猫ノ眼時計 (幽明志怪)

著者 :
  • 筑摩書房
3.63
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本棚登録 : 272
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804426

作品紹介・あらすじ

幻想怪奇譚×ミステリ×ユーモアで人気のシリーズ、最新刊。火を発する女、カメラに映らない友人、運命を知らせる猫――。猿渡は今日もこの世ならぬ出来事を引き寄せる。

感想・レビュー・書評

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  • 〈幽明志怪〉シリーズ第三作。この先が読めないのが残念。

    第一作はホラー、第二作はファンタジーかつ文学寄り、そしてこの第三作は再び伯爵とのコンビで冒険譚あり不可解な出来事あり。

    「日高川」
    五十嵐アイダベルという、名前もキャラクターも個性的な女友達が登場。
    安珍清姫の物語と絡め、アイダベルに振り回される猿渡の受難が描かれる。一作目から思い出すと、猿渡はよく生きていたなと思える受難が多い。

    「玉響」
    第一作に登場した伊与田再び。と思えばこんな切ない話とは。
    猿渡はやはり優しい人間なのだ。

    「城と山羊」
    悪魔を崇拝することに決めたと言い山羊の島に向かった、アイダベルの知り合いの娘(これまた個性的)を探しに、猿渡・アイダベル・伯爵トリオで目的の島に向かうとそこには…。
    一瞬インディ・ジョーンズシリーズを思い出したが、もちろん全く違う話。

    「続・城と山羊」
    やはり猿渡は自分より他者を大切に思う人なのだなと改めて思う。だが伯爵もアイダベルもそれぞれがやるべきことで(やり過ぎもあるが)、猿渡を助ける。
    合理的に説明がつく部分とそうでない部分とが混在するのが良い。いつの間にか猿渡に白髪が。

    「猫ノ眼時計」
    表題作だが一番短い。だがインパクトはある。猫と目を合わせるのが怖くなるかも。

    巻末にシリーズの年表があって、あの作品はそういうことかと分かって面白い。

  • 巻末にある年表によると『ピカルディの薔薇』以前の話で『蘆屋家の崩壊』の頃のように伯爵と行動を共にする話が多い。猿渡が、と言うか津原さんの文章がもうかなりあちら側に入ってるような狂気を孕んだ状態。この世界観怖いけど好き。

  • 久々に津原さんの本を。猿渡さんのシリーズ3冊目。どうやら、この本でシリーズは終わりらしい。もっと続けてほしい(T_T)
    今回も奇妙な体験続出の猿渡さんと伯爵。前の2冊を読んでいたら、より楽しめる内容だった。新たにアイダベルという個性的な女性も出てきて、より変な人生を送る猿渡さん。最初にこのシリーズを読んだ時には、突拍子もない事ばかり起きる猿渡さんの人生は疲れそう…と思ったが、シリーズを読み終わり案外こんな人生面白そうかもと思う自分がいる。もうすっかり、この世界に毒されてしまったようだ。
    最後に猿渡さんの年表が付いてるんですよ!これ結構嬉しくて、今までの話を色々と思い出してニヤニヤ。今回図書館で借りたが、文庫が出たら買いたいな。そして改めて最初から読み直したい。

  • 猫は魔の者 眼中瞳に時を分かつ

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「猫は魔の者」
      表紙の鴉の方が禍々しいゾ←ニャンコ贔屓なだけですので無視ください。
      「猫は魔の者」
      表紙の鴉の方が禍々しいゾ←ニャンコ贔屓なだけですので無視ください。
      2012/09/11
  • なんとなく閉塞感のある文章。夢と現実が曖昧な薄暗い感じ。ところでどんだけ豆腐好きですか…

  • 幽明志怪シリーズ第3段。相変わらず不思議なことに巻き込まれまくっている猿渡。付属の年表のおかげで更に楽しめる。順に読まぬからこその面白さもある。
    表題作は猫ノ眼時計だが、メインはアイダベルからの城と山羊か。しかし、一番好きなのは玉響であった。伊予田との友情に切なくなる。世界観に浸れて満足。

  • 隙だらけの主人公が、毎回完全に術中にはまる。このノーガードっぷりがたまらない。
    表題の猫の目時計がよいですね。一番短く、簡潔に、くる。

    このシリーズをまとめるとこんな印象。
    一作目、エンターテイメント寄り、荒削り。
    二作目、幻想寄り。文学的。読者を突き放し気味。
    三作目、原点回帰+完成度。前作までの設定を発展させてくれるサービス精神満載。

    一作目、蘆屋家の崩壊の荒削りな怖さと勢いがマイベスト。

  • 終わってしまって残念!猿渡と伯爵の珍道中をもっと見たかったです。こういう感じのやつ他にないかしら?いまいち思い浮かばない。

  • 適当に借りたらシリーズの完結編だったらしい。
    蘆屋家の崩壊から始まり、作風が変わったかどうかもよく分からないが、やはりなんとなく好きなシリーズ。
    現実と非現実の境界が非常に曖昧な、品のある「ソワリ」感。

    とはいえ少々読み慣れたせいか、それほどの感慨もなく読了してしまった。
    11などは濃くて胃もたれを起こしそうな感もあったが、もう少し軽く読みたい時にはちょうど良いかな。

  • 不思議な話しだよなあ…幻想と現実のバランスが私好み。
    作者が中年の男性と知ってびっくり。これまで読んだ作品のイメージでは若手の女性かと思ってた(笑)。この方の描く男性が魅力的だから。

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著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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