- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480860682
作品紹介・あらすじ
意味を与えられてはじめてものは存在する。動物たちは自分たちのまわりの世界をどのように認識しているのだろうか。動物たちを知り、われわれ人間の世界認識について考える。
感想・レビュー・書評
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/34449 -
「世界を構築し、その世界の中で生きていくということは、そのような知覚的な枠のもとに構築される環世界、その中で生き、その環世界を見、それに対応しながら動くということであって、それがすなわち生きているということである。そして彼ら(モンシロチョウ)は、何万年、何十万年もそうやって生きてきた。人間はまた全然別の環世界をつくって、その中でずっと生きてきた。環境というもとは、そのような非常にたくさんの世界が重なりあったものだということになる。それぞれの動物主体は、自分たちの世界を構築しないでは生きていけないのである。」
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Tue, 10 Jul 2007
ヤコブ・フォン・ユクスキュルという1930年代くらいの生物学者が
生物記号論というものを考えました.
生物学の一つの方向性として,「生物にとっての世界」というものを考えようという話です.
博物的な生物学といわれれば,そうなんですが,
現代の分子生物学の「解体」の立場とは,大分ちがう進み方ですね.
ダニにとっての世界とはどんなか?
猫にとっての世界とはどんなか?
意外と,面白い発見があって,楽しいのです.
生態学と共通したものをもっているんですが,ものの見方は人間の現象学などとも
通じるセンスがあり,動物の認識を考えることで,人間の認識についても相対的な視点で
再評価しようという意味もあったのだとおもいます.
こういう見方をすると,ほんとに,生物にとっての世界の中で
物理的には近接した領域に住んでいても,「まるで関係ない」種同士が直交した世界の中で
いきていくという,生態学の一つの姿が見えてくるし,進化の中の多様性を理解する上でも
なんとなく豊かな視点に気付かせてくれる気がします.
本著者の日高氏はユクスキュルの
生物から見た世界 (岩波文庫)
を訳出された方で,
その人が,自著でもいろいろ書いておられるのを知り,ちょっと読んでみました.
まあ,「生物から見た世界」の焼き直しといったところですが,
後半にかけては,ユクスキュルの環世界概念を,勝手に<文化依存の物の見方>とか
「人によって視点て違うよね~」という,非常にザクッとした話におとしこんでしまっていて,
なんか,議論のエキサイティングさが醒めてしまう観がありました. -
ほぼ、ユクスキュルとドーキンス読めばいいやという内容だったが、細かな実例が動物学者ならではなので、面白く読めた。
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動物がどのように世界を見ているのかがわかる一冊。
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過去に途中まで読んだことがあった本で、
最近また読み返したかったのにタイトルが思い出せず何年か経った。
少し前に「日高敏隆」で著者検索したことでようやく見つかった…。 -
非常に面白い内容。
イリュージョンなしには世界はみえない。
人間と人間以外の動物の違い、
そして、動物と植物の違い。
動物行動学者らしい見解である。
古典や輪廻転生の世界感まで話が広げてあり、非常に興味深い内容だった。
やっぱり、ローレンツと同じ感じだなあ。
動物行動学者という人間は面白い。
【メモ】
・ユクスキュル、クリサート「動物と人間の環世界をめぐる散策」(邦題「生物から見た世界」)
・岸田秀「唯幻論」
・ヒューマン・ホワイト、インセクト・ホワイト
・リチャード・ドーキンソン「利己的な遺伝子」
・ダーウィン適応度
・日高敏隆「利己としての死」 -
物の見方を公平に。なんていったって、自分の顔にくっついている目で見えるものしか見えないし、自分の頭でしか処理できない。
人間にみえるものと、動物に見えるものは違う。