未知との遭遇: 無限のセカイと有限のワタシ

著者 :
  • 筑摩書房
3.70
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本棚登録 : 311
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480842985

作品紹介・あらすじ

オタク的感性が普遍化したゼロ年代、そして今、ネット的セカイが完成した。ポジティヴな「生き方」はいかにして可能か。情報科学からポップカルチャーまでを総動員、この世界と、一度きりの生を肯定するための哲学的「自己刷新」本。

感想・レビュー・書評

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  • 2015年のセンター試験問題になった本。一部分のみ切り取られるから、本来の内容とはちょっと違う方向で捉えられてしまったようですが。
    時の流れの中での「今(現在)」と「世界(現実)」について、哲学する本です。
    「過去」「現在」「未来」の関係性、見えている「世界」は本当なのか?夢なのか?という実在、これらは誰でも一度は考えたことがあるテーマだと思いますが、これらに対して非常によく練られたストーリーでガイドしてくれる本でした。
    ただ、テーマの性格上仕方ないのかもしれませんが、ちょっと難しいというか、読み辛さはあります。著者の癖なのかな?個人的には結構面白く読む事ができました。

  • 思索

  • センター国語に出題されていて面白かったので、図書館で予約し、やっと回ってきたので読んでみた。確かに枝葉をぶった切って出した感はあるけど、若者に向けたメッセージとしては伝わりやすい部分かな。作品全体としては、70年代〜テン年代を抽象的に分析する時代考察としては面白かった。

  • 無数のバリエーションの「セカイ」を提示するこの時代にあって、1つでしかありえないこ「この」私をどう肯定していけるのか?
    自分が漠然と考えてきた事の枠組みをクリアにしてくれた1冊。素晴らしいの一言に尽きる。

  • 確かにある意味「自己啓発」本。
    啓発されました。

  • 読み終わった後、日常すべてインプロなんだって思ったら、ふと相手の目の中までを見つめてしまって、何かが始まる予感がした!
    ああ、麗しき虚構。

    世界が近くにあります。いま。

  • 意外にも読後感が爽やかだった。いわゆる自己啓発本ではなくて、むしろ思想ものなのだけれど、生きにくいこの世界をどう生きるかの手掛かりを提示している。
    とかいいつつ、途中で読み飛ばしたりしてるので、暫くしたら読み直そうと思う。

  • インターネットによって無数の情報を可視的に表示することが可能となり、それによって生み出されたセカイとワタシたちは日常で意識せずとも触れ合っている。

    たしかに、例えばgoogleひとつとっても、そこでの検索結果にすべて目を通すことはできない。ヒットした検索数は膨大で、その知り尽くすことのできない知識の量に圧倒されて、何からどのように手を付ければいいのか、わからなくなることってよくある。
    さらに、筆者の言うとおり、そうした情報から作り出されたセカイの外延として物質的な(私たちの生きる)世界が広がっている。
    そうすると、無限の広がりにも近いそれらを前に、どうしてもワタシの有限性を意識させざるを得なくなって追い込まれる。

    そうしたワタシの有限性は逆に可能性なのではないだろうか?そんな著者の逆説的な問いかけから、3.11や秋葉原無差別殺人事件といった社会の変換点を阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件と対比させながら切り込む第一章、時間と運命について哲学的原点から解説する第二章、それらの討論を包括して、無限のセカイとその混沌に、どのようにして有限なワタシが切り込み、未知なるもの(つまり新しい運命・世界・社会)を切り開くべきなのだろうかという壮大なテーマを取り扱う第三章まで、深い思索を誘う展開となっている。

    また『ゼロ年代の想像力』や『動物化するポストモダン』といった現代日本を語るうえで参考となる著作からの引用や、それに対する著者の指摘など、多角的な内容も非常に興味深い。

    しかし、例えばSNSみたいに、面識なくてもシンパシーだけでつながりあえてしまうっていうのは、ある意味でインスタントな関係で、そこで生まれる関係性には、自分の意思決定を超えた偶然性の働きを感じる。でも、それは自分の選択の結果に過ぎない。この世界では、その他の在りえた事柄、つまり膨大な量の可能性に圧倒されながらも、最後には自分の決断で選択し、前進しなければいけないから。
    だから、著者のいうパラレル的な世界観の否定っていうのは、この世で自己矛盾や精神分裂しないための処方箋のようにも感じる。結局、選び取ったものが現実すべてなんだと。後悔するなというわけではないのだけれど、過去にしても未来にしても、必然に基づく偶然なのだという著者の解釈は胸にスカッと響く。

  • 平凡な日常こそ、未知との遭遇なのです。

  • 世界を肯定するお話でした。
    「後悔することがなければ過去は存在しない」ってところにちょっと感銘を受けたのでした。
    しかし哲学ってな答えのでない学問だね。
    俺の哲学は何処…

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著者プロフィール

佐々木 敦(ささき・あつし):1964年生まれ。思考家/批評家/文筆家。音楽レーベルHEADZ主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。芸術文化の諸領域で活動を展開。著書に『増補・決定版 ニッポンの音楽』(扶桑社文庫)、『未知との遭遇【完全版】』(星海社新書)、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶應義塾大学出版会)、『ゴダール原論』(新潮社)、『ニッポンの文学』(講談社)、小説『半睡』(書肆侃侃房)ほか多数。


「2024年 『「教授」と呼ばれた男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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