トリックスター群像: 中国古典小説の世界

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480839053

作品紹介・あらすじ

道化者、悪戯者、詐欺師、暴力の化身、色欲魔、純粋少女-これらのトリックスターたちが、中国の五大長篇小説『三国志演義』『西遊記』『水滸伝』『金瓶梅』『紅楼夢』の物語世界において、どんな役割を果たしているかをたどり直す。

感想・レビュー・書評

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  •  中国五大小説のあらすじを紹介しつつ、トリックスターという視点から語る。著者がいう主なトリックスターは奸雄だが時に間抜けなところもある曹操、真面目になった孫悟空と対比される猪八戒、超人的な破壊力の李逵、言うまでもなく潘金蓮だが、他にも多くの人物がそうとされる。また『紅楼夢』では、王煕鳳や賈宝玉がトリックスターとされるのだが、どうも他の作品と比べお行儀が良すぎる。『紅楼夢』自体、どうも美少女ハーレムものに見えてしまう。
     また著者は、盛り場講談の『水滸伝』からスピンオフ小説『金瓶梅』、そして更に洗練され完成度が高い『紅楼夢』の連続性を見出すように、ちょうどした小説史の解説にもなっている。

  • 井波律子

    高校時代に読んだ記憶がある。
    改めて、金瓶梅と紅楼夢のあらすじが分かった。

    水滸伝は駒田信二さん翻訳のものを2回読破したが、時間があればまた読み直したい。

  • トリックスターと呼ぶにふさわしいのは誰かを五大小説それぞれで紹介している。
    三国志演義は張飛、曹操。西遊記は悟空、猪八戒。水滸伝は李逵。金瓶梅は潘金蓮。紅楼夢は王煕鳳、賈宝玉がトリックスターに当たり、最初から最後までトリックスターの要素を保ち続ける者もいれば、当初その要素が濃かったが後々薄れてくる者もいて様々であるという。

    読み易くはあるが、トリックスター論として読むには些かパンチが弱いように思う。というのも、内容は同じ著者の『中国の五大小説』(上)(下)と似たりよったりなので、トリックスターというキーワードに重点を置かず総括的に紹介してある分、そちらのほうが肩透かしを食らわずに読めた。

  • 中国四大小説を中心に、トリックスターの役割を担うキャラクターたちについての評論。
    さすがトリックスターたちはみんな濃い。
    水滸伝がいろいろ衝撃的でした。

  • 道化者、悪戯者、詐欺師、暴力の化身、色欲魔、純粋少女−。これらのトリックスターたちが、中国の5大長篇小説「三国志演義」「西遊記」「水滸伝」「金瓶梅」「紅楼夢」において、どんな役割を果たしているかをたどり直す。(TRC MARCより)

  • 四大奇書+「紅楼夢」の中国長編白話小説のトリックスターたちにスポットを当てた歴史小説評論。
    物語を盛り上げるトリックスターたちの魅力を余すことなく紹介していて非常に面白かった。

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著者プロフィール

中国文学者。国際日本文化研究センター名誉教授。07 年「トリックスター群像」で第10 回桑原武夫学芸賞受賞。主な著書に個人全訳「三国志演義」( 全4巻)「世説新語」( 全5巻)「水滸伝」( 全5巻) など。20 年5 月逝去。

「2021年 『史記・三国志英雄列伝 戦いでたどる勇者たちの歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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