- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784484092010
作品紹介・あらすじ
お菓子の家に住むナマコは、目も鼻も舌も、心臓も、脳もない。ヒトは全部もっているけれど、毎日ぎゅうぎゅう虫かごの中。本当の"しあわせ"はどっちにあるのだろう?"歌う生物学者"待望のエッセイ集第3弾。
感想・レビュー・書評
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実は再読した本。
とても面白いしためになる。ある種の哲学書と言って良い。ナマコの生態についての話から、生物の時間についての見解に自らの経験をもとにした教育論と、すばらしい展開を見せている良書。
文章も平易でわかりやすいので一読の価値あり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
同じ著者「生物学的文明論」が面白かったので読んでみたが、こちらはあまり良くなかった。
第一章はナマコについてなので興味深く読めたが、
第二章〜第四章は読者のターゲットがそれぞれ違い、一冊の本にするには無理が有ったようだ。
著者みずからあとがきにも書いてあるが、第二章は同じ説明が何度も出て来て、その時点でくどいと思って先を読みたくなくなる。 -
◆ナマコの特徴
目もなく、耳も鼻も舌もない、心臓もない、脳もない。
皮は、硬さが自由に変わる。
◆ヒトの時間
・人間の心臓 1秒間に約1回。
・ネズミの心臓 1秒間に10回。
・ゾウの心臓 3秒間で1回。
一拍の時間は体重の4分の一乗に比例する。
子を宿してから産むまで
ネズミ⇒20日 ゾウ⇒600日。
どちらも2300万回、親の心臓が打つと産まれ出る。
そして15億回心臓が打つと皆、死を迎える。
懐胎期間も成獣に達する時間も寿命も、みな体重の4分の一乗に比例する。
ネズミもゾウも15億回心臓を打つ。ネズミはゾウと同じことをすべて
さっさとやってしまう。生きていくペースが早い、すなわち時間が早く
進む。人間は例外。心臓が15億回打った時点では、まだ40歳そこそこ。
江戸時代以前には寿命はそのくらいだった。
子供の心臓は早い。
心理的な時間の長さは、年齢の逆数に比例する。
70歳では7歳の時に比べて時間が10倍速いと感じる。
たくさんエネルギーを使うほど、時間の速度が早い⇒代謝時間。
老いを老いとして受け止め、若い時とは質的に違うと割り切って、老いを
幸せに生きる。
老いと付き合っていけるのは人間だけ。 -
南国沖縄の生活やナマコの生態に触発される様にして生まれた「生物学的な時間」という考え方に「ふむふむ」と納得するところ多し。プラナリアもマリモも可愛いけど、ナマコも負けずに可愛いと思う今日この頃。