アレグリアとは仕事はできない

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804174

感想・レビュー・書評

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  • アレグリアとは複合機の名前。

    最新型のはずの複合機「アレグリア」とそれに振り回される人たちの悲劇。
    業務を効率化するはずの機械に振り回され、操作してる側の人間が病んでいく。
    滑稽だが、オフィスあるある過ぎて泣けてくる。

    もう一編は、満員電車の群像劇。
    痴漢ってほんとしょぼい行為なのに、された人を傷つける効果は絶大。なんなんですかね。

    ♫愛の夢(リスト)←とか、「エリーゼのために」とか電話の保留音楽って、聞いてるとイライラしてしまいません?
    「エリーゼのために」はファンヒーターの灯油が切れた時の音楽でもあり、最近ほんと嫌い。

  • 表題作のアレグリアとは主人公・ミノベの勤務先で使用している大判複合機のこと。
    サボり癖があり、人を選んで動いているようにも思えるこの機械を中心に、職場や出入りの業者の人々の様子が描かれます。

    いらだちや怒り、嫌悪感。
    津村さんが描き出すと、俄然リアルに迫ってくるのです。
    その生々しい質感に、自分に向けられた感情ではないとわかっていても落ち着かない気持ちにさせられました。
    それなのに読後に感じられる、この絶妙な清涼感が津村作品だなぁ…!

    「地下鉄の叙事詩」では同じ満員電車に乗り合わせた4人の人物の心の内を描いています。
    こちらも負の感情が多くて、なかなかヘビー。
    読みながら思わず眉根を寄せてしまいつつも、4人の視点から満員電車で起こった事件を徐々に描き出していく津村さんの筆に感服したのでした。

  • 津村記久子の制服お仕事小説と地下鉄通勤客のそれぞれの目線によるある日の出来事を捉えた短編2篇。
    お仕事小説の方は要領よく他人を使い常に評価する側に立とうとするあざとい人間とそれを象徴するコピー機という機械に対して、実直で不器用な主人公と常に怒りをやり過ごすその先輩、営業の同僚にうまいこと使われるコピー機のメンテ社員が、はからずしも連携して対峙するお話。単調な日常が少し違った表情を見せる瞬間をうまく切り取った著者らしさあふれるお話。
    地下鉄の方は構成上必ずしも必要ではない最初の大学生の視点が何を意味するのか、考えさせられる。

  • アレグリアに星5
    うちの会社の複合機
    営業とのやりとり、
    まったくもって同じ経験をしました。
    感情のない相手に暴言も吐きました。
    自分だけと思っていたのですが
    腑に落ちました。

  • *アレグリアー彼女はどうしようもない性悪女だった。すぐ休み単純労働をバカにし男性社員に媚を売る。ミノベの怒りはとどまるところを知らないのだが、まわりの反応はいまひとつ。大型コピー機とミノベとの仁義なき戦いを、独特のユーモアとパワーで描く意欲作。表題作に、地下鉄で繰り広げられる心理戦を描く「地下鉄の叙事詩」を併録*
    津村ワールド炸裂!OLの心のマグマをよくぞここまで大噴火させてくれました!の一言です。そう、あいつら人を選んで、弄ぶんですよ。誠実なヤツもいるんですけどね。ここに職場の人間関係まで絡めて物語を作っちゃうなんて、津村さんホント天才。併録の「地下鉄の叙事詩」も、満員電車における人々の内なる鬱屈や怒りをつぶさに描き、最後には一つの結末へと誘う手法はお見事としかいいようがない。楽しいお話ではないものの、ここまで毒づかれると逆に爽快ですらある。不思議と明日からも頑張ろう、と思えるような作品。

  • 初っぱなからビッチなコピー機、アレグリアへの罵倒から始まる(笑)
    津村さんの暴言というか叱咤というか、とにかく毒の吐き様のセンスが大好きで、丸々それを堪能できた一冊。
    併録の『地下鉄の叙事詩』もそう。
    自分以外のもろもろと折り合いをつけて働いてゆく。生きてゆく。戦ってゆく。
    人としての根幹がしっかり描かれているから毒も笑って読めるのかもしれない。

  • 10ページほど読んだところ。

    今のところマキノがずっとキレてる。
    ただただキレてる。
    おもしろい。

    まだ楽しみたいから他のを読もう。(癖)

  • 中篇が2本。
    コピー機と闘い続ける事務職員を描く表題と、痴漢を扱った「地下鉄の叙事詩」

    あまり気持のいい話とは言えないが、よく纏まっていると思う。

  • 最新の複合機だと言われ、導入したはずの機械なのに、なぜかコピー機能だけポンコツのアレグリア。
    ミノベは今までもそうしてきたようにそのうまくいかない部分と折り合いをつけようとするが、どうにもうまく行かない。
    ついには社内の人間関係まで掻き乱すことになってしまう。

    わたしも機械って機嫌があるよなあと思ってるほうなので、ああわかるわかると苦笑しっぱなしだった。
    なんでああも大切な時に限って働いてくれなくて、サポートを呼べばそれまでに直ってしまうのか……不思議。
    津村さんの書く、いつもの日常風景と地続きのストーリーが好きだ。
    何の変哲もない、だけど実は事件が起きているその感じ。

  • 2022.4.21(図書館)

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞など。他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『水車小屋のネネ』などがある。

「2023年 『うどん陣営の受難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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