- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480804235
感想・レビュー・書評
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主人公がひとしおに穏やかですね。凛一はしたたかだし、桜蔵はすぐ感情的になるけれど、今作の鳥貝くんはとても純粋で、彼の心が揺れるたびかわいい!と思ってしまった。そりゃ寮生たちも可愛がりますよ。
扱うモチーフは突き詰めればどれもこれも重いけど、それを重くも軽くもしないのが長野まゆみの上手さだなあ。ゆったりと時間が流れていくおかげで話自体はさらっと読めてしまうけれど、会話ひとつでもものすごく奥深かったりする。しかしわかりやすい。絶妙なスパンごとに、このままいけない展開になるのかと冷や冷やさせられた。
百合子のすすり泣きには負けました。鳥貝くんの涙は言うまでもありません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館で見かけ、題名が気になって借りて読んだ。
白いひつじとは何なのか?人間関係も含め、謎解きみたいな青春小説。
印象に残った文章
⒈ 世の中にはいろいろな生きかたがあって、正解なんてものはないんだって
⒉ 坊主はツバメがいっぱいいる春の海辺で生まれたんだ。
⒊ 最初から、ひつじは白だけなんだ。 -
男子大学生が男子寮のなかでヤイヤイする話かと思ったら全然違った。自分探し系やった。しかも精神的にだけじゃなくて物理的なやつ。
(むしろ寮の中で主人公がヤイヤイされる(?)みたいな展開やったらもっと星の数は少なかったわ。)
長野まゆみなので、寮や街並みはとてもおしゃれだし、料理はうまそうでした。それに珍しく(?)きちんと話が解決して終わってて読後感もすっきり。
しかしこの話で同性愛の要素はなぜ必要だったのか…?と思ってしまうわたしはもうトシなのでしょうね。10年くらい前に読んでたらもっとときめいたと思います。 -
ずっと長野作品を読み続けていますが、この作品は今までの長野作品と何か違うなと違和感を感じました。それが何なのかなと思っていたら、結末がきっちり着地してしまってるところかなと・・・。あとは括弧書きの注釈のようなものが会話の随所に使われていて、長野作品のはずなんだけど、別の作家が書いたもののような感覚でした。以前の長野作品は「少年」を装置としていましたが最近の作品は「死者」を装置として盛り込むことが増えているように感じますが、今回登場した死者は軸として扱われているにも関わらず焦点は主人公の性癖に行ってしまっているように感じられてしまい、主人公の涙も動揺もいまいち共感できませんでした。もしかしたら私が年を取って、感じ方が変わってきたからなのかもしれませんが、読み終わってすべてが解決してしまっている展開に虚しさを感じてしまいました。もうちょっと毒が欲しかったです。
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高校生の頃に読んだものをもう一度読み直し。
そういえばこういう話だったな、と思うと同時に、私はこんな"洒落た"大学生にはついぞなれないまま4年間を過ごして卒業し、社会人になってしまったなと思いました(その今ですらここに登場する彼らよりよほど子供っぽいのですが)
具体的な内容をほぼ覚えていなくてもスルスル読めたのは一度読んでいるからというのもありそうですが、そもそも読みやすい文章なんだと思います。 -
幼少期の手品シーンとエビローグでの種明かしが繋がった、明かされるまでは、とても不思議な物語だった。大学学生、下宿、郷里やお店の様子、浜、海など、風景が匂いたつようで読んでいて心地よい。