なぜ、すべてがすでに消滅しなかったのか

  • 筑摩書房
3.60
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本棚登録 : 55
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480863980

作品紹介・あらすじ

グローバル化とデジタル化の波に見舞われた世界のなかで、オリジナルな価値は記号と幻想に食いつくされ、リアリティは抹殺される。しかし、それですべてが終わりではない。「大消滅」の後、いったい何が起こるのか?われわれを待ち受ける、恐ろしくもグロテスクな、笑劇的未来とは?現代社会の実相を暴きだしてきた思想家ボードリヤールが、人間の行く末を予言する。最晩年に記した表題論考と「腹話術的な悪」「カーニバルとカニバル」を収録した、現代文明への遺言状ともいうべき遺稿集。

感想・レビュー・書評

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  • ボードリャールはいつも謎めいているけれども、
    もっとも率直に言おうとするが為の難解さであると思う。

    要するに取り扱おうとしている対象が
    あらかじめ両義的であるような場合はそうなる。

    消滅こそが生き延びる唯一の方法であるような現実。
    (この現実が生き延びるために、と言っている)

    「なぜ、すべてがすでに消滅しなかったのか」という表題の問いは
    おそらくは挑発でもある。単に本を手に取らせるため、というだけでなく
    圧倒的に絶望的な状況を描写しながらも、
    深い現実性のイメージの海に沈んだ現実の存在を
    思い起こさせようとしているのではないか。

    これはこの本の感想としては逆説的な解釈でもあると思うが、
    そう考えないことには、
    彼がこのように書物にする必然性を感じられないのでもある。

    とはいえ、これもまた記号の集積であり、
    それをよく承知しているからこそ溺れそうになりながらも
    書き続け、読み続けたのではないか、僕たちは。

  • 読み解くのが難しい
    カーニヴァルとカニバルはダーイシュが台頭したりトランプが当選したりする昨今にもタイムリーな内容で面白い

  • 現代のグローバル化やバーチャル化によって現実というリアリティは消滅した。現代の思想家ボードリヤールが現代のバーチャル化を例に挙げて消滅したリアリティと消滅したそのあとについて見つめた一冊。

    【図書館1階開架 361.1/BAU】

  • ゆっくり時間があるときにじっくり読むといい本です。
    薄い本ですが、内容は暑いです。
    いまの世界についてかたった本です。

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著者プロフィール

【著者】ジャン・ボードリヤール :  1929年生まれ。元パリ大学教授(社会学)。マルクスの経済理論の批判的乗り越えを企て、ソシュールの記号論、フロイトの精神分析、モースの文化人類学などを大胆に導入、現代消費社会を読み解く独自の視点を提示して世界的注目を浴びた。その後オリジナルとコピーの対立を逆転させるシミュレーションと現実のデータ化・メディア化によるハイパーリアルの時代の社会文化論を大胆に提案、9・11以降は他者性の側から根源的な社会批判を展開した。写真家としても著名。2007年没。著書に『物の体系』『記号の経済学批判』『シミュラークルとシミュレーション』(以上、法政大学出版局)、『象徴交換と死』(ちくま学芸文庫)、『透きとおった悪』『湾岸戦争は起こらなかった』『不可能な交換』(以上、紀伊國屋書店)、『パワー・インフェルノ』『暴力とグローバリゼーション』『芸術の陰謀』(以上、NTT出版)、ほか多数。

「2015年 『消費社会の神話と構造 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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