小説・新島八重: 勇婦、最後の祈り

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804457

作品紹介・あらすじ

日清・日露の篤志看護婦、会津戦争の語り部としての日々。新島襄亡き後も、八重を奮い立たせ続けたものとは。シリーズ「小説・新島八重」完結。

感想・レビュー・書評

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  • (2014.01.20読了)(2014.01.17借入)
    【新島八重とその周辺】
    「小説・新島八重 会津おんな戦記」福本武久著、新潮文庫、2012.09.01
    「小説・新島八重 新島襄とその妻」福本武久著、新潮文庫、2012.09.01
    「小説・新島八重」三部作の最終巻です。第二部まで読んだので、第三部まで読んでしまおうと、図書館から借りてきました。
    大河ドラマ「八重の桜」では、新島襄が亡くなった後の八重については、あまり詳しくは、描きませんでした。この本では、割と詳しく描いています。
    裏千家に弟子入りし茶道修業を始めています。茶道はかつて戦国武将たちのものでした。現在?では、女性の花嫁修業の一環みたいになっていますが。
    看護術を習い日清戦争の際には、日本赤十字社の篤志看護婦人会京都支部の現場責任者として広島で活動しました。後に勲章をもらっています。
    女性に勲章を上げるのは、あまり例のない時代でした。
    兵士の看護に、女性が当たるというのも当時は反対が多かったようです。風紀が乱れるとか。何か問題が起これば、女性の側の責任にされるとか。
    母のさくは明治二九年五月二○日に亡くなった。ひとり身になったので、多少縁のあった初子さん十八歳を養女に迎えた。二十一まで一緒に過ごし、嫁がせた。
    茶道を教えたり、籠城戦のことなどを講演で話したり、お金がないために勉学が続けられないという学生の援助をしたりしながら晩年を過ごした。
    同志社の経営に直接携わることはなかったのでしょうが、物語の中で、どのようになって行ったかは、触れられています。

    【目次】
    壮途
    覚悟
    従軍
    雛人形
    華燭
    自適
    遺志
    慟哭
    語り部
    祈りの人
    あとがき

    ●梅の詩(81頁)
    生前の襄は梅の詩をいくつも詠んできたが、そのなかで八重は、「真理似寒梅 敢侵風雪開(真理は寒梅に似たり 敢えて風雪を侵して開く)」という一句が好きであった。
    ●遺族の救援(128頁)
    「戦争を起こしたのはお国なのに、そのお国が出征した兵隊さん一人ひとりにまで目配りしないのですからね」
    「わたしたちは戦争を起こしたお国を支援しているのでも、戦争を支援しているのでもありません」
    「お国のために出征した一人ひとりの家族のみなさんをなんとかして差しあげたい」
    「それでは戦争に支援しているのと同じことじゃないかといわれていますが、何もしないでいる人に、私たちはとやかく言われることはないのです」
    ●キリスト教(146頁)
    日露戦争のとき、キリスト教の指導者の多くはロシアの満州侵攻に対する防衛のための戦争だとして、ほとんど無批判のままやりすごした。だが柏木は妥協しなかった。かれは一人ひとりの人間を軽視し、否定するいっさいの戦争を頑なにみとめないのである。
    ●即位の大礼(197頁)
    昭和三年の秋、天皇裕仁の即位の大礼で京都の街はまるでお祭り騒ぎのようにわきたっていた。
    烏丸通、河原町通、丸太町通などの目抜き通りは、その日のために舗装され、あちこちにおおきな電飾が設けられ、街路の照明もととのえられた。
    (即位礼は京都御所で行われたんですね)

    ☆関連図書(既読)
    「保科正之-徳川将軍家を支えた会津藩主-」中村彰彦著、中公新書、1995.01.25
    「奥羽越列藩同盟」星亮一著、中公新書、1995.03.25
    「戊辰戦争」佐々木克著、中公新書、1977.01.25
    「松平容保-武士の義に生きた幕末の名君-」葉治英哉著、PHP文庫、1997.01.20
    「松平容保は朝敵にあらず」中村彰彦著、中公文庫、2000.02.25
    「明治の兄妹-新島八重と山本覚馬-」早乙女貢著、新人物往来社、2012.05.28
    「カメラが撮らえた新島八重・山本覚馬・新島襄の幕末・明治」吉海直人編著、中経出版、2013.04.24
    「新島八重の維新」安藤優一郎著、青春新書、2012.06.15
    「小説・新島八重 会津おんな戦記」福本武久著、新潮文庫、2012.09.01
    「小説・新島八重 新島襄とその妻」福本武久著、新潮文庫、2012.09.01
    「八重の桜(一)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2012.11.30
    「八重の桜(二)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.03.30
    「八重の桜(三)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.07.26
    「八重の桜(四)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.10.10
    (2014年1月21日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    日清・日露の篤志看護婦、会津戦争の語り部としての日々。新島襄亡き後も、八重を奮い立たせ続けたものとは。シリーズ「小説・新島八重」完結。

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著者プロフィール

京都生まれの京都育ち。しかし今はなぜか埼玉に在住。同志社大学法学部卒業。小説「電車ごっこ停戦」で第14回太宰治賞を受賞する。主な著書:小説『電車ごっこ停戦』『織匠(上・下)』『湖の子たちの夏』『新島襄とその妻』『疾走する家族』、エッセイ集『ここだけの話だけど』『企業のトップはこれを読む』、ルポ『ボランティアを生きる』『夢があるからがんばれる』など多数。現在、小説(知的障害児と家族をテーマにしたもの、歴史に素材をもとめた伝記物、スポーツを背景にした青春物)、エッセイ、ドキュメンタリー、児童文学(創作)などを中心に、執筆活動をつづけている。

「2011年 『武州かわごえ 繋舟騒動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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