臨床とことば―心理学と哲学のあわいに探る臨床の知

  • TBSブリタニカ(阪急コミュニケーションズ)
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484032023

感想・レビュー・書評

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  • 対談だが、話の主導は鷲田さんの方だと思う。
    鷲田さんは「河合先生」と先生と言っている。河合さんは鷲田さんを名指ししている場面はない、呼ばないようにして喋っている感じ、あんまり仲が、友達的ではない、先輩と後輩って感じ。
    鷲田さんが河合さんを訪ねて会談している感じ。

  • 気にかけてくれる、見守ってくれているという受け身の状態も、生きてる力にはなるけど、他者への関心を持つ、ということが大きな生きる力になるという鷲田先生の言葉を大事にしたい。

  • 河合先生の対談本は何冊か読んでますけど、だいたい対談の相手がカウンセリングを受けてるみたいになってるんですよね(笑)。
    ついつい話が弾んでいく様子がよくわかります。

    で、今回のお相手の鷲田先生の提唱されている臨床哲学の考え方は日々臨床に携わる上での参考になります。

    エビデンスの重要性が盛んに言われますが、実際のところは諸問題を未然に防ぐための方便の要素の方が強いのが実情ではないですかね。
    現代人は因果律で考えることが大好きなので、原因と結果で説明された方が納得しやすい。
    しかし現実は偶然の積み重ねや、様々なめぐり合わせで事態が好転することが多いのは臨床家なら経験していることでしょう。

    外面的には論理的に考えてるようで、実際のところは場の論理やら縁やらシンクロニシティを重視しながらなんとなく仕事をこなしていく、というのが今後の目標になりました。
    (ええのか?これで。)

  • 対話の部分がとても読みやすい。
    偶然で解決したことを言語化しないで居ることは、臨床をやってる人だからこそじゃないだろうか。専門的に学んでて時間があって余裕のない学生なら、下手に言語化してしまう気がする。

  • 「聴く」ということ、ことばを受け止めるということ、それについて考えさせられた。また、個別性から普遍性に至る道、こういう捉え方もあるという気付きがもたらされたことは良かった。

  • ヨーロッパの哲学で他者というのは、つまずきの礎だった言われることがある。
    日本人はインテグレートでなくて、ハーモニー。
    哲学はいろんな学問の基礎でなければならない。
    アリストテレスは本を一冊も書いていない。偉そうな人や若者をつかまえて、対話をしていた。まさに臨床の哲学だった。
    昔は、哲学にハウツーを期待したときには、すごく大きな物語、つまり国家とは何ぞやとか社会とは何ぞやとか人生、生きるに値するか否かというように、すごく大きなものがたありを哲学は立てますから、実はハウツーがそういうものに向かっていた。だから、あの頃は学生は皆、天下国家を論じた。
    昔の哲学は宇宙とは何ぞや、人生とは何ぞやとか、いつも全体を見渡すような知というものを求めていた。

  • 朝日文庫版での購入。
    臨床をキーワードに交差する知性と知識と経験と《人を救う》ことへの使命感と情熱を、研ぎ澄まされた、しかしそれを感じさせないシンプルさと軽やかさで言葉が紡がれていく。その言葉を追いながら、人間が人間に真摯に向き合うことの重さを噛み締める。
    いかにして楽に《儲けるか》《他者に勝てるか》ばかりを扇情的に煽るだけの中味のない本やフォレスト系に多い《エセ心理学モドキ》の本を有り難がる「さもしい」読書家には、何のてらいも気負いもないこのタイトルでは売れないよな、と判っていながらも、この本を読む人、《読める》人が多くなればこの国や社会はもっと生きやすくなるのにと想う。
    鎌田實の解説もよいが、鷲田の最後の一行がこの本を認めるすべての人の思いであろう。
    臨床心理、臨床哲学の話が中心であるが人をケアするということは救済であり、それはまさに介護の現場と重なるものである。介護に携わる方は是非読んで頂きたい。必ずや伝わるものがあると想う。

  • 図書館所蔵【146.04KA】

  • ガチガチじゃないのにバラバラでもない。柔軟性。河合隼雄は、すごい。

  • 河合隼雄先生と、臨床哲学を提言する鷲田清一先生の対談方式の本です。お二人のお話に自分も加わって議論するような感じで、考えながら読んでいける本だと思います。

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