ニッポン沈没 (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480815262

感想・レビュー・書評

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  • 今回は買ってから早めに読みました。

    “いったいこの国は、どうなってるのよ。権力はしたい放題、メディアのチェック機能は減退、有権者はやる気を放棄では、もはや民主主義の国とは言えないじゃんよっ!”
    という気分が、タイトルに「沈没」という言葉を使ったそうです。
    転覆しそうになった船=ニッポン

    ・激震前夜
    ・原発震災
    ・安倍復活
    ・言論沈没

    大きくこの4つの章に分かれています。
    その中で、一つのトピックについて3冊の関連本を読み、右から左から上から下から読み解いたのがこの本。

    “不穏な空気に包まれていたこの国を、さらに大きな二つの「人災」が襲った。ひとつは東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故。もうひとつは3年半で頓挫した民主党政権に代わる、第二次安倍晋三政権の誕生である。”

    このふたつの人災に対する怒りは激しく、しかしあくまで冷静に、否定派肯定派の意見をきちんと読んで、突っ込むところには突っ込み、納得するところは謙虚に受け入れるのである。
    そして毎回3冊の本を読んで紹介。

    彼女の本を読むとわたしはいつも自分の不勉強を痛感させられる。
    もっと本を読まなきゃだめだ。
    もっと世の中を知らなきゃだめだ。

    自分に発破をかけるために、私は彼女の本を読むのかもしれない。
    いや、単純に好きなんですがね。
    ものごとを断じる潔さが。

  • 2010年以降の変化の大きさを改めて感じる。

  • 斎藤美奈子さんは大好きな書き手で、鋭い舌鋒が痛快だ。時事ネタより文学論のほうがより楽しめるのだが、政治への視線にも共感するところが多々ある。これは2010年から2015年6月にかけて書かれたもの。

    震災・原発事故・領土問題・橋下徹・慰安婦問題・秘密保護法・嫌韓思想・集団的自衛権・ブラック企業・イスラム国…、目についたトピックを拾っていったら、どうにも暗ーい気持ちになってしまった。これでも安保法案はまだ入っていないのだ。あとがきに「あらためて通読すると、斎藤はなんだかずっと不機嫌ですね」とあるが、そりゃ不機嫌にもなるよ。著者得意の笑えるおちょくりも影を潜めるほど、状況は厳しいということだ。それでも、気分でものを言うのではなく、関連書物をきちんと読んで、自分の言葉で意見を述べているところがこの人らしい。

    あとがきの終わりのほうに記されていた言葉をかみしめる。
    「ひとまず私たちに必要なのは、執念深くなること、次の一手を常に考え続けていくことでしょう。あきらめた途端、声を出さなくなった途端にどうなるかは、先の戦争が示しています。安易に希望を語ることはできません。しかし私は、絶望もしていません」

  • 月夜にランタンと比べ、1テーマあたりの文章量がかなり削減されている。ただのニュース・プラス、著者の意見を語ってるだけの本になっていて残念に思う。

    とりあえず、著者の安倍憎しのエネルギーがバシバシ飛んできた。

  • 2000年代の直近史をオバマの「Promised Land」きっかけで辿り直しているのだがどうもこの震災以降2015年ほどまでが現在の日本の崩れていくきっかけのー最も顕著になる案件が目白押しだったことが確認される。
    著者も言っている通りこの5年間が最も暗澹たるもので底を打ってるかと思えば今現在までそれは一向に浮上していない。まさに川に落ちた犬に石を投げつけられるごときのコロナ禍であるなあ。
    せめてもの救いはアメリカで劇薬としてのトランプがあったおかげでモラルとしては加速主義的に回復が見れてそれが日本にも影響を与えていること。
    でもまあ日本で状況が回復するのはあと10年ばかりかかるとは確実に言える。あーあ

  • 民主党政権、東日本震災、安部政権など、出てくる事象は過去のものだ。でも、そこに出てくる問題意識、解決に向けた姿勢、いら立ちも含めて、今も深く共感できるものだと思う。これより後の本『忖度しません』を先に読んでいるんだけど、まったく古さを感じない。今も現在進行形の話として読み進められた。面白かったし、一方で面白がってばかりでいいのか、という意識もある。本書で紹介されていた本のいくつかは、積読のまま俺の本棚にもある、読まないとなぁ。

    美味しんぼの福島エピソードとか、取り上げられた当時、俺もイタイな、とおもったものだった。あるいはエキセントリックだな、と。でも、作品を作るとは本来、エクセントリックな面もある。そんな風にネガティブにとらえてしまったあたり、自分の中にも世間の雰囲気を無批判に受けてしまった部分もあるんだろうな、と反省。部分もある、というのは、やっぱり言われる側にしてみれば、しんどい話だろうという懸念はぬぐえない、というあたりで。

  • 2020/11/13購入

  • 震災直後のころに書かれた、書評とエッセイのハイブリッドのような本。2章ほど読んで、現実社会の救われなさ加減があんまりにも容赦無く描きだされていて中断。
    現在本宅に置いてある。

    慧眼なことがたくさん書いてあるのだけど、ここまでわかっているのにその後10年近く安倍政権が続いていることを考えると辛くて絶望的。わかっているのにかえられない、って民主主義なのに「民」が無力すぎる。なんなんだろうね。

    とりあえず在外投票は行こう。候補者の情報集める時間すくなすぎるけど

  • ジェンダー
    社会

  • 毒舌書評家 斎藤美奈子が震災後の文学や朝日新聞誤報問題、ヘイトスピーチ、ブラック企業など現代社会の諸相を「本」で読む同時代評。全体的に面白いとは思うのだが、どうしてこれほど理性的で相対的な視点の持ち主が、こと安倍晋三、橋下徹のこととなると感情的な拒否反応しか示せないのかまったく謎で、その部分は白ける。

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著者プロフィール

1956年新潟市生まれ。文芸評論家。1994年『妊娠小説』(筑摩書房)でデビュー。2002年『文章読本さん江』(筑摩書房)で小林秀雄賞。他の著書に『紅一点論』『趣味は読書。』『モダンガール論』『本の本』『学校が教えないほんとうの政治の話』『日本の同時代小説』『中古典のすすめ』等多数。

「2020年 『忖度しません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤美奈子の作品

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