在する世界はいつでも瑞々しく「日常の中の幸せ」とても言うような雰囲気を醸し出している
     雰囲気本だと言われればそれまでだが、その雰囲気を出すためには細部まで完璧に仕上げなければならない
     「神は細部に宿る」のだ
     
     以前観たスカイ・クロラ [DVD]の映画版で、主人公がラストに

    「いつもと同じ風景を良く見ると少し違うことがある。それを感じて生きるだけではなぜダメなんだろう」

    といったようなセリフをモノローグとして話すが(もう二年前に観た以来なので全く違うかも…違っていたら教えて下さい)、そういった心境を感じさせてくれる本だった

     「日常を楽しむということ」

     クラフトエヴィング商会の本は好きだけど、このシリーズはダントツで好きだ

  • 緩やかに昇る螺旋階段のようなお話。
    世間は広いようで狭いようで…そしてとてつもなく、素敵だ。

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