珍世界紀行

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 131
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480876171

作品紹介・あらすじ

骸骨寺で骨の匂いを嗅ぐ。秘密警察本部に隠された拷問部屋の暴力におののき、王が溺愛した瓶詰め奇形児にメランコリーの極みを、アマチュア剥製師の怪作に情熱の深さをかいま見る。あからさまなセックス・ミュージアムに呆れ、アウトサイダーの宮殿で狂気のチカラに震える。ひたすら暗く、ひたすら激しいヨーロッパ的感性の地下水脈を探しに、モスクワからシチリアまで、グラスゴーからプラハまでを縦横に駆けめぐる。取材10年、99ヶ所を踏破した珍名所巡礼の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 現代日本に埋め込まれたアナザーワールド。週刊SPA!誌上において、長期連載された。

  • 荒俣宏が「衛生博覧会を求めて」においてその強烈さ故掲載を控えたような、エログロナンセンスを尽くした品々が大量に!カラーで!楽しめる。拷問と病理の章が並んでるのがかなりキツい。一ページまるごと使ったアップとか心臓にも悪い。
    この手の写真メインの本は大抵物足りなく感じるが、これは半分でもお腹いっぱいにさせてくれる。後半のファンタジックな剥製ジオラマが癒し…いや、あれもあれで相当猟奇的だ。

  • おおっ、糸かがりとじの上製本!
    納得のお値段のしっかりした製本の本でした(最近製本系の本を幾つか読んでいたのです。

    グロ注意報。

    最近インカやアンデスの本を読んだこともあって、100年程度の誤差で片やスペイン宣教師が南米のミイラをほぼ根絶やしにしたり、片やシチリアでは何故か宗教的タブーだったはずのミイラが流行っちゃったり。
    しかも流行りの発端が修道僧って言うからわからないもんですよねぇ。
    作ったミイラを正装させて、たまにはピクニックがてらお話に行ったって言うんだから、アンデスのミイラとあまり感覚的に違いがない気がしますし。
    まぁヨーロッパもキリスト教も、一括りにするには広大すぎますよね。

    合間のムーミンに和みました。あのラインナップで何故入るんだろう(笑。

  • いざ開くと「ぐえー」なのに、ついつい手に取ってしまうこの類の本。おもしろかったです。

  • 長年欲しいなーと思っていたものの、6000円というお値段に手が出ませんでしたが、区の図書館に所蔵されておりやっと読めました。手に取ってみると超分厚い上に(あとがき?以外)フルカラー。6000円の価値ありまくりです。
    内容は、ヨーロッパの風俗、刑罰関係、医学、エロ、その他諸々の博物館を巡りまとめたもの。
    学術的な視点から読めば、宝の山。こんな貴重(?)なコレクションの数々を載せたガイドブック(?)は後にも先にもこの1冊だけでしょう。
    興味本位で読んでも(エログロB級がOKなら)良し。
    苦手な人には、恐る恐る進むお化け屋敷のような本。特に前1/3は1ページめくるごとにうぎゃー!と叫べます。
    あと、自分のエログロに対するNGゾーンも知ることが出来ます。自分は重篤な性病患者の模型(超リアルかつアンティーク調)がダメでした。ききききももももすすすすす。。。。

    全編を通して感じられるのは、ヨーロッパの人の異常なまでの細部への拘り。
    都築氏は「蒐集主義という名の妖怪が(ヨーロッパを)跋扈している」と書かれておりましたが、例えば、日本の博物館で石抱きの刑の図を展示していても、人間の部分は適当なマネキンやちゃちな人形を作って済ませていたりするものです。しかし、ヨーロッパの博物館では一味違います。人間と見紛うばかりのリアルさで苦悶にゆがむ顔、流れる血、裂かれる肉を目を背けたくなるぐらい丁寧に再現してみせています。。
    そのほかにも、電気椅子にかけられた囚人が絶命するまでを自動人形を作ってまでして再現、実在する殺人鬼の殺人シーンを蝋人形で再現するときに使った小物は(実際に殺害に使われた)本物、というくだりには絶句・・・。霊感がなくてよかったです。
    医学標本、模型なども不必要なぐらい緻密精巧で、過去にヨーロッパで医学が発達してきたわけがよーく分かりました。。。

  • ご周知のことと存じますが
    世界の珍観光地と申しますか
    好き嫌いはあるかもですが、あたしは大好きな本。
    例えば、カタコンベだらけの地下礼拝堂の数々も圧巻ですが
    各地の蝋人形館。中でも拷問等の歴史も学べる暗い館。
    もっと気に入ったのが、無名の収集家による石とセメントのお城。
    リトニアの十字架の丘の迫力ったら、混沌美の極み。
    そして一番のお気に入りは、ジョンハンターの兄の標本の数々。

  • 2009.10.16購入

    作者、都築響一氏は、
    珍世界を撮らせたら日本一!いやっ世界一でしょう。
    様々な本を出されていますが、
    同じ系統で国内版の
    珍日本紀行 東日本編 西日本編も
    出されています。
    ちなみに私は西日本生まれなので西日本編を持っています。

    後、村上春樹氏・吉本由美さんとの共著
    地球のはぐれ方という本も、おもしろい!

    やはり、何というか……
    ヨーロッパってすごいわね。です。
    日本は土着民的、箱庭的な部分が多いような気がするけど
    ヨーロッパ各国はねえ、蒐集もねえ、ちょっと先をいってます。
    宗教的なコトもあるし、全ての国が地繋がりっていうのもあるし。
    日本のように狭い狭い世界で
    歴史を作っていったワケじゃあないから。

    まあ、煩悩108以上の何千何万という欲望とか狂気とかが
    ヨーロッパには、蠢き・解き放たれているんだなと、
    思うのです。

    こういう方面??でも、
    なんだか外国人コンプレックスが出ちゃうな。
    「アンタ達に負けるわ。ホントに。ごめん、ごめん。」という感じ。

    「うっ」「ぬぬぬ〜〜〜」「え〜〜っ!?」「勘弁!」と
    言いながらパラ〜〜っと見ていく、読んでいくのもいいけれど
    少しだけヨーロッパの歴史的背景みたいなもの?
    知ってから見ると
    より一層、美味しく、いや、面白く読んで、見ていただけます。

  • おぞましくも素晴らしい、ブラックでマイナーなヨーロッパ観光案内。蝋人形での拷問シーンや鬼畜暴力、エロス、病理、カタコンベなどの展示紹介。中にはグロテスクで吐き気をもよおしたり寒気がしたりする、心臓に悪い写真が何点もあるが、そこには決して幻想ではない、人間達の闇の部分が写し出されている。それらは欲にまみれた愚かさの骨頂や強い信仰心から成ると思うが、何故か「美」を感じずにはいられなかった。リトアニアの十字架の丘に興味を待った。

  • 素敵♥

  • 面白かった。

    本当にすごい!美しい!と思えるものから、ナニコレ珍百景的な
    ものまで、ヨーロッパ各地の「珍」名所案内。
    オールカラーで写真がたくさんあるので、見て楽しめる。

    硬軟合わせて本当に多数の名所が登場するが、
    いちばん印象に残ったのはリトアニアの「十字架の丘」

    19世紀のころから、ロシアの征服に対する蜂起によって
    流刑、処刑された人々のための鎮魂のために始まったらしい
    この十字架の丘は、当然ながらソヴィエト占領時代には
    政府によって何度の徹底的に破壊されたのだが、
    そのたびにいつの間にかまた新たな十字架が立ち並んだという。

    丘を更地にされ、木の十字架は燃やされ、鉄の十字架は溶かされ、
    石の十字架は地中に埋められた。
    それでも十字架はいつの間にか丘を埋め尽くす。

    丘の一帯を立ち入り禁止にし、道路を封鎖し、水を引き入れるまで
    したが、それでも丘はほとんど一夜にして甦った。

    すごい話です。
    ソヴィエト崩壊後は聖地となっているそう。

    ***************************

    本書は大きく
    蝋人形、超古代、信仰、性愛、病理、アウトサイダー
    蒐集、人文社会科学、観光、カタコンベ
    と項目分けされている。

    お国柄やヨーロッパ人の宗教観みたいなものも見てとれて、
    なかなか興味深い。
    カタコンベの、人骨で華麗に飾り付けられた納骨堂は圧巻。
    髑髏で十字架やシャンデリア的なものが作ってある。
    これなんか、日本人には分からない宗教観によるものなんだろうな。

    あとはまぁ、人体解剖標本だったりミイラだったり、
    人間の興味って東西問わずあんまり変わらないんだなーと思った。
    蝋で造られた美しい解剖標本の数々、また、100年200年前の
    標本だけどいまだに制作方法がわからないもの、とかもうすごい。
    一ページ一ページの内容が濃くて、最後の方は読むのが大変だった。

    蒐集の項、
    「根は変人だけど、表面的には普通の紳士」みたいな人間が
    いちばんユニークな蒐集世界を完成させる
    にものすごく納得。

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著者プロフィール

1956年東京生まれ。1976年から1986年まで「POPEYE」「BRUTUS」誌で現代美術・デザイン・都市生活などの記事を担当する。1989年から1992年にかけて、1980年代の世界現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アートランダム』を刊行。以来、現代美術・建築・写真・デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集を続けている。
1993年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』を刊行。1997年、『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』で第23回木村伊兵衛写真賞を受賞。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続けている。2012年より有料週刊メールマガジン『ROADSIDERS’weekly』(http://www.roadsiders.com/)を配信中。近著に『捨てられないTシャツ』(筑摩書房、2017年)、『Neverland Diner 二度と行けないあの店で』(ケンエレブックス、2021年)、『IDOL STYLE』(双葉社、2021年)など。

「2022年 『Museum of Mom’s Art』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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