感光生活

著者 :
  • 筑摩書房
3.46
  • (3)
  • (14)
  • (18)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 84
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480803818

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2時間30分

  • エッセイのような、フィクションのような。不思議な短編集。

  • エッセイという名の虚構。

    私について語るとき、自分という一種のフィルターがかかる。
    そもそも誰かに語られた時点で、事実は真実ではなくなる。

    この作品は、事実を語ることが目的ではなく、
    作者は、意識的に、虚構を混ぜ込んでいる。

    厳密には、エッセイではない。
    でもジャンルなんかどうでもいい。
    ただ面白い。読む喜びがある。

  • コイケサンは人がなんでもないような顔で隠してる本心とか下心を、ぺろんと皮を一枚剥ぐようにしてむき出しにする。読んでいる自分まで皮膚を一枚ぺろんと剥がされるみたいで、気持ちがざわざわする。

  •  短編集。
     少し怖いようなのや、読みにくいのもあったけど、面白かった。

  • 詩人の短編集。
    子供なし。弁護士試験に落ち続ける男が23人の元カノの話をする。
    隣人鍋 , 島と鳥と女 , 青いインク , ゴッド・オブ・チャンス , 石を愛でる人 , げんじつ荘 , 祭りの日 , ハウル・ザ・バー , 風のリボン , 鳩の影 , 蜂蜜びんの重み , クラスメイト , 中川鮒蔵商店 , ミミとわたし, 船上レストラン

  • 2010年2月5日(金)、読了。

  • 詩人、小池昌代さんの初めての短編集。雑誌「ちくま」と「webちくま」に連載していたものの中から14本と、それに書き下ろし1本を加えた15本の短編が収められている。

    すべて「わたし」という一人称で語られており、誰かに呼ばれるときの名は「こいけさん」だったりするので、これってエッセイなのかしらと思うほどリアルに迫ってくるのだが、しかしその内容は、まるでドラマ「世にも奇妙な物語」でも見ているかのように不思議で、現実の中に潜むねじれた狂気がひょいと顔を出す。

    狂気といってもそう現実離れしているわけではなく、ひょっとしたらちょっとしたきっかけで普段の自分の生活の中でもありうることなんではないかと思える。多分このことが、「感光生活」というタイトルに表されているのだろう。

    また、もう一つ、どの短編からも、何かからの解放(もしくは解放されたいのに解放されないまま時が流れてゆく苦しみ)といったものが感じられた。もしかしたら、人生は、何かから解放されるか否かの闘いに過ぎないのではないかという気がしてくる。

    書き下ろしの1本「青いインク」の中に、以下の文章がある。

    -------------------------------------------------------------------------
    自分の手元に万年筆を溜め込まず、流通させているのである。万年筆を愛するのと同時に、万年筆を介して生ずる人間関係を楽しんでいるのだろう。だから教授には物狂いの偏狭さがなく、モノを語っても隙間があって、対する者を、おおらかな気分にさせた。
    -------------------------------------------------------------------------

    ここを読んだとき、自分も、本について、こうでありたい、と思った。(2006.1.8)

  • 2009.05.30. これは、フシギ。ほんの数ページの掌編がたくさんあります。どこから読んでも平気、どこに漂っているのもなんだか微妙にゆるやかな、気を抜いたら足元がつるりとしそうな空気。独特の、世界と言ってもいいのかも。あの妊娠してた話が一等好き。妙なんだけどね、すごく納得できた。

  • 短編の集積だがどれも不思議な雰囲気を醸し出していてベンシャーンの表紙とマッチしている。

    枚数の制限がなければどの話も続けて膨らませるのに、と思う。もっと書いてほしいところをそこで留めているから余韻があるのかもしれない。

    普通の物語だがところどころ官能的であったりやや不気味であったりする。

    やはり言語感覚が独特で、詩人の作品という感じがする。


    作成日時 2007年12月16日 17:55

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

小池 昌代(こいけ まさよ)
詩人、小説家。
1959年東京都江東区生まれ。
津田塾大学国際関係学科卒業。
詩集に『永遠に来ないバス』(現代詩花椿賞)、『もっとも官能的な部屋』(高見順賞)、『夜明け前十分』、『ババ、バサラ、サラバ』(小野十三郎賞)、『コルカタ』(萩原朔太郎賞)、『野笑 Noemi』、『赤牛と質量』など。
小説集に『感光生活』、『裁縫師』、『タタド』(表題作で川端康成文学賞)、『ことば汁』、『怪訝山』、『黒蜜』、『弦と響』、『自虐蒲団』、『悪事』、『厩橋』、『たまもの』(泉鏡花文学賞)、『幼年 水の町』、『影を歩く』、『かきがら』など。
エッセイ集に『屋上への誘惑』(講談社エッセイ賞)、『産屋』、『井戸の底に落ちた星』、『詩についての小さなスケッチ』、『黒雲の下で卵をあたためる』など。
絵本に『あの子 THAT BOY』など。
編者として詩のアンソロジー『通勤電車でよむ詩集』、『おめでとう』、『恋愛詩集』など。
『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集02』「百人一首」の現代語訳と解説、『ときめき百人一首』なども。

「2023年 『くたかけ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小池昌代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×