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- Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480812667
感想・レビュー・書評
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『広場の孤独』や『方丈記私記』などで知られる堀田善衛の、時代を切り取った素晴らしいエッセー。『ちくま』誌で連載された「同時代評」のうち、1986年~88年のものが収録されています。
物と企業だけの海外進出については、「人がいないということは、文化を伴っていないということである」と両断。
ハレー彗星を天体ショウとしか見ることのできない現代人については、「われら文化人はロケットなる貧寒たるものを飛ばして、ゴミだらけの雪ダルマをでも見るしか法がないのか」と自嘲。
カタカナ名を冠したレストランやペンションが雨後の筍の如く乱立する信州の町並みについては、「文明は説明可能なものであるが、文化はとことん説明不可能なものである」と皮肉。
現行の日本の相続税について、家風の伝承という観点から見たとき、「相続税は文化をその基礎において破壊している」と憂慮。
これを老翁の戯言と捉えるか、真摯に受け止めるか、それは読者に任されていることですが、その眼力はやはり鋭いと言わざるを得ません。
この本とあわせて『時空の端ッコ』も読むことをお薦めします。ちなみにいずれの本もAmazonにて、中古(1円+送料)で購入しました。費用対効果という点で見ても、最高に価値ある2冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とてもいいタイトル。
深い教養と洞察力のある方の文章は、どんな短気な場面でも(笑)上っ面じゃない。
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