悪と日本人

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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487801817

作品紹介・あらすじ

人間の心になぜ「悪」が生じるのか?悪人は果たして救われるのか?日本人にとって宗教とはいったい何か?島田裕巳、吉本隆明、平野啓一郎との核心に迫った対談も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 古い本だが、目の前の問題意識とリンクした。日本はそもそも他者への信頼をベースとした文化を築いていたが、その基盤は徐々に崩壊しつつある。例えば佐野某に対する無責任な匿名の告発に触れた時の居心地の悪さは、旧来の価値観が朽ちる時に発する軋みかもしれない。

  • 吉本さんとの対談が一番面白かった。
    吉本さんの著書、最後の親鸞、は山折さんが編集担当をしたという。
    絶対他力、裏返しにしすれば絶対自力、また他力に循環してくると。

  • 日本人の宗教観にある善悪を探った一冊。

    前半は、菊池寛の「恩讐の彼方に」「ある抗議書」、中里介山の「大菩薩峠」を引き合いに出し、日本人の悪党観、罪に対する懺悔と赦しについて解説している。
    正直、このあたりの解説は、上記作品をじっくり読めば充分な感じがした。

    また、折口信夫の「ごろつき論」で「大菩薩峠」の主人公、机竜之介のアウトローな人物造形と、アウトローに惹き付けられる大衆の心理を解説。

    さらには、アウトローである机竜之介に漂う虚無について、ショーペンハウアー・ニーチェを引き合いにして、「大菩薩峠」が如何にペシミズムに溢れているかを解説。

    前半最後はニーチェの思想における「虚無の信仰」で締めくくられる。

    後半は、島田裕巳・吉本隆明・平野啓一郎の対談。
    オウム事件・親鸞・禁欲と宗教のエロティスズムについて語られる。

    読んだ感想ですが、どうもタイトルが違うと思いました。
    私的にタイトルをつけるのであれば、

    「大菩薩峠・ニーチェ・虚無2.0」とかでしょうか。

    山折さんの活動を文脈に添って編集されてないので、散漫な印象しかのこりませんでした。

  • 最終章の平野啓一郎氏との対談が印象的でした。

    宗教とセックスの密接なかかわりはとても面白いと思います。二つはむしろ互いを殺しあうような存在に思えるからです。それらが混ざり合う様子には怖さと面白さを感じます。

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著者プロフィール

山折 哲雄(やまおり・てつお)
昭和6年サンフランシスコ生まれ。父は浄土真宗の海外布教使。震災の被災地岩手県花巻市で少年時代を送る。東北大学印度哲学科卒業。同大助教授を経て国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター所長などを歴任。むずかしいテーマを分かりやすく、かつ独得な視点から論じて読者を飽かさないユニークな宗教学者。専門の宗教学、思想史のほか、西行などの文学的テーマから美空ひばりまで、その関心とフィールドの広さは定評がある。『人間蓮如』『悪と往生』『ブッダは、なぜ子を捨てたか』『親鸞の浄土』など、著書は100冊を越える。

「2022年 『日本人の心と祈り 山折哲雄講演選集 CD版 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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