- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480803924
感想・レビュー・書評
-
「帰郷」「花」「愚者一燈」の3つの短編。
120頁ほどの薄い単行本。しかも写真(坂本真典)がかなり入っており、1時間ちょっとで読了。
「帰郷」「花」は「信さん」の流れに近い心優しく純粋な物語。「愚者一燈」は「僕はただ青空の下で人生の話をしたいだけ」のような自身を主人公にした作品。
いずれにせよ、不幸を背負っっていたり破滅的であっても、その中で誠実に生きようとする人を描くのが辻内さんの魅力です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最終再読日不明
-
「私は、遠い日にここで紡がれた、あの人の幼さな淋しさを、そっと胸に抱きしめてみた。」
亡き夫の故郷へ向かった妻が知った真実・・・『帰郷』
「その、小さな、幾つもの手が、何かこう、風に微いでいる沢山の花びらのようでね。ああきれいだな、と、そう思ったの。」
「あの空を想えば、私は、いつも、この世界じゅうが、いとおしくて、たまらなくなる。」
「人間は、もしかしたら、この世界で一番きれいな、とっておきの花なのかも知れないって、そんなことを、思うのよ。」
大学教授だった夫の七回忌、訪れてくれた女学生に語って聞かせる、40年前の彼女のお話・・・『花』
小説を書きためつつの思索の日々(?)・・・『愚者一燈』
『花』に出てくる、幼稚園児が電車に手を振るシーンのあたりでボロッボロに泣きました。
とかく現実では、人の嫌な部分ばかりをを見せられる昨今、こういった、なんのてらいもない、単純な、だからこそうつくしい、人の善意みたいなものを見せられたら、そりゃあ泣いちゃうってなもんですよ。
誰の心の中にも、こういった「人を信じる事ができる何か」があればいいんですよねぇ、きっと・・・。 -
書き下ろしで収録されている「ナコちゃん」が良かった。あまりにも短い話で、何を書いてもネタバレになってしまうので、感想らしい感想は書けないのだけど、辻内さんらしいお話でした。
-
著者が好きだから買ったけど、まだ読んでない。
-
図書館にて、ざっと読了。3つのエピソードが盛り込まれている。『帰郷』は、夫の幼少時代の寂しい過去を時を経て知ってしまった妻の物語で、読み終えたら切なくなった。『花』はややうろ覚えだけれど、心温まるストーリーだったような気がする。『愚者一燈』は、私にはよく分からなかった。私が読んだ著者の作品の中では、未だに『青空のルーレット』がベスト。それ以外の作品は、どれを読んでも方向性が似ているような気がしてしまう。