- Amazon.co.jp ・本 (119ページ)
- / ISBN・EAN: 9784487800148
感想・レビュー・書評
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トマソン物件ほどの衝撃度はないが、ちょっと変で、不思議な味のある写真集。自然の美しさとか、物の造形の美しさとかではない。撮る方の意識の問題だよな。「うん!?」となんか引っ掛かるかどうか。はっきり言って、トマソン物件のような明確なコンセクトはないような気はする。こちらとしても、どの写真に自分自身が引っ掛かるかどうかだよね。まあまああるよ。古ぼけた看板やトタン板、どぶ板代わりの鋼鉄の丸鋸刃、ステンレス寺、ログハウス寺とかね。
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赤瀬川原平の「正体不明」シリーズ。
町を、街を歩き、何の役にも立っていないものの、ちょっと哲学的な風景、クスッと笑える風景、意外と美しい風景、などなど、いわばこちらの知覚をハッとさせるものを写真におさめる遊び。
赤瀬川氏が書くように、これは「トマソン」→「路上観察学会」と発展してきた由緒ある遊びである(笑)
トマソンというのは、よく知られているとおり(と勝手に信じているのだが)、「路上で見つかる無用の長物」だ。
「それも建造物の一部で、もはや役立たずになったのに平然と存在しているもの」
子どもの頃、この「トマソン」にちなんで友人たちと"トマソンごっこ"なるものをして遊んだ覚えがある。だから赤瀬川原平は師だ。
写真に撮るかどうかはさておき、近所のトマソンを発見しては報告するのだ。まあ子どもなら、わざわざトマソンと言わずともけっこう似たような遊びをやっているだろう。
(トマソン発見のコツは、経験上、なかば無理やり、目につくものをツッコミながら歩くとよいようだ。それがエスカレートしてツッコミが過ぎると、こんどはその無意味なツッコミが"言葉のトマソン"になっていく)
見つけたトマソン(の写真)に、どのような言葉を付けるかが勝負どころで、これがなかなか、説明過剰になるとつまらなくなるから難しい。
さておき、師の「正体不明」写真を眺めていると、やっぱり絵をやっている人だなあとつくづく思った。構図が決まっているし、伝えたいことが伝わるように撮れるのはさすが師匠。
「毬藻の上陸」(@京都大原)なんてなかなかの傑作。
ドラム缶の蓋の上に置かれたブロックの口から吐き出されるようにして現れたコケは、さながらノルマンディー上陸作戦だ。
「地味な奇蹟」(@岩手)は花鳥画のように美しい。塀際に生えたツタにすぎないんだけど。
「人望の厚い小屋」(@新潟)には笑った。大根の干してある小屋に、補助輪付きの自転車が群がっている。
とはいえ、この新「正体不明」、ひとつの境地に達した感がある。というのは、キレのある言語的イメージだけを切り取るだけではなく、それ以外の映り込みも含めての味わいが出ている。そうなるとだんだんと映るものすべてがトマソンに見えてくるから不思議。
ああ、なんか知らないけど、モノって、風景って、ただそこにあるだけなんだなあという妙な感慨がわいてくる。-
ouiさん
うわあ、トマソン、懐かしいです。巨人のバッターとしても、赤瀬川原平の
命名物としても。分厚いトマソンの本を愛読していましたよ...ouiさん
うわあ、トマソン、懐かしいです。巨人のバッターとしても、赤瀬川原平の
命名物としても。分厚いトマソンの本を愛読していましたよ。確か、ちくま文庫だったかな?トマソンごっこをしていたなんて、なんてイケてるんでしょう!!赤瀬川原平の本を読みたくなってきました。確か、もうお亡くなりになっていましたよね。2022/09/19 -
goya626さん、
そうです、ちくま文庫です。トマソンをご存知とは嬉しい!しかも愛読されていたとは。トマソンごっこが流行すればいいのにと...goya626さん、
そうです、ちくま文庫です。トマソンをご存知とは嬉しい!しかも愛読されていたとは。トマソンごっこが流行すればいいのにといつも夢想してるのですがなかなか笑
亡くなってしまったので新作を読めないのが残念すぎますが、私も折に触れて読み返してます。最近も「ゼロ発信」読みました。とにかく着眼点が面白いんですよね。2022/09/19 -
ouiさん
銭湯の煙突の上に立って写真を撮っている人が載っていましたよね。いまだにおそろしやおそろしやです。そういえば、銭湯の煙突掃除を仕...ouiさん
銭湯の煙突の上に立って写真を撮っている人が載っていましたよね。いまだにおそろしやおそろしやです。そういえば、銭湯の煙突掃除を仕事にする84歳のおじいさんがいるようですが、すげえなあと思います。
とにかく、こんど図書館にいったら赤瀬川原平さんの本をさがしてみようっと。2022/09/19
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こういうものに注目して古い街を歩くと楽しいかも。
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着眼点、タイトル、写真の程よいバランスが良いのです。昭和の風景が残る街(町)で、カメラを片手にぶらぶら散歩したくなりました。
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若々しく斬新な視点での写真集。
『老人力』の著書だけあって、
元気にわが道をイっちゃってます。
“トマソン”を未だに追求しているのが嬉しい。 -
赤瀬川さんの写真と文章はいつ見ても本当に楽しい。
街を歩き、「おや」と思うものにシャッターを切ることを赤瀬川さん自身が楽しんでいることがこちらに伝わってくるのもいい。
また、添えられている文章が、短いのにツボを押さえていて胸がふるえる。真似したいけど、できません…笑 -
完璧!パ~フェクト☆
理想中の理想!!
こどもが時折見せるおかしな表現みたいなのを、この人は体中にもってる気がする。
『この世の現実のいろいろを、光学機械のカメラで撮ったものの魅力。撮れてしまったものの魅力。写真の魅力というのは、現実というものの手応えなのだと思った。』
なるほど。
トマソン
路上で見つかる無用の長物。それも建造物の一部で、もはや役立たずになったのに平然と存在しているもの。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%82%BD%E3%83%B3
路上観察学会に参加してみたい! -
赤瀬川ワールド全開の写真集。でもちょっとスピードダウンかな。
人望の厚い小屋(p.78)の写真が一番気に入った。赤瀬川氏の写真集はコメントの文章が効いている。 -
街の中のおもしろ被写体集。日本珍百景の元祖?キャプションも乙な感じ。自分もカメラ片手に知らない街をウロウロしながら著者の真似してみたい。
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ふふっと笑えるこういう本はいつも手元にあるといいですね。