デザインの生態学―新しいデザインの教科書

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487799183

作品紹介・あらすじ

「かたち」のデザインから「リアリティ」のデザインへ。新しい「デザイン」の教科書誕生。デザインの未来をひらく、アフォーダンスのデザイン的展開/生態学的アプローチ。

感想・レビュー・書評

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  • 建築家の後藤武さん、東大教授の佐々木正人さん、プロダクトデザイナーの深澤直人さんの共著。
    デザインのことを考え続けた3人の会話は非常にハイコンテキストでついていくのに集中力を要しますが、トップクリエイターの共通認識のようなものに触れることができました。
    例えば立体物をデザインするということは、デザインする物体のテクスチャとその背景にあるテクスチャの関係性を視点ごと(サーフィスごと)にデザインすることであり、遠近法という考え方が既にメジャーではなくなっていることなどは考え方として新鮮でした。
    アフォーダンスやミニマリズムも僕が今まで知っていたもの以上に複雑な意味合いを持っているらしいことが分かりました。これらを今ここで明文化することはできません。

    純文学を読むような感覚で読みました。
    このレベルの概念を言語化できるのは素晴らしいし、同時にデザインにおいても言語野の役割は大きいのではないかということを考えさせられました。

  • ギブソンの本がかたくて読めないぃ、っていうならこのあたりから読むといいらしい

  • 感覚的というか、認識未満の物事を
    的確にとらえようとする審美眼の深さに感服する。
    こういう人が、いらぬ波風を立てずに、革新を成すのだと思う。

  • 『デザインの生態学 –新しいデザインの教科書』後藤武 佐々木正人 深澤直人
    (レビュアー:マーケター/デザイナー 酒井)

    クリエイティブには日々移り変わる “流行り/廃りのレイヤー”と、100年単位で変わらない“思想のレイヤー”があります。
    ウェブデザインで言うと、ここ最近は“Pinterest的”な微妙なグレーの明度差・シャドー・グリッドレイアウトで情報のグルーピングを見せるデザインが流行っていますが、あまりにも流行っているので3年後に同様のデザインを見たら「古い」と感じるかもしれません。
    反面で“その時々のユーザーの慣習(世の中に普及しているインターフェイスの標準)を考慮する”という根本的な考え方は普遍的なものであるため、3年後も間違いなく通用します。
    本書はデザイナーやエンジニアやマーケターに関わらず“思想のレイヤー”での成長を望むすべてのクリエイターにおすすめする一冊です。

    “まったく異なるデザイン分野”の第一線に立つ3人の対談が、とても魅力的なコンテンツになっています。
    著者のプロフィールを簡単にまとめると、下記のようになります。

    ・『石の美術館』『空の洞窟』など洗練された建築物を次々と生み出している建築家の後藤武
    ・認知科学の第一人者であり東京大学大学院教授を務める佐々木正人
    ・『無印良品』『±0』といった一流ブランドのデザインを手がけるプロダクトデザイナーの深澤直人

    分野が違っていても、デザインのことを考え続けた3人の考え方には相通ずるものがあり、対談を通して相互に共感を生みながら『デザイン』を深く掘り下げていきます。

    例えばデザインでは「はまる」感覚が大切だという点で3人の意見は一致します。
    バス停のすぐ近くに背の低いフェンスがあるとします。そのフェンスの中央部分が弓なりにへこんでいます。この構図を見ただけで、たくさんのバスを待つ乗客がそのフェンスをベンチのようにして腰掛けてきた様子が目に浮かんできます。
    こういった「はまる」感覚がデザインには求められます。
    2000年に無印良品が発売して当時デザイン界で話題となった「壁掛け式CDプレーヤー(http://www.muji.net/lab/mujiarchive/101111.html)」は換気扇のようなフォルムをしています。「ひもを引っ張れば動作する」ことが自明なだけではなく、ユーザーはほとんど無意識のレベルでその動作を誘引されます。これがデザインにおける「はまる」感覚の再現です。

    副題に「新しいデザインの教科書」とありますが、上記の一例からも分かる通り、一般的なノウハウ本のように“明日から取り入れられるような手法”が散りばめられているわけではありません。
    純文学を読むときのように、読み手は洗練された概念を何となくインプットしていきます。
    何となくインプットした概念が、その成分や正体がよく分からないまま、砂糖が水に撹拌するときのように、目に見えないかたちで読み手に浸透します。

    冒頭に記した通り、日進月歩のクリエイティブを学ぶことも大切ですが、そんな合間に本書を手に取って、100年先も通用する“思想のレイヤー”を育んでみてはいかがでしょうか。

  • デザインに興味を持って、はじめに手に取った本。
    最初はよく分からなかったがおもしろかった。今になって読み返すと、理解できる部分が多くなってよりおもしろい。

  • 論理的で理論的にデザインをデザインしている本。
    アフォーダンスについて興味が深まりました。

  • 修士論文参考文献。

    デザインの生態学。
    興味のど真ん中。

  • おもしろいとおもったとこだけばばばっと要約*


    ★卵割りをするとき。
    わたしたちは無意識に卵の特質や定義を理解して、それらに配慮しながら手を動かし力の入れ加減を調節しはじめて卵割りに成功する。そうやって到達する自分の行動の巧みさや深さっていうのがくどくどしい言い方になるけど、"経験"になる。

    体験をもとにした理解が少なくなってきてる。未体験なのに体験的に知っているような感じの、すごくあやふやだけど知っているようなことがすごく多い。

    ★サーフェスと張り
    この世界はサーフェス(面)でできあがっている。
    サーフェスの張り具合がそのモノの美しさを決める。
    張り具合がよければバランスがよく、張りがなければ崩れる。デザインとはそのモノの力を作りだすことであり、輪郭とサーフェスを作ることである。

    ↑ここの深沢直人さんが書いた部分と原研哉さんの"皺"の研究の本を対比してみたらおもしろいだろうなぁと思った!

  • 生態心理学者の佐々木正人、プロダクトデザイナーの深澤直人、建築家の後藤武のディスカッションを中心とした本。
    アフォーダンスの理論を中心にデザインについて話されたちょっと難しい内容。
    一回読んだだけじゃ、なかなか理解出来なかったけど、
    アフォーダンスについて理解出来れば、デザインに新しい視点を加えることが出来るのではないでしょうか。
    クリエイターの方にはおすすめ。

  • 目が醒めるような本

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著者プロフィール

建築家,後藤武建築設計事務所主宰

「2020年 『鉄筋コンクリート建築の考古学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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